ぼうずコンニャクの食べる魚貝類だけでなく多彩な生物の図鑑です。掲載種は2000種、食用の水産生物の一般的なものは総て網羅。検索法・食べ方を詳しく解説しています。

コイ(英名/Common carp, Carp)

学名:Cyprinus Carpio Linnaeus

代表的な呼び名マゴイ

コイの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
体調1mを超えることがある。やや側扁するが細長い。口に2対のヒゲがある。口に2対のヒゲがある。

コイの形態写真

体調1mを超えることがある。やや側扁するが細長い。口に2対のヒゲがある。

  • 魚貝の物知り度 食べ物としての重要度 味の評価度

    知らなきゃ恥

    ★★

    地域的な水産物、嗜好品的なもの

    ★★★★

    非常に美味
    分類
    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区ニシン・骨鰾下区骨鰾上目骨鰾系コイ目コイ科コイ亜科コイ属
    外国名
    英名/Common carp, Carp
    学名
    Cyprinus Carpio Linnaeus
    漢字・由来
    漢字 鯉。
    「鯉」の“里”は“理”と同じで縦縞の入ったと言う意味。本来は縦縞模様のナマズの一種を差した言葉。これをコイに当てはめたのは、鱗が縦に36枚並ぶことから、1里は36町であることになぞらえたもの。
    「鯉魚」と書き〈りぎょ〉という読み方もある。
    由来・語源
    ■ 黒っぽい体色から、「濃い」の意味。
    ■ 「雌雄相恋して離れないので“恋”からきた」。
    ■ 「身が肥えていることから“肥え”の意」
    ■ 「味がほかの魚に勝っていることから“越”の意で」
    ■ 「推古天皇のときに定められた冠位十二階に由来する。タイを“大位”、コイを“小位”の意。
    地方名・市場名
    ノゴイと区別して、マゴイ、ヤマトゴイという。
    アカクチ、アフミコイ・オオミゴイ(近江鯉)、カワスジ、クイユ、コー、サラサ、ジコイ(地鯉)、ナメ、ナメイ、ナメリ、ノゴイ(野鯉)、ブンシロー、ホオリュウ、ヤマト、ヤマトゴイ(大和鯉)。
    生息域
    淡水魚。日本全国。河川の中・下流域、湖沼、ダム湖。
    生態
    雑食性で動物性のイトミミズやタニシ、シジミ、植物の藻や水生植物などを食べる。
    産卵期は5月上旬から初夏にかけて。
    基本情報
    国内にはもともと日本列島に生息していたノゴイ(マゴイ)と、ユーラシア大陸からもたらされて今では普通に見られるヤマトゴイの2種がいる。ノゴイは非常に希少種で、食用とされているのはあくまでもヤマトゴイの方。
    古くから養殖が行われ、内陸部では重要なタンパク源であった。コイはマダイとともに非常に人口に膾炙した魚だった。四条流包丁式に使われ、五月の節句の鯉のぼり、また龍門の鯉のような伝説まである。
    身近な水源で飼うことが出来、雑食性で成長が早いので人気の高い魚であったものが、海水魚が手軽に手に入るようになって、関東などでは流通上特種なものである。今や関東の市場などでも注文しないと手に入らない存在になってしまっている。また食べる地域も限定的。コイの伝統料理とともにコイを食べる習慣も徐々に少なくなっている。
    海水魚に負けない味のいい魚なので、食文化を残した地域においでの際にはぜひ食べてみて欲しい。
    水産基本情報
    市場での評価 入荷量は関東では非常に少ない。値段は安い。
    漁法 養殖ものがほとんど。えり(定置網)、釣り
    主な産地 福島県、群馬県、宮崎県、福岡県、長野県、富山県、山形県
    選び方
    生きているもの。生きている内に調理したもの。
    味わい
    旬は寒くなってからで、特に冬
    鱗は薄く大きく、生食する以外は取る必要がない。よく煮込むと、これもまた味の内である。
    皮は厚く、煮るととろっとする。骨は頭部、中骨、筋肉に入り込んだ小骨も硬い。
    血合いの赤い透明感のある白身。熱を通しても硬く締まらず、長時間の煮てもいい。ゼラチン質が多く煮凝りができる。
    筋肉よりも卵巣、精巣、内臓の方が味がいい。
    注意 寄生虫の肝吸虫、横川吸虫などが寄生する。食するについては自己責任で。
    栄養
    寄生虫
    肝吸虫、横川吸虫などが寄生
    食べ方・料理法・作り方
    汁(鯉こく、あら汁)、煮る(煮つけ、甘露煮)、生食(洗い)、焼く(酒塩焼き)、揚げる(鱗揚げ)
    鯉のあら汁鯉のあら汁 洗いなどにしたときに出たあらや内臓を一度湯通しして氷水に取る。これをみそ汁のなかで鱗などが軟らかくなるまで煮たもの。汁を多くしたみそ煮といったものだが、この味はとても文字に出来ないといったものだ。
    鯉こく鯉こく 「鯉こく」は汁けの多いみそ汁で長時間煮込んだもの。コイは胆嚢(苦玉)のみを取り除き、筒切りにする。これをみそを溶いた汁でことこと煮込んでいく。鱗を口に入れて気にならないほどになったら出来上がりだ。コイのうま味の強いだしが十二分に出た汁がうまいし、みそで煮込んだ内臓や身のうまさは名状しがたい。
    鯉のあら煮鯉のあら煮 コイの洗いなどを作ったときのあらをしょうゆ味で煮上げたもの。あらや内臓は生きているものはそのまま、時間がたったものは湯通ししてから使う。鍋にしょうゆ、酒、みりん、水、あらと内臓を入れて火をつける。あくを取りながら煮て、途中なんどか味加減を見る。
    鯉の洗い鯉の洗い 三枚に下ろして皮を引き、非常に薄く切り、冷水にさらしてアデノシン三リン酸を洗いながして、急速に身を硬直させたもの。爽やかな味わいのなかにコイのうま味が感じられる。酢みそでもおいしいし、わさびしょうゆもいい。産卵期には「子つけ(子造り)」がいい。細長く刺身に切り、いった卵をまぶしたもの。
    鯉の酒塩焼き鯉の酒塩焼き コイを水洗いして三枚に下ろし、振り塩をしてじっくりと焼く。8分通り火が通ったら酒を塗りながら仕上げる。泥臭味や淡水魚のくせはまったくない。上質な白身の味わいで鱗のついた皮目が実に味わい深い。
    鱗の素揚げ 洗いにしたときの皮と鱗を素揚げにしたもの。さくっとして香ばしく、実に魅力的なビールのアテになる。
    好んで食べる地域・名物料理
    秋田県、山形県、長野県、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都東部、岐阜県、滋賀県、佐賀県、鹿児島県など
    こいと豆腐汁 新潟県福島潟周辺。針供養の1月8日(旧暦の12月8日)にコイと豆腐の汁を食べた。『聞き書 新潟の食事』(農文協)
    煮つけ 子持ちのコイを筒切りにして甘辛く煮たもの。湖北水鳥ステーション(滋賀県長浜市)
    いばら飯 コイを丸ごと炊き込みご飯にしたもの。どうしても撒きびし状の骨や鱗が残るのでそれを「棘(いばら)」としている。[南濃輪中地帯]『聞き書 岐阜の食事』
    コイのたたきたたき(コイのたたき) コイの鱗、内臓、中骨を取り去り、ミンチ状にしてみそと合わせたもの。みそ味の生のコイの味は意外にもそれほど泥臭くなく、ときどき当たる小骨がなかなかいいのである。ねぎと合わせると酒の肴にいい。にんにくを合わせたものもある。雄物川上流域などで食べられている。[石綿養鯉場 秋田県雄勝郡羽後町、菅八鯉屋 秋田県湯沢市]
    鯉の照煮 コイの切り身をみりんとしょうゆであっさりと煮上げたものをいうようだ。これが埼玉県で広く作られているものなのかなどは不明。[女郎うなぎ 割烹旅館 福助]
    鯉の煮つけ鯉の煮つけ 比較的あっさりと酒、しょうゆ、砂糖の味付けで煮上げたもの。甘露煮よりも軟らかく、食べやすい。真子がとてもおいしい。[滋賀県]
    鯉の洗い洗い(あらい) コイを三枚下ろしにして皮を引き、出来るだけ薄くそぎ切りにして流水で洗って締めたもの。洗うことで食感がよくなり、コイの生臭みがほとんど感じなくなる。食べやすく、また味わい深い。洗いはコイ料理の定番的なもので、東京都や群馬県、秋田県、山形県、茨城県、長野県、滋賀県など日本各地で食べることができる。[鯉料理 白滝 佐賀県小城市]
    鯉の甘露煮(甘煮、うま煮) コイの胆嚢を取り去り、輪切りにしてしょうゆ、砂糖、みりん、しょうゆでこってりと骨まで軟らかく煮上げたもの。加工品でも多く見かけることが出来る。群馬県、秋田県、山形県、茨城県、長野県、滋賀県、佐賀県など日本各地で食べることができる。
    鯉の刺身鯉の刺身 小骨の少ない腹の方の身をやや厚めの刺身したもの。小骨の処理など不明な点もあるが、臭味もなく、コイ本来の味が楽しめる。[かねよ 滋賀県大津市]
    佐久鯉 長野県佐久市(佐久地方)では、水田養殖での鯉養殖が盛んであった。当然コイをよく食べる地域では、今でも鯉料理を供する店が多い。佐久市の料理店の「鯉御膳」。
    清水鯉 小城町にある名勝「清水の滝」に向かう道沿いに鯉料理の店が並ぶ。[佐賀県小城市小城町]
    加工品・名産品
    鯉の甘煮 こってりとしたしょうゆ味で煮上げたもの。[丸原鯉屋 山形県寒河江市]
    鯉ぶかし かなり濃いめの味つけだが、骨まで軟らかく煮上げている。[丸原鯉屋 山形県寒河江市]
    鯉うま煮 比較的こってりと煮たものだが、まったくイヤミがない。[蓮見商店 群馬県邑楽郡板倉町]
    鯉うま煮 比較的あっさりと上品に煮上げたもの。[西友 滋賀県高島市今津]
    鯉の新巻 富山県福岡町、長野県
    鯉あらい 鯉を洗いにして酢みそをつけたパック。[岡水産 北海道石狩市]
    鯉のうま煮(甘露煮、甘煮) コイの胆嚢を覗き、筒切りにする。これを酒、砂糖、しょうゆなどでこってりと骨や鱗が軟らかくなるまで煮上げたもの。日本全国で作られていて、コイの加工品のなかでももっとも定番的なもの。[深澤鯉店 山形県南陽市ほか]
    鯉のカルシウム煮カルシウム煮 淡水魚のコイには海水魚よりも多くのカルシウムを含んでいる。このカルシウムの多さをうたったものだとは思うが、味もいいし面白い。[渡部鯉店 山形県南陽市]
    鯉の甘煮鯉の甘煮 しょうゆ、砂糖、酒の味つけで軟らかく煮込んだもの。とても上品で軟らかい。淡水魚の臭いも皆無で実にうまい。[米沢鯉六十里 山形県米沢市]
    鯉甘煮鯉甘煮 コイを筒切りにし甘辛く煮上げたもの。[長岡鯉店 長野県諏訪郡下諏訪町]
    佐久鯉唐揚佐久鯉唐揚 コイの身を適宜に切り、唐揚げにしたもの。食べやすい。[魚よし 長野県佐久市]
    釣り情報
    さなぎ粉(カイコのさなぎの粉末)、サツマイモなどを使った練り餌を吸い込み仕掛け(練り餌を団子状にしたものを螺旋状の道具につけ、その周りにハリをつけたもの)でぶっ込み釣り。ひたすら待ちの釣りだ。
    歴史・ことわざ・雑学など
    ■ 季語では冬。
    ■ コイはユーラシア大陸のものが中国を経て移入されたものとされている。ただし、国内でも化石が発見されていること。一般にコイとされている「真鯉(まごい)」よりも体高の低い、黒っぽい「野鯉(のごい)」がいることから国内原産の別種のコイの存在が浮かび上がってきている。国内に棲息するコイが2種になる可能性も大。
    ■ コイの養殖は中国で紀元前1500年頃始まるとされる。紀元前5世紀に陶朱公范蠡(はんれい)が『養魚経』というコイの飼育法を表している。范蠡は越の勾践を覇王とした臣。
    ■ コイをはじめとする淡水魚を使った料理は年々廃れていっているように感じる。古く縄文時代から食用とされ、また古代には特別な意味合いを持つ魚としてマダイ以上に珍重されていた。平安時代より四条流(宮中での善部の一流派)の包丁儀式(包丁式)で使われることでも有名だ。
    ■ 東京下町は水路の発達したところでコイやフナ、ドジョウなどをよく食べていたという。それが戦後、高度成長期、そして最近となってほとんど残っていない。
    ■ 中国の竜門の鯉(コイが黄河にある竜門を超えると竜になる)。ことわざの「鯉の滝登り」もここからくる。
    ■ 「俎板上の鯉」。死を待つしかない状態、絶体絶命の状態のこと。まな板の上にのせられ、包丁でさばかれるコイに例えたもの。
    鯉寺 龍宝寺(東京都台東区寿1-21-1)のこと。以下抜粋「嘉永6年(1853)3月29日、浅草新堀川龍寶寺門前付近に四尺五寸程なる大鯉浮かびいたるを見て、町の人々大騒ぎとなり之を捕えんとせしも大鯉暴れ容易に捕獲出来ず遂に船を出し血気の若者達数名川に飛び込み各自刃物竹槍等にて突き刺し漸く大鯉の弱りたるところを捕え河畔なる龍寶寺庭内大池に放ちやりしか。4月3日大鯉は遂に死せり。
    然るに近隣の者、その夜大勢集まりてこれを食せしところ、にわかに高熱にななされ吐血する者も有り40日余大いに苦しみたり。特に料理せし者のうち2人は同月16日に、他の4人は同月23日相次いで悶死せり。遺族の者達この不思議なる祟りにおどろき、ゆかりの者一同と心を合わせ鯉の霊を慰めんと龍寶寺境内に供養の碑を建て篤く弔いたり。」
    鯉のぼり鯉のぼり 江戸時代に男児の健康と出世などを願い五月の節句に立てられるようになった。
    鯉サブレ鯉サブレ コイの養殖が盛んな長野県佐久市の銘菓。[清水屋 長野県佐久市]
    参考文献・協力
    『魚と貝の事典』(望月賢二 柏書房)、『新・霞ヶ浦の魚たち』(霞ヶ浦市民協会)、『新 北のさかなたち』(水島敏博、鳥澤雅他 北海道新聞社) 、『新選漢和辞典』(小林信明 小学館)
  • 主食材として「コイ」を使用したレシピ一覧

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