ハモ
珍魚度・珍しさ | ★★ 少し努力すれば手に入る |
---|---|
魚貝の物知り度 | ★★★ 知っていたら通人級 |
食べ物としての重要度 | ★★★★ 重要 |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
分類 | 顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区真骨亜区カライワシ下区ウナギ目ハモ科ハモ属
|
---|---|
外国名 | Daggertooth pike conger
|
学名 | Muraenesox cinereus (Forsskål, 1775)
|
漢字・学名由来 | 漢字 海鰻(和漢三才図会)、鱧、歯魚、波無(和名類聚抄) Hamo Forsskål ペール・フォルスコール(ペーテル・フォルスコール)。ヘルシンキに生まれる。『諸動物の記載』【DESCRIPTIONES ANIMALIUM』(PETRUS FORSSKÅL,1732-1763 CARSTEN NIEBUHR,1733-1815】。『コペンハーゲンの教授ペーテル・フォルスコールによって東方への旅行中に観察された哺乳類、鳥類、両生類、魚類、昆虫類および下等動物の記載。著者の没後、カールステン・ニーブールによって編纂さる付録として海路の薬用草本〔の目録〕と紅海の地図を付す』。紅海東岸の魚類をミナミヒメジ、バラハタ、オオモンハタ、ナミハタ、ナンヨウツバメウオ、トゲチョウチョウウオ、モンツキクロハギほか。デンマーク国王フレデリク5世が後援して博物学者のフォルスコールが率いた6人のアラビア探検の途中、1763年マラリアのためにイェリームの町(現イエメン)にて客死。 |
地方名・市場名 |
概要
生息域
海水魚。水深120mよりも浅場。
新潟県佐渡・福島県〜九州南岸の日本海・東シナ海・太平洋、瀬戸内海、東シナ海大陸棚。
少ない/青森県深浦・川内・牛滝、沖縄本島
朝鮮半島西岸・南岸、遼寧半島〜広西省の中国沿岸、海南島、台湾、インド-西太平洋。
生態
水深120メートルより浅い砂泥地に棲息。
産卵期は4月から9月まで。
孵化するとレプトケファルス期をへて変体する。
雄は成長しても70センチ前後、雌の方が遙かに大きくなる。
雌は赤銅色なのに対して、雄は黄色がかった青。
基本情報
紀伊水道、瀬戸内海、九州などが名産地。盛んに釣り漁、底曳き網漁が行われている。鮮魚だけではなく高級な練り製品の原材料にも使われる。
古くはハモを好んで食べるのは関西であった。産地でもある大阪では庶民の味でもあり、スーパーなどにも普通に並んでいる。また生命力の強いハモは内陸の京都に運んでも、まだ生きている。この生命力から、京都でも盛んに食べられるようになったという。
産卵期前から産卵期に味がよく。この時期、京都市八坂神社「祇園祭」、大阪市大阪天満宮の「天神祭」の時期と重なるため、「祭鱧」の名もある。
逆に始末屋の関西人は値の張る「7月一杯までのハモは買わず(食わず)、8月になってから買え(食え)」とも言う。
小骨の多い魚で、京・大阪での「骨切り」をしてこそ料理が作れるもの。開いて皮を下にして、一寸を二十四に切るほどに細かく包丁を入れる。このためなか長く関西ならではの味覚であった。
近年は(2020年現在)、近年骨切りの機械の開発や、骨切りの技術が向上してきたことで徐々に取扱量が増えてきている。ただし関東では未だに料理店で食べるものであって、一般には馴染みがない。
珍魚度 消費地や西日本では普通だが、東北や日本海側では馴染みがない。少し探さないと手に入らない。
水産基本情報
市場での評価 古くは関西で高く、関東で安かった。雄は安く、雌が高い。現在では関東でも高値となっている。夏に入荷が多く。値段も高い。また釣りもので活け締めしたものが高く、底曳き網などであがったものは安い。韓国、中国などからの輸入ものが多い。
主な産地 大分県、熊本県、徳島県、山口県、和歌山県、長崎県
輸入 中国、韓国
漁法 底曳き網、釣り
選び方・食べ方・その他
選び方
大きなものは雌でうまい。小さな60センチ以下の青みがかったものは雄なので選ばない。ハモは雌がおいしく、雄は脂が少ない。
体表が輝いているもの。ぬめりに透明感のあるもの。活けは硬直していないものを、活け締めされて入荷してきたものは、死後硬直前、もしくは死後硬直状態にあるものを選ぶ。
味わい
旬は暖かくなってから、抱卵魚が目立つようになる8月、9月まで。
白身魚。皮が硬い。長くやや硬い骨があり、骨切りするか、すり身にして利用。
骨切りは1寸に23〜24の包丁目を入れる。
皮も大阪などでは酢の物などに利用する。卵巣、胃袋なども美味。
栄養
ー
危険性など
ー
食べ方・料理法・作り方
好んで食べる地域・名物料理
ハモと玉ねぎはとても相性がいいので、醤油仕立ての甘辛い味の鍋、「はもすき」にする。決して上等なものではなく、庶民的な食べ物で、当日は鍋として翌朝はおかずとして食べたりする。
大阪だけではなく、兵庫県もハモと玉ねぎの産地である。まったく同じ食べ方で鍋にする。
「はもすき」は要するにハモを使ったすき焼きである。市販のすき焼きのタレでも作れる簡単な料理だ。近年、骨切りをしたハモが関西だけではなく売られていることがある。いちど作ってみてはいかがだろう。
[大阪府・兵庫県]
加工品・名産品
釣り情報
ー
歴史・ことわざなど
季語・歳時記/夏 関西の夏祭りに食べられたり、鮮魚店でも7月になると店頭に並んだりする。大阪人は「ハモの落とし」に夏を感じるという。
滝沢馬琴 覊旅漫録 江戸時代、高瀬川の生洲料理屋にて若狭から来た鰻鱧を食す。(1803年京旅行の記録)
祇園祭(祭鱧) 京都市八坂神社の祇園祭の時期、ハモが旬を迎えることもあって、「祭鱧(まつりはも)」という言葉がある。祇園祭を「鱧祭」ともいう。7月いっぱい続く長い祭。
天神祭の鱧づくし 旧暦6月25日の天神祭にはハモを食べる。ハモづくしの料理を食べる。[松本商店 大阪府東大阪市布施]
泉州玉ねぎが出たら、ハモも出る 泉州大阪府南部は玉ねぎの産地。玉ねぎの収穫期、もしくは収穫後干して味が良くなってきたときに、泉州沖でハモがとれ始めるということ。大阪ではハモと玉ねぎを甘辛いすき焼きの地で似ながら食べる。ハモすき。
鱧も一期海老も一期 「はももいちごえびもいちご」。江戸時代前期からよく用いられたことわざ。〈人の境遇はさまざまであっても、結局は同じような一生を送る〉、〈俳諧『今様粧(いまようすがた)第一』「長き鱧短き海老も一期にぞや」〉。体が非常に長く海中を泳ぐ鱧も、腰が曲がり小さく穴などに隠れている海老も一生は同じような意味。
半夏生 大阪では半夏生(はんげしょう)の7月2日にタコとハモを食べる習慣がある。
鱧の皮 上司小剣の名作小説に「鱧の皮」がある。
鱧祭 10月16日(今は土日に移行か?)に兵庫県篠山市八幡神社で行われている奇祭。スサノオ尊の八岐大蛇伝説を思わせる芸能で、江戸中期の発祥と考えられている。大蛇になぞらえた鱧をぶつ切りにするという神事で、式後豆腐やデンガクを食べるなど、芸能要素と、神と年に一度の接触を尊ぶ神事として珍しく注目を浴びている。『ささやま風土記』(篠山地方観光協会編)
鱧ちり・鱧落とし 骨切りしたハモを湯に通したものを、料理店やすし店では「ハモ落とし」、スーパー・魚店で「ハモちり」という。[松本商店 大阪府東大阪市布施]
配給 〈関東でも第二次世界大戦のスケトウダラやサメガレイに混ざってハモが配給された。「こんな魚は小骨ばかりで食えん」……要約〉。関東ではハモを食べなかったということ。『魚のシュン暦』(金田尚志 石崎書店 1959)
地方名・市場名
サイズ / 時期鰾(浮き袋) 参考佐藤厚さん 場所長崎県雲仙市富津
1 場所徳島県
アカハモ[赤ハモ]
2 場所徳島県
場所島根県
備考小振りであまり値のつかないハモのこと。 場所京都府京都市京都中央市場
備考市場(流通上)では。 場所市場(流通上)
場所福井
場所北九州
場所長崎
場所石川県
場所京都府
場所丹後宮津
参考文献より。