テンジクタチ
代表的な呼び名タチウオ
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体長1mを遙かに超える。尾鰭がない。口が大きく歯は犬歯状で鋭い。腹鰭はなく、尻鰭は棘状だが埋没していて見えない。タチウオよりも体高がある。鮮度のよいとき背鰭は青みがかった黄色で、目も黄色い。口床は淡いいろで少し黄色みがかる。[93cm TL・888g] 体長1mを遙かに超える。尾鰭がない。口が大きく歯は犬歯状で鋭い。腹鰭はなく、尻鰭は棘状だが埋没していて見えない。タチウオよりも体高がある。鮮度のよいとき背鰭は青みがかった黄色で、目も黄色い。口床は淡いいろで少し黄色みがかる。 口は大きく歯は犬歯状で鋭い。口床は黒ずむことなく、淡い黄色。
魚貝の物知り度 |
★★★★ 知っていたら達人級 |
食べ物としての重要度 |
★★ 地域的、嗜好品的なもの |
味の評価度 |
★★★★★ 究極の美味 |
分類 |
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目サバ亜目タチウオ科タチウオ属
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外国名 |
Pacific cutlassfish Pacific scabbarfish Common hairtail Largehead ribbonfish
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学名 |
Trichiurus sp2
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漢字・学名由来 |
漢字 天竺太刀 Standard Japanese name / Tenjikutachi
由来・語源 タチウオよりも天竺(熱帯域)にいるの意。
学名がついていない。タチウオの記載者がリンネだからではないかと思う。 |
地方名・市場名 |
タチヌイユ 参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012) 場所沖縄県南城市知念漁協 タチウオ 場所関東の市場 |
概要
生息域
海水魚。大陸棚斜面上部。
相模湾、[駿河湾]、宮崎県日向灘、愛媛県宇和島湾、[大分県佐伯市]、屋久島南部近海、奄美大島北部近海、沖縄島近海。
東南アジアにも生息している模様。
上 テンジクタチ 背鰭が黄色みがかっていて、体高(幅)が高く、口床は淡く黄色みがかっている。2024年現在関東以南にしかいない。相模湾などでは少ないが、九州などでは顕著に増えている。
下 タチウオ 背鰭が暗色で黒っぽく、口床が暗色である。古くは西日本に多かったが東京湾で大量にとれ、宮城県でも水揚げが増えている。北海道にも生息している。漁業的にも北上傾向にある。
生態
基本情報
正確な生息域は不明である。国内では相模湾以南で見られる。九州などでは明らかに水揚げ量が増えていて、食用魚としての存在感が強くなってきている。タチウオとして入荷してくる荷(発泡の箱)全部がテンジクタチであったりもする。当然、スーパーなどでも表示もタチウオである。
値段的にはタチウオとまったく同じで、また評価も非常に高い。
珍魚度 じょじょに手に入れやすくなってきている。丸のままで見るのは難しいが関東ではタチウオと区別しないでスーパーに並んでいたりする。
水産基本情報
市場での評価 主に九州からだが入荷が増えている。タチウオと同様高級である。
漁法 釣り
産地 鹿児島県
マレーシア産 タチウオ類はほとんどがヘッドレスで入荷するが、これは珍しく丸のまま輸入されたもの。見た目だが、明らかにテンジクタチだと思われる。
選び方・食べ方・その他
選び方
触って張りのあるもの。目が澄んでいるもの。鰓が赤いもの。背鰭の青みがかった黄色の強いもの。銀箔が輝いているなどは直接的に鮮度とは関わりがない。
味わい
旬は不明。
鱗はなく銀箔ははげにくい。大型が多いので皮は硬く強い。骨は細いが硬い。
透明感のある白身で、透明感が長続きする。身割れしやすい。熱を通しても硬く締まらない。
栄養
危険性など
食べ方・料理法・作り方
テンジクタチの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身、焼霜造り)、焼く(塩焼き、照り焼き、真子塩焼き)、ソテー(ムニエル)、揚げる(フライ、唐揚げ)、煮る(煮つけ)、汁(潮汁、みそ汁)
テンジクタチの刺身 皮は厚みがあって引きにくいので、最近では焼霜造り(あぶり)にすることが多い。端的にうまいが、身自体のおいしさよりも皮の味に気を取られがちである。身のうまさをストレートに味わうなら刺身の方が上だ。
身は硬く締まっていて食感が心地よく、うま味がとても豊か。インパクトの強いうまさが堪能出来る。
水洗いして三枚に下ろす。腹骨を取り、皮を引きそぎ切りにする。
テンジクタチの焼霜造り 大型が多く、皮が硬いので霜皮造りよりも焼霜造りに向いている。水洗いし三枚に下ろす。腹骨・血合い骨を取る。皮目を上にしてあぶり、氷水に落とす。水分をきり、皮を落ち着かせるために1時間程度冷蔵庫で寝かせる。皮は焼くと柔らかく、脂が染み出してきてゼラチン質の部分が出来て香ばしく甘みがある。身のうまさも相まって至福の味である。柑橘類がとてもよく合う。
テンジクタチのタルタル風 皮を引くと身割れして細かくなりやすいので、むしろタルタル風にしてみる。生の身と塩、少量のコショウ、ライムにトマトや玉ねぎ、ハーブ類を合わせる。意外にルッコラが合うが必ず合わせる必要はない。またオリーブオイルを使ってもいい。オリーブオイルを合わせるとワインに、塩と柑橘類だとスピリッツに合う。
テンジクタチの塩焼き タチウオ類のもっとも基本的な料理法のひとつ。今でも少々お高い料理店に行くと品書きにあるが、値段にビックリしそうである。水洗いして切り身にする。振り塩をして1時間以上置く。これをじっくりと焼き上げる。身は軟らかくふっくらし、脂と一緒になって半液化したようになる。皮は香ばしい。
テンジクタチの照り焼き みりん・少量醤油の地に漬け込んで、たれをつけながら焼き上げたものである。塩焼きもいいが、たまには変化をつけたいときにお勧め。水洗いして切り身にする。みりん多めと醤油少量の薄い地に1時間程度つけて、焼き始める。8分通り焼き上がったら漬け地に醤油を加えたたれを漬けながら仕上げる。
テンジクタチの真子塩焼き 真子(卵巣)はタチウオ同様においしい。生でもいけそうだけど、10月末の真子は焼いてみた。卵粒が柔らかく、甘味とうま味がとても豊かである。焼くと好ましい香りもある。卵巣を取り出して振り塩をする。密閉して半日以上寝かせて焼き上げる。
テンジクタチの煮つけ タチウオ類全般に言えることだが、煮ると締まるのではなくふっくらと軟らかくなる。熱々の内に食べると練り絹のような舌触りで、こくのある味わい。そのくせ後味が上品なので酒の肴にもご飯のおかずにしてもうまい。水洗いして切り身にする。湯通しして冷水に落として水分をよくきる。これを酒・みりん・醤油・水で煮る。
テンジクタチのムニエル 水洗いして三枚に下ろす。水分をよくきり、塩コショウし、小麦粉をまぶしてじっくりソテーする。仕上げにバターで風味づけする。脂はあるものの、水分が多いのでじっくり弱火でソテーすると、水分がぬけておいしくなる。皮と皮下にうま味があり、身は柔らかい。全体に脂があるので柔らかく、甘味がある。
テンジクタチのフライ 非常に水分が多い割りに、脂があるので気にならない。揚げると一度液化して柔らかいながら固まる。これがフライ材料として非常に向いているところだ。三枚に下ろして塩コショウする。小麦粉をまぶし、溶き卵を絡めてパン粉をまぶして揚げる。
テンジクタチの腹もの唐揚げ 水洗いして内臓を包んでいる薄い部分を適宜に切る。水分をよくきり片栗粉をまぶして少し置く。これを最初は低温でじっくり揚げて取りだし、今度は高温で揚げる。さくっとした歯触りで、身は軟らかくジューシーでとてもおいしい。
テンジクタチのみそ汁 刺身などで残ったあらや頭部を適宜に切り、湯通しして冷水に落として水分をよく切る。水で煮だしてみそを溶く。湯魔味豊かなだしがとれて、つゆがとてもうまい。付着した身や皮も美味。
テンジクタチの潮汁 中骨や鰭下の部分、刺身に切れっ端を集めて置く。食べやすい大きさに切り、湯通しして冷水に落としてヌメリなどを流し、水分をよくきる。これを昆布だしでアクを引きながら煮る。酒と塩で味つけして出来上がりだ。あらが少量のときにはカツオ節だしを使ってもいい。だしは濃厚でうま味が強い。鰭下の身などとろけるようで甘味があっておいしい。
好んで食べる地域・名物料理
加工品・名産品
釣り情報
歴史・ことわざなど