ゴマアイゴ
代表的な呼び名 カーエー
33cm SL 前後になる。体高があり、側へんする。体にオレンジ色の小斑点がある。尾鰭は浅い湾入形。
魚貝の物知り度
★★★★ 知っていたら達人級
食べ物としての重要度
★★★ 一般的(流通量は普通)
味の評価度
★★★★ 非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目ニザダイ亜目アイゴ科アイゴ属
外国名
Orange-spotted spinefoot
学名
Siganus guttatus (Bloch, 1787)
漢字・学名由来
漢字 胡麻藍子、胡麻阿乙呉 Standard Japanese name / Gomaaigo
由来・語源 胡麻(ごま)状の斑文のあるアイゴ属の魚の意味。アイゴは東京での呼び名。アイヌ語で棘のあるイラクサを「あい」という。ここから「あい」は棘のある、「ご」は魚を表す語尾。
〈兩棘族アヰゴ科アヰゴ属 〔八重山、東印度諸島〕 ゴマアヰゴ(新称)〉。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)
Bloch Marcus Élieser Bloch(マルクス・エリエゼル・ブロッホ 1723-1799 ドイツ)。医師、博物学者。ヨハン・ゴットロープ・テアエヌス・シュナイダー(Johann Gottlob Theaenus Schneider)とともに『110の画像付分類魚類学』を刊行。
地方名・市場名
ヤドアイ 参考 『魚名からみる自然認識:沖縄・伊良部島の素潜り漁師の事例から』(高橋そよ 2014年03) 場所 沖縄県伊良部島・宮古島
カーエー 場所 沖縄本島、八重山
ツンアイ ヤドアイ 場所 沖縄宮古島
概要
生息域
汽水域、サンゴ礁域、岩礁域。
和歌山県串本、鹿児島県笠沙・奄美大島、琉球列島。
台湾、広東省・江西省、海南島、西沙諸島、タイランド湾、東インド-西太平洋(マーシャル諸島を除く)。
生態
基本情報
主に沖縄県で水揚げがある。刺突漁(銛漁、潜水漁)の対象魚でもある。アイゴ類の中でももっとも大型になり、臭味が少なく、味がよい。沖縄県では食用魚として重要で、高級魚でもある。
水産基本情報
市場での評価 沖縄特産魚。年間を通して流通。やや高値となる。
漁法 追い込み漁、刺し網、定置網、釣り
産地 沖縄
選び方・食べ方・その他
選び方
味わい
旬は梅雨から初夏だと思う。年間を通してあまり味が落ちない。
鱗は小さく包丁などで引くよりも、ブラシなどが取りやすい。皮は厚みがあって強い
透明感のある白身で磯臭さはアイゴ類のなかでは少ない。骨などからいいだしが出る。
真子は美味。
栄養
危険性など
食べ方・料理法・作り方
ゴマアイゴの料理・レシピ・食べ方/煮る(まーす煮、煮つけ)、生食(刺身、カルパッチョ、セビチェ)、ソテー(バター焼き)、汁(タイ風、みそ汁、潮汁)、揚げる(唐揚げ)、焼く(みそ漬け、若狭焼き、幽庵焼き、塩焼き)、真子(煮る、焼く)
ゴマアイゴのまーす煮 沖縄の代表的な郷土料理。魚貝類を塩水により強火で短時間煮上げるもの。なかでももっとも人気が高いのがカーエー(ゴマアイゴ)である。身は緻密で身離れがよく、ほんのり甘みがある。煮汁にもたっぷりうま味が出て、名脇役の豆腐がまたうまい。
ゴマアイゴの兜煮 大きくなるので頭部だけで立派な煮つけが出来る。しかも頭部の筋肉は柔らかく、味わい深い。頭部を梨子割りにして湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。これをしょうゆ、酒、みりんであっさりと煮上げたもの。
ゴマアイゴの刺身 アイゴ科なのにほとんどクセがなく血合いがきれいだ。沖縄で刺身の人気が高いのがわかる。皮を引きやや薄めに切ってみた。魚らしいうま味があり、甘味がある。
ゴマアイゴのカルパッチョ 三枚に下ろして皮を引く。血合い骨の部分を切り取り、出来るだけ薄く切る。これをにんにくをなすりつけ、オリーブオイル、塩を敷いた皿に並べていく。スプーンなどでとんとんと馴染ませていく。上からもオリーブオイルをかけ回して香りのある野菜、トマトなどをのせる。好みでホットチリソース、コショウ、ヒハツモドキなどを。
ゴマアイゴのセビチェ 刺身や切り身にしたときの切り離しを集めて置くといい。また大量に作りやすいものなので、三枚に下ろして皮を引き、ランダムに細かく切る。大小があった方が面白い。塩とライム(柑橘類ならなんでもいい)、辛い青唐辛子(チリソース、タバスコでもいい)でマリネする。適度にしまったら紫玉ねぎなどを加える。トマトを加えてもいい。ジンやテキーラなどスピリッツにあう。
ゴマアイゴのバター焼き 沖縄の比較的新しい郷土料理。ようするにバターでソテーしたもの。ムニエルのように小麦粉をまぶさないので、少しだけ味わいが軽い。個人的には最後にしょうゆを加えるのが好み。ご飯にも合う。
ゴマアイゴのタイ風スープ タイ風とはナンプラーとライム、コブミカン、レモングラスなどを使う。あらでも切り身でもいい。適宜に切り、湯通しして冷水に落としてぬめりなどを流す。これをナンプラーとコブミカン、泡盛を加えた地で煮る。仕上げにライムジュースを加える。シャンツァイがあるとよりタイ風。
ゴマアイゴの唐揚げ やや繊維が強いので揚げると鶏の唐揚げのような食感になる。うま味もあり、噛みしめるとほんのりと甘い。残念ながら水分の多い魚に向いているフライにするとそれほど味がない。竜田揚げにしてもおいしい。
ゴマアイゴの塩焼き 残念ながら塩焼きにしてもそれほどうまいとは思えない。硬く締まり、うま味が少ない。ただこの硬く締まった身質が好きならやってもてもいいだろう。むしろみそ漬けや幽庵焼きにして美味。
ゴマアイゴの真子塩焼き 真子は卵粒が細かくうま味がある。普通に塩焼きにしても独特の風味があってとてもおいしい。まだ煮ていないが、焼き限りは非常に美味。イヤミがないのでご飯に好相性。
好んで食べる地域・名物料理
まーす煮 塩水で煮あげたもの。身離れのいいよくしまった身でほんのり磯臭さがある。煮あげた汁を身にからめながら食べる。一緒に塩煮した豆腐がうまい。
加工品・名産品
釣り情報
磯や防波堤などからオキアミエサで釣る。沖縄ではもっとも人気の高い釣り魚のひとつ。
歴史・ことわざなど
参考文献
協力/河村雄太さん(沖縄県石垣市)
『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『沖縄の漁具・漁法』(沖縄県漁業振興基金 編集沖縄県水産試験場)、『日本の海水魚』(岡村収、尼岡邦夫編・監修 山と渓谷社)、『沖縄の釣り魚』(城一人 フィッシング沖縄社)