マテガイ

マテガイの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
11cm SL 前後になる。真横から見ると比較的直線的な長方形。前端は斜め截断されたよう。
11cm SL 前後になる。真横から見ると比較的直線的な長方形。前端は斜め截断されたよう。
11cm SL 前後になる。真横から見ると比較的直線的な長方形。前端は斜め截断されたよう。

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珍魚度・珍しさ★★★
がんばって探せば手に入る
魚貝の物知り度 ★★★
知っていたら通人級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★
美味
分類
軟体動物門二枚貝綱マルスダレガイ目マテガイ超科マテガイ科マテガイ属
外国名
英名/Japanese razor-shell,Japanese jacknife clam フランス名/couteau(クートー)
学名
Solen strictus Gould,1861
漢字・学名由来

漢字 馬蛤貝、馬刀貝、末天乃加比、蟶、万天 Mategai
由来・語源
蟶(貝) 〈蟶 音は称(しょう)〔俗に万天(まて)という〕 〉。『和漢三才図会』(寺島良安 東洋文庫 平凡社 正徳2年 1712)
■「〈まて〉は〈真手〉で、両手のこと。殻の両側から足と水管を出しているのが、左右の手のように見えるから」参考/『魚と貝の事典』望月賢二 柏書房
■また「馬刀(マータオ)」に似ているから。参考/『貝の和名』相模貝類同好会
■マテは股(また)の母音交替形(ぼいんこうたいけい)。マテガイの殻は純白の内部が人の肌を思わせ、殻を左右に開いた姿が股に似ているため。『歳時記語源辞典』(橋本文三郎 文芸社)

地方名・市場名

概要

生息域

海水生。内湾の干潟や浅い泥の海に深く潜って棲息している。
北海道南西部から九州。
朝鮮半島、中国大陸沿岸。

生態

干潮時に干潟のマテガイの穴に塩を振り込むと飛び出してくる。
また干潮時には砂に深く潜っていて、潮が満ちてくると出てくる。
潮が満ちてくると、砂地から出てくる。木更津ではこのとき手で抜き取るようにつかまえる。

基本情報

北海道北部、琉球列島などを除く国内の干潟などに普通に見られていた二枚貝で、潮干狩りの獲物でもあった。古くから潮干狩りの貝として、また内湾周辺に住む人達にとっては身近な食用貝として馴染み深い。
巣穴に塩を振り込み、満潮と間違えたマテガイが飛び出してくるのを取るというのは有名である。
古くはたくさんとれていて、千葉県などでは浜ゆでにして出荷していた。現在は産地は少なくなり、またとる人も少なくなっている。流通上見かけることは少なくなっている。
珍しさ度 珍しい貝ではない。ただ採取して流通させるという状況が壊れつつあり、あまり流通量は多くない。潮干狩りなどに行った方が早いかも。

水産基本情報

市場での評価 関東では希に入荷してくる。値段はやや高め。
漁法
主な産地 大分県、熊本県、山口県

選び方・食べ方・その他

選び方

生きているもの。殻が開いていないもの。身がやせていないもの。

味わい

旬は冬から春。
貝殻は薄くもろい。軟体は熱を通すと硬く締まる。
砂を噛んでいることが多いが、基本的に嚙んでいたら剥き身にするか、片貝にしてていねいに洗う。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

マテガイの料理・レシピ・食べ方/焼く(焼きマテガイ)、ソテー(バター焼き、中華いため、アヒージョ)、煮る(塩ゆで、しょうゆ煮)
焼きマテガイ(オリーブオイル、チリペッパー) 軟体は熱を通すとやや硬くなるが、食感がよく、うま味豊かで実に味がある。いちばん本種を生かせるのは単に焼く、かも知れない。
貝殻の両脇から切れ込みを入れて開き、砂を噛んでいたら良く洗う。塩水で洗う方が味が抜けないが、忙しかったら流水でもいい。水分を切り、強火で焼き上げる。焼き上がったらオリーブオイルとチリペッパー、もしくはコショウを振る。
焼きマテガイ(醤油味) マテガイは貝殻の両脇から切れ込みを入れて開き、砂を噛んでいたら良く洗う。塩水で洗う方が味が抜けないが、忙しかったら流水でもいい。水分をよく切り、強火で短時間に焼き上げる。直火に地階焼き方でもいい。仕上がりに酒としょうゆを合わせたものを振る。貝らしいうま味があり、短時間で焼き上げるのでそれほど硬くない。独特の日向臭さはあるものの、焼いた香ばしさが強くなり、食感、甘味とも強くておいしい。
マテガイのバター焼き 剥き身にして素直嚙んでいないかチェックする。嚙んでいたら流水で洗うか、塩水で振り洗いする。フライパンにバターとにんにくを入れて強火で短時間にソテーする。食べてもの足りなかったら塩を加え、コショウを振る。ハーブ類などはお好みで。少し日向臭さがあるのが、バターとコショウで消え去る。食感が心地よく甘味が感じられて美味。
マテガイと空心菜炒め 空心菜は水洗いして適宜に切り、水分をよくきる。剥き身にして砂を噛んでいたら良く洗い、水分を切る。中華鍋などに油を入れて、にんにくとしょうが、鷹の爪で香りづけ、塩を加えて熱してきたら空心菜を入れて炒める。空心菜に半分がら火が通ったらマテガイを加え、酒を振って終始強火で火を通す。
マテガイのアヒージョ 「アヒージョ」はにんにく風味のオリーブオイルのなかで火を通すというスペイン料理。小振りのパンやカスエラ(陶器の耐熱容器)にオリーブオイル、適宜に刻んだにんにく、鷹の爪、マテガイの剥き身を入れて火をつけてオイルで煮る。仕上げにシェリーや白ワインを加えてもいい。
マテガイのしょうゆ煮 マテガイはよく水洗いして泥、汚れを落とす。砂を噛んでいたら剥き身にして洗った方がいい。水分をよく切っておく。鍋、テフロンフライパンに酒、しょうゆ、みりんを合わせて置き、沸騰したらマテガイを加えて絡めるように短時間で煮上げる。
マテガイの塩ゆで よく水洗いしたマテガイは水分をきっておく。もしも砂を噛んでいたら貝殻の脇に切れ目を入れて開き、砂を流す。これを塩ゆでにする。貝殻をつけたままでも、外してもいい。このまま酢じょうゆ、酢みそ、緩詰しょうゆ、わさびしょうゆなどで食べる。ワカメなどと合わせて酢のものにしてもうまい。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど

季語・歳時記では春。

地方名・市場名

カミソリ[剃刀]
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所三重県熊野市新鹿 
マテギャア
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所佐賀県唐津、長崎県島原 
チンポガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所兒島湾、香川県小豆島町池田入部 
タケガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所北海道岩内郡岩内町 
カミソリガイ[剃刀貝]
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所北海道稚内・道南(?)、千葉県富津市富津・木更津市瓜倉、佐渡、静岡県舞阪町・弁天島・浜名湖、富山県富山市、石川県富貴町、関西、大阪 
カミソリゲェ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所千葉県君津市人見 
カックリゲエ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所千葉県天津小湊町浜荻 
カミスリガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所千葉県富津市青木・木更津市金田・久津間・江川 
マタガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所千葉県市原市姉ヶ崎 
カッカミスリゲー
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所千葉県木更津市貝淵・桜井・中島・畔戸・久津間 
マテ[本まて]
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所千葉県袖ケ浦市・市原市・船橋市港町・千葉市稲毛、三重県浜島町、兵庫県瀬戸内海周辺、岡山県下津井町・牛窓町、広島県呉市、香川県小豆島 
マテガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所千葉県銚子市・君津市坂田、愛媛県大三島町、玄海 
シオスクイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所山口県下関市豊北町大字阿川 
ツメガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所山口県角島 
ホンマテ[本まて]
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所岡山県笠岡市神島外浦 
タツノツメ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所島根県江津市都治 
ソリガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所島根県益田市 
マッテ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所愛知県南知多 
カミソリギェー
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所新潟県佐渡 
マテギャ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所有明海 
カミソリッカイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所神奈川県三浦半島 
タテガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所静岡県下田市白浜、山口県下関市豊北町大字阿川、熊本県牛深市 
チンホガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所香川県小豆島町池田 
マテゲエ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所鹿児島県薩摩川内市下甑村手打