タラバガニ

タラバガニの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
甲幅25cmほどになる。脚はかん脚も含めて外見上は8本。実は10本で1対の小さな脚が甲羅の下に隠れている。雄は足が長く太い。雌はやや足が短い。全体をトゲが覆っている。全体をトゲが覆っている。ふんどしは雄は三角形で雌は丸い。
甲幅25cmほどになる。脚はかん脚も含めて外見上は8本。実は10本で1対の小さな脚が甲羅の下に隠れている。雄は足が長く太い。雌はやや足が短い。全体をトゲが覆っている。ふんどしは雄は三角形で雌は丸い。
脚は10本で1対の小さな脚が甲羅の下に隠れている。これで甲羅内に入ってきて、鰓(がに)についたゴミなどを掃除している。
雄のふんどし(尾)の部分は三角形。
雌のふんどし(尾)の部分は丸い。
魚貝の物知り度
知らなきゃ恥
食べ物としての重要度 ★★★★
重要
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
節足動物門甲殻上綱軟甲綱(エビ綱)真軟綱亜綱(エビ亜綱)エビ上目十脚目異尾下目タラバガニ科タラバガニ属
外国名
英名/King crab,Alaska king crab,Red king crab
学名
Paralithodes camtschaticus (Tilesius,1815)
漢字・学名由来

漢字 「鱈場蟹」。
由来・語源 昔、マダラの延縄漁によくかかってきた。マダラの棲息する深海にいるカニという意味。
カタカナでタラバガニと書くと標準和名だが「たらばがに」「鱈場蟹」と書くと本来は一般名称だ。例えばズワイガニを「たらばがに」ということもあればベニズワイをさすこともあった。すなわち「鱈場」=「マダラのいる場所(マダラの釣れる場所)」=「深い海底」という意味合いがある。その「鱈場」にいるカニもしくは異尾類のことをさす言葉でもある。

Tilesius
ヴィルヘルム・ゴットリーブ・ティレジウス(Wilhelm Gottlieb Tilesius von Tilenau 1769-1857)。ドイツの博物学者、探検家、医師。
地方名・市場名
タラバ
備考単に。 場所市場 
アンコ サイズ / 時期未成体カニ 
クラッカ サイズ / 時期未成体カニのさらに小さいもの 
備考北海道釧路では未成体カニをアンコ、さらに小さいものをクラッカと呼ぶ。 場所北海道釧路 

概要

生息域

海水生。北海道周辺。オホーツク海、カムチャッカ、ベーリング海、アラスカ沿岸の北極海。
北海道では水深30メートル(産卵期)〜360メートルに生息。
北にいくほど生息水深が浅くなる。

生態

■ 4月から6月に浅場で産卵する。
■ カニが持つ交尾器はなく、雄の第5脚(甲羅の下にある細く小さな脚)、雌の第3脚の付け根に生殖孔を持つ。雌の脱皮を待ち、第5脚の付け根から紐状になった精子(精紐)たぐりだし、この精紐にある精包を受け渡す。
■ 交尾した雌は、卵を腹肢(ふんどしの裏側にある)に産みつける。
■ ゾエア幼生で生まれて、グローコテ幼生期を経て稚蟹となる。
■ 稚蟹期は浅場にいて、成長するにしたがい深場へと移動する。
■ 一年後孵化し、プランクトン幼生期をへて稚ガニになる。
■ 成熟した親ガニは4月〜6月に脱皮。
■ 1年で甲長8.2ミリ、2年で甲長24ミリ、3年で甲長50ミリ、4年で甲長72ミリ、5年で甲長85ミリ、6年で甲長100ミリになる。甲長20センチになるには16年〜17年くらいかかる。

基本情報

北海道以北、アラスカ湾まで北洋に広く分布する。鱈場、すなわちタラが釣れるような深い場所にいて、タラ釣りに混ざることからこの名がある。
味がよく大きくなるので、カニ(短尾類)ではないがカニの王様(キングクラブ)と呼ばれている。
国内だけではなく海外でも人気があって、古くは缶詰に加工して外貨を稼いでいたことがある。国内での産地は北海道。国内産だけでは需要をまかないきれず、ロシア、アメリカなどから輸入している。
高価なために普段気軽に食べるというのは難しく、むしろ年末年始の商材となっている。
暮れになるとスーパーなどでも冷凍ものが山積みされて、師走の風物詩ともなっている。
タラバガニとアブラガニの見分け方
タラバガニのトゲ 甲羅中心部やや後方、心域に6つのトゲがある。希に4つあるものもある。アブラガニは4つ。
アブラガニのトゲ アブラガニは甲羅の中央部にあるツボ型のふくらみにトゲが4つ
このトゲの数で見分けるのがいちばん簡単。ただし北海道区水産研究所の「NEWS LETTER」に300体に15体ほどこの部分の棘が5~6のものがでるとある。どうしてもアブラガニを見分けたかったら、棘を確認して、その上で裏側も見る必要がある模様。できればタラバは6個だとしてアブラガニが6個になる比率が知りたい
タラバガニの脚の裏 タラバガニの足には裏側にも色素(褐色の濃い部分)がある。アブラガニにはほとんどない。
アブラガニの脚裏側 アブラガニには裏側脚にはほとんど色素がない
タラバガニの脚の裏 ゆでると足の裏の色素が赤くなる。アブラガニの足の裏側の赤い色素はわずかしかない。これでゆでガニでも2種類のカニの見分けがつく

水産基本情報

市場での評価 雄が高価で、雌が安い。活け、ゆでたもの、冷凍などで年中見かける。値段は国産は非常に高く。輸入ものでも雄で大きければ高い。
漁法 カゴ漁/刺し網
代表的な産地 輸入原産国はアメリカ、ロシア、カナダ。国内では北海道
■ 古くは北海道のマダラ延縄量で混獲されていた。20世紀の初頭から刺し網などで専門にとるようになった。
■ 流通するタラバガニ科はタラバガニ、アブラガニ、ハナサキガニの3種。その他は少ない。

選び方・食べ方・その他

選び方

脚を触って硬いもの。冷凍ものは持って重く感じるもの。活けは体液の出ているもの、ほとんど動かないものは避ける。

味わい

旬は秋から冬 脱皮したては水っぽく、秋から冬にかけて身が詰まっていて味がいい。
主に脚の筋肉を食べる。殻はあまり硬くない。太い縒りをいれた木綿糸を何本も束ねたような棒状の身がとれる。
そこにカニらしい風味があって、非常にバランスのいい味わいができている。
タラバガニにはほとんどミソ(肝膵臓)がなく、内子は美味であるが、外子はまずい。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

タラバガニの料理法・調理法・食べ方/蒸す、煮る(塩ゆで、鍋)、焼く、汁(みそ汁)


蒸しタラバガニ 大きいので甲羅を外して、蒸す方がやりやすい。蒸すことでうま味が強くなり、筋肉は柔らかく、口の中で脆弱にほぐれる。筋肉には甘味があり甲殻類の風味も強い。ボリューミーなこともあり、豪華な味わいだ。

タラバガニの炭火焼き ちょっと贅沢な気分を味わえるのが焼きガニ。できれば炭火をおこして焼きながら食べたい。タラバガニの旨みを凝縮させて、身の中の旨みと塩気だけで楽しむもの。好みの火入れ加減で食べられるのもいい。
タラバガニの鍋 原則的に生を使用する。脚や甲羅下の筋肉を適当に切る。カツオ節出し、昆布だしで酒・塩で味つけし煮ながら食べる。個人的には昆布だしでいいと思っている。野菜などはあえて入れなくてもいい。食べた後の雑炊が、これまた実にうまい。

好んで食べる地域・名物料理

日本全国。

加工品・名産品

缶詰、ゆでタラバ、ゆでるか蒸してむき身としたもの
カニ缶詰 1881年(明治14年)に第2回内国勧業博覧会に出品されたのが最初とされる。
冷凍ドレス 冷凍で流通しているもの。生とゆでたものがある。
内子 内子を瓶詰めにしたもの。
たらばがにラーメン タラバガニのエキスを練り込んだ麺のラーメン。『なみかわ製麺(北海道紋別郡湧別町)』

釣り情報

北海道日本海側ではマダラの延縄、一本釣りであがるという。

歴史・ことわざなど

■暮れが来ると様々なタラバの加工品が市場を賑わせる。その多くがロシア、アラスカなどからの輸入物であり、国産のものは少ない。いちばん多いのが蒸して冷凍したもの。ゆでて丸のままで冷凍したものより、脚だけの方が質も値段も上である。また生で冷凍した脚は、ゆでたものよりもうまいのではないかと思うが、ともっとも高価なのものだ。

■アブラガニをタラバガニと偽って販売されていたことがある。

■国内でとれる量は非常に少なくなり、国内に出回るほとんどが輸入されたものとなっている。

■昔は缶詰になって流通していた。我が国ではもっとも有力な産業、輸出産品だった。小林多喜二の『蟹工船』のカニはタラバガニである。