オキナヒメジ
SL32cm前後になる。紡錘形で尾柄部に背側から側線の直前までの小さな横縞がある。尻鰭は低く、一番長い軟条は尻鰭の基底長さよりも短い。
魚貝の物知り度 |
★★★★★ 知っていたら学者級 |
食べ物としての重要度 |
★★ 地域的、嗜好品的なもの |
味の評価度 |
★★★★ 非常に美味 |
分類 |
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目ヒメジ科ウミヒゴイ属
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外国名 |
Blackspot goatfish
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学名 |
Parupeneus spilurus (Bleeker,1854)
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漢字・学名由来 |
漢字 翁比賣知(翁比売知) Okinahimeji
由来・語源 田中茂穂の命名。白い髭からの連想だと思われる。
〈ヒメヂ科ウミヒゴヒ属オキナヒメヂ Parupeneus spilurus (BLEEKER)〉『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938) |
地方名・市場名 |
オンチャン 備考「おじさん」と同意語。 参考福畑光敏さん 場所長崎県平戸市度島 オジサン 参考聞取・荷 場所関東を始め流通上 オトナ 参考川東繭右さん 場所鹿児島県屋久島 アカゴイ アカコイ[赤コイ] 場所長崎県五島 メン メンドリ 場所高知県宿毛市田ノ浦すくも湾漁協 オキベニサシ クチグワータカシ 参考文献より。 |
概要
生息域
海水魚。
茨城県〜九州南岸・屋久島の太平洋沿岸、八丈島、小笠原諸島、
[少ない]青森、岩手、新潟県〜九州沿岸、琉球列島。
済州島、台湾、フィリピン諸島、インドネシア、オーストラリア西岸・東岸〜トンガ。
生態
基本情報
大型ヒメジ類、特にホウライヒメジ、ウミヒゴイと一緒に入荷してくる。ホウライヒメジと比べると少ない。この3種はまったく区別されないで流通して評価も同じ。
年々評価を上げてきており、フレンチなどでは定番的なものとなっている。
オキナヒメジ 斑紋が中心を走る測線の上まで、測線を超えない
水産基本情報
市場での評価 入荷量は少ない。一定の評価のない魚であって高い安いがあったが、近年やや高値となっている。
漁法 定置網、釣り
産地 三重県、東京都、和歌山県
選び方・食べ方・その他
選び方
身に張りのあるもの。体色の鮮やかなもの、濃いもの。
味わい
年間を通してあまり味が変わらない。
鱗は大きく薄く取りやすい。皮は薄く熱に弱く、独特の風味がある。骨はあまり硬くない。
透明感のある白身でまったくクセがない。皮、骨などからいいだしが出る。
栄養
危険性など
食べ方・料理法・作り方
生食(皮霜造り、焼霜造り)、煮る(煮つけ、塩煮)、ソテー(ポワレ)、揚げる(フリット、唐揚げ、素揚げ)
オキナヒメジの皮霜造り 身(筋肉)よりも皮と皮の直下にうま味がある。三枚に下ろして皮目に湯をかける。冷水に落として粗熱をとり、よく水分を拭き取る。これを刺身状に切る。皮と皮下に甘味と独特のうま味がある。身の淡泊さとあいまってとても味わい深い。柑橘類が合う。
オキナヒメジの煮つけ 漁師さんなどに教わった食べ方でいちばん多かったのが煮つけ。水洗いして適当に切り、湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。これを水・酒・砂糖・しょうゆの地でじっくりと煮る。味つけはお好み。皮目に厚みがあってゼラチン質、とてもおいしい。
オキナヒメジのポワレ 水洗いして三枚に下ろして適当な大きさに切る。塩コショウして皮目からじっくりとソテーする。ソテーしたフライパンにシェリーを加えてデグラッセしてソースにする。皮目が香ばしくとても味わい深い。
オキナヒメジのフリット 水洗いして三枚に下ろして血合い骨を切り取る。塩コショウし小麦粉をまぶし、衣(小麦粉、ビール、少量の油、卵黄、水を混ぜ合わせたもの)をつけてやや高温で揚げたもの。さくっとして中は柔らかくとてもおいしい。
オキナヒメジのみそ汁 刺身したときの頭部やあらを集めて置き、湯通しする。冷水に落としてぬめりや残った鱗を流す。水分をよくきり、水から煮だしてみそを溶く。皮目に甘味があり、汁にも甘味が感じられる。とても味わい深い。
好んで食べる地域・名物料理
加工品・名産品
釣り情報
歴史・ことわざなど
神事に御供する 和歌山県串本町潮岬、潮御崎神社では神事に酒、野菜、赤い魚をお供えする。赤い魚は代々、「めんどり」とされている。奉納している方に聞くとホウライヒメジ、もしくはオキナヒメジである可能性が高い。[潮御崎神社 和歌山県東牟婁郡串本町潮岬]