202409/24掲載

じわじわ増えてきているメアジ

世界中の暖かい海域にいる美しい魚


【学者にとっても水産のプロにとってもちっとも珍魚ではないし、超深海や、南北両極にいるわけでもない。魚屋でもスーパーでもときどき見かける魚だが、大量のエネルギーを使う養殖魚の影に隠れていたり、目的の魚の隣にいて見向きもされなかったり……。それを「隣の珍魚」という。たくさんの種類の魚を食べ、「隣の珍魚」を知っていると、温暖化にわずかだがストップをかけられる。とても自然に優しいし、環境にも優しい。しかも大いに自慢できる】

最初にアジは1種類ではなく、いろんなアジがあるということを知らなければならない。そのいろんなアジの中にメアジがある。
なぜメアジなのか? 「目が大きいから目鯵」なのである。
美しいし、眼がパッチリなのでアイドル系といっても間違いではないだろう。
アジなの? と聞かれると、ほうらじっくりみてごらん、「アジ科特有の尾鰭の前のぜんご(稜鱗でトゲトゲした)が目立たないけどあるでしょ!」と言いたい。
日本列島が北限に近く、全世界の熱帯域から温帯域に生息している。赤道に近づくほど食用魚としての重要性が強くなるが、温暖化でこの国でも無視できない存在となっている。

スーパーでは見たことがないという人も多いかも知れないが、そんなことはない。
確かにいつもある、といった魚ではないが、東京都内や関東周辺のスーパーの魚売り場でときどき並んでいるのである。
昔は本州ではそんなに水揚げされていなかった。むしろ沖縄の魚、「がつん」といったものだったが、相模湾などではわんさかとれ始めている。
今のところ、「あじ(マアジ)」と比べると人気薄で、値段も安い。

脂脂しくない、うま味豊かな刺身がいいのである


なぜ、人気がないのか? やはり脂の多い少ないだと思う。メアジの相模湾での旬は9月くらいから12月くらいまで、それ以外の時季には脂がない。また沖縄や鹿児島県産と比べると小さい。
年間を通して味のいいマアジとの違いが歴然としている。
ただし旬の時季の刺身は抜群にうまい。
脂だけではないアジ類特有のうま味がある。

日々のおかずに大活躍する、ご飯の親友


フライにすると、マアジのアジフライに負けぬ味なのだ。
干ものにしてもいい。
意外に汁がうまい。
沖縄では「がつん(メアジ)の汁」をよく作られているが、このみそ汁などたまらなくおいしくて、ご飯のおかずとして飯三杯くらい食べられる。
温暖化で増えたための「隣の珍魚」を食べてみませんか。

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メアジのサムネイル写真
メアジBigeye scad海水魚。水深170mまでの中・下層。伊豆〜小笠原諸島、千葉県房総半島西岸・南部東岸、東京湾、相模湾〜九州南岸の太平洋沿・・・・
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