シログチ
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珍魚度・珍しさ | ★★ 少し努力すれば手に入る |
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魚貝の物知り度 | ★★★ 知っていたら通人級 |
食べ物としての重要度 | ★★★★ 重要 |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
分類 | 顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目ニベ科シログチ属
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外国名 | Silver croaker
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学名 | Pennahia argentata (Houttuyn,1782 )
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漢字・学名由来 | 漢字 白愚痴 Standard Japanese name / Shiroguti 由来・語源 浮き袋を使ってググっと鳴く。これが愚痴を言っているようなので。また「白」はニベを「黒ぐち」、「黄ぐち」に対しての呼び名。〈駿河にて「しろぐち」と云〉『物類称呼』(越谷吾山著 安永4/1775 解説/杉本つとむ 八坂書房 1976) 〈ニベ科イシモチ(グチ・シログチ)〉『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)。松原喜代松らはイシモチとグチ、シログチと標準和名で迷ったのだと思われる。 イシモチの標準和名は長々と使われた。 〈ニベ科イシモチ Pennahia argentata〉『魚類大図鑑 南日本の沿岸魚』(益田一、荒賀忠一、吉野哲夫 東海大学出版会 1975/11/25) 〈ニベ科シログチ Pennahia argentata〉『日本産魚類大図鑑』(益田一、荒賀忠一、尼岡邦夫、上野輝弥彌、吉野哲夫 東海大学出版会 1984) Houttuyn Maarten Houttuyn (Martinus Houttuijn マールテン・ホッタイン 1720-1798年)。オランダの医師、博物学者。リンネの継承者。ドクダミなどを記載。 |
地方名・市場名 |
概要
生息域
海水魚。水深15m〜140mの砂泥地。
青森県〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、青森県〜九州南岸の大平洋沿岸、瀬戸内海、有明海、東シナ海、。
渤海、黄海、朝鮮半島西岸・南岸、済州島、中国東シナ海・南シナ海。
生態
産卵期は5月〜8月。
内湾などのやや沖合の砂泥地に生息する。
砂泥地にいる環形動物や甲殻類などをエサとする。
鳴く魚としても有名。浮き袋を使ってグーグーと音を立てる。
基本情報
本州以南九州、朝鮮半島、中国沿岸に生息している。東日本関東でイシモチ、西日本でグチと呼ばれることが多い。
本州以南の沿岸域に群れを作っている。日本各地で揚がるが、以西底曳き網で大量に水揚げされていたことで有名である。大量に水揚げして練り製品の原材料にもなっていて、神奈川県小田原で蒲鉾がさかんに作られるようになったのも、九州で水揚げされるシログチのためだとも言われている。
鮮魚としても人気がある。関東では塩焼き用の魚として用いられ、韓国ではごま油で焼いて食べる。
珍魚度 普通の食用魚だ。ただし年間を通して安定的に見られるわけではない。
水産基本情報
市場での評価 年間を通して安定して入荷がある。安い。
鮮魚以外にも練り製品としての流通があり、こちらも非常に重要。練り製品の原料としては常に安定して高値。
漁法 底曳き網
主な産地 長崎県、愛媛県、香川県など
選び方・食べ方・その他
選び方
触って硬いもの(持ってピンとしている)。鰓が赤いもの。
味わい
旬/春〜初夏、秋
非常に鮮度落ちが早い。
鱗は柔らかく、取りやすい。皮は薄い。骨は細いが硬い。
白身で水分が多く、クセがない。卵巣の味は非常にいい。
栄養
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危険性など
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食べ方・料理法・作り方
好んで食べる地域・名物料理
塩焼きの定番魚 東京を始め関東では塩焼き用の魚という認識が根強い。これは東京湾でよく揚がったためだ。今でもそれなりにとれている。
加工品・名産品
釣り情報
ひところ東京湾の汚染が顕著になり(今はもっと深いところで深刻化しているようだ)、釣り魚が激減したときでもけっこう釣れて人気があったのが本種である。三浦半島でも有数の深い湾である金沢八景でも多くの遊漁船がでていた。東京ではこれを「イシモチ釣り」といった。胴突きの2本バリに片天秤、エサはゴカイかアオイソメ。これが良く釣れる。また釣り人しか知らない味わいに刺身があるのだ。
歴史・ことわざなど
■ すり身原料(練り製品の原料)として重要。高級とされる。
■ 関東を中心に各地で頭部にある耳石が硬いので「石持」と呼ぶ。
■ 「イシモチ」と呼ぶのは関東ではシログチとニベ。
■ 「イシモチ」とつくのはニベ科シログチだけではなくテンジクダイ科などにある。
■ 韓国などでは珍重して、干して調味料。食材として利用する。
地方名・市場名
参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所三重県二木島、和歌山県川邉・御坊・新宮
参考文献 場所三重県伊勢・鳥羽、岡山県、高知県浦戸・御畳瀬、有明海、福岡県戸畑
参考文献 場所三重県熊野浦、和歌山
参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所和歌山
参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929)、文献 場所和歌山県塩屋、福岡県柳川
参考文献 場所和歌山県塩屋、福岡県柳川、熊本
参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所和歌山県柏浦(水族志)
備考ニベ科の総称として。 場所宮崎県
参考文献 場所島根県松江
参考文献 場所東京、小田原、岡山、福岡県戸畑、長崎
参考文献 場所福島県小名浜
参考文献 場所長崎県長崎・長崎魚市場
参考文献 場所長崎県長崎魚市場
備考「石持」は内耳にある扁平石(耳石のいちばん大きいもの)が大きく、頭部を食べていると口にあたるため。1950年代まではイシモチが標準和名だった。三重・和歌山県二木島・新宮で若い個体としている。 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所関東、富山県高岡市
場所和歌山県和歌山市雑賀崎
場所徳島県鳴門市北灘・徳島市漁業協同組合、愛媛県西条市
場所福島県いわき市久ノ浜 正栄丸
場所和歌山市(高瀬有希子)
参考文献より。