愛知県豊橋市『御菓子所 絹与』の小豆羊かん
豊橋の老舗『絹与』の羊羹おいしいな

新潟県上越市で「寿羊羹」を買って食べてから、まさかの羊羹好きになってしまった。
これなら赤坂某店の「夜の梅」だって、今食べたらうまいと思うかも知れない。
ちなみに「あんこ」が好きで和菓子が好きなボクにとって、せっかくの「あんこ」のもとである小豆などの豆類の「あんこ」感を取り去った羊羹がどうにも許せなかった。ボクの「あんこ」ちゃんを返してくれ! と思ったほどだ。
滋賀県周辺の蒸し羊羹である、「丁稚羊羹」は好きだけど、「練り羊羹」ときたら、「あんこ」様の「あんこ」であることのよさが感じられなかったのだ。
でも、今、ボクは「あんこ」と同じくらい「練り羊羹」も好きだ。
好みがころころ変わるのがボクのボクらしさで、ころころ変わるのが進化という名の変化である。だから食通という進化を止めた存在が嫌いなのだ。
さて、『御菓子所 絹与』は豊橋市市街地のど真ん中にある。
前の通りが旧東海道である。京に向かって東海道宮宿(熱田宿)手前では最大の宿、吉田宿で、吉田藩の城下町でもある。
愛知県でも屈指の人口を誇り、歴史のある町だともいえるだろう。
この店から西に豊橋市の老舗が多く、これが江戸時代の吉田宿の中心地なのかも知れない。
そんな豊橋で見つけた『御菓子所 絹与』は享保年間創業とあるので、300年の歴史を持つ老舗中の老舗だ。
昔、和菓子屋を見つけて、入って、羊羹中心の店だったら、がっかりして回れ右していたものである。
でも今回は羊羹好きの新参者として、一棹(さお)買ってきた。店のお姉さんも美人でよかった。
これを5日間にわたっておめざに食べる。
落語家の羊羹食べのような、ヤな感じの舌触りではない。
ちゃんと小豆の粒子が感じられて、歯にもつかない。
小豆の渋の残り方も絶妙だと思う。
小豆にはうるさいつもりだが、非常に上等なものを使い、その上等な小豆を生かせていることも明白。
羊羹は高いものだが、5日で割れば安いものだ。
豊橋に行ったら、必ず『御菓子所 絹与』に寄りそうである。