10ヶ月目の塩ブリに早一年を思う
熟成ではなくなれなのかも知れないが時間が作り出す味

2024年8月19日、八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産で北海道根室産11kgのブリを、もちろん丸ごとではなく、半身を買う。
ちなみに最近、北海道のブリのほとんどが活ジメである。
外れがない。
刺身にして背の1㎏上を塩蔵する。塩鰤である。
我が家の塩鰤は松本の市場で出合った方達と、市内の魚屋、岐阜県飛騨地方の魚屋で聞いたとおりのやり方である。
本来は浜で作るものだが、最近、松本平や飛騨地方では家庭や魚屋で切り身で作ることが多いという。
大量の塩でまぶし、翌日水が出たら塩を足してまたまぶす。
これを1週間繰り返して、密閉する。
以上は前回、前々回も書いた。
塩ブリはときどき、気がついたように切り取って食べている。
塩の中で回転させて長々と塩蔵にしたので、切り身の芯の部分にまで塩が入っている。
ご飯よりもおいしい、サツマイモに塩ブリ

2024年11月初め、まったく未知の人からサツマイモを頂いた。
手紙が入っていたので、面識のある方であることがわかり、無駄にしたくないので1週間以上かけて食べ尽くした。
いちばんおいしかったのが、塩ブリをのせて食べたサツマイモである。
気がついたのが遅すぎた、サツマイモが底をつきかけていたのだ。
甘く、鼻に抜ける風味が心地よいサツマイモは舌を甘やかしてあまりある。
その甘甘なところに塩ブリの熟成したうま味と、塩気がくると適度に甘甘感が抑制される。
サツマイモの甘味と熟成した魚の味が見事に結婚するのである。
正月にも切り取り、雛の節供のときにも切り取る。
梅雨のゆるまに食べる、塩ブリに夏の風

そして大の苦手というか、ボクの体調不良の最大原因である事務仕事が立て込んだ、6月、梅雨のひぬまにまた切った。
作ってから10ヶ月の塩ブリである。
どんどん味が深くなっているのがわかる。
ボク的にはちょうどいい感じの塩ブリである。