ハナサキガニ

ハナサキガニの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
甲長20cm前後になる。赤褐色で甲羅に対して脚が短く太い。全身が長い棘に覆われている。[表面 雄]
甲長20cm前後になる。赤褐色で甲羅に対して脚が短く太い。全身が長い棘に覆われている。[裏面 雄]
鉗脚(はさみ)を含めて脚は10本。いちばん後方にある脚は非常に小さく、鰓の掃除をするなどをしている。この構造はヤドカリに似ている。

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珍魚度・珍しさ★★
少し努力すれば手に入る
魚貝の物知り度 ★★★
知っていたら通人級
食べ物としての重要度 ★★★
一般的(流通量は普通)
味の評価度 ★★★
美味
分類
節足動物門甲殻上綱軟甲綱(エビ綱)真軟綱亜綱(エビ亜綱)エビ上目十脚目異尾下目タラバガニ科タラバガニ属
外国名
英名/Hanasaki-crab, king crab
学名
Paralithodes brevipes (H. Milne-Edwards & Lucas, 1841)
漢字・学名由来

漢字 花咲蟹 Standard Japanese name / Hanasakigani
由来・語源
■熱を加えると鮮やかな赤に変色するので「花が咲いたよう」とのことでついた。
■ 根室沖でたくさんとれたため根室半島の古名「花咲半島」にちなむ。
■ 根室花咲港で水揚げされたため。

地方名・市場名
コンブガニ イソガニ
サイズ / 時期小型 

概要

生息域

海水生。
北海道礼文島以東、オホーツク海、根室、釧路などに棲息。

生態

産卵は沿岸域で6月〜7月。
雌は抱卵して1年、4月〜5月頃幼生を孵化させて放つ。
昆布や甲殻類、ゴカイ、棘皮動物など雑食性。

基本情報

タラバガニ科でもっとも生息域が狭い。とれる量も少ないため、比較的北海道以外ではあまり目にする機会がない。むしろ根室などの観光資源といったところだろう。
根室の郷土料理鉄砲汁は本種を利用したもの。肝膵臓(みそ)も加えて濃厚な味わいを楽しむ。
珍しさ度 普通の食用ガニであるが、流通量が少なく季節が限られる。

水産基本情報

市場での評価 漁期は4月〜9月。国産とともにロシア産が目立つ。活、ボイルがある。値段はタラバガニの中では安い。
漁法 カゴ漁
代表的な産地 輸入原産国はロシア。国内では北海道。

選び方・食べ方・その他

選び方

触って重みを感じるもの。硬いもの。

味わい

旬は夏から秋
春には内子、外子を持つ個体が多い。
全身に強い棘があり、もつと刺さりはしないが痛い。殻は厚くて強い。
熱を通すと殻が赤く発色する。身の表面も赤く発色する。
筋肉には微かに臭味がある。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

ハナサキガニの料理・レシピ・食べ方/煮る(塩ゆで)、汁(みそ汁)
煮がに(塩ゆで) 塩水で20分ほどゆでて、氷水であら熱をとったもの。ゆで時間は大きさで変わる。殻、身の表面が鮮やかな赤に発色する。このまま食べてもおいしいが、微かに臭味があるが、これをよしとするかどうかは好みの問題。

アボカドサラダ アボカドと相性がいい。適宜に切ったアボカドと合わせて、マヨネーズ、少量のクールブイヨン(市販のものを溶いたもの)、ガラムマサラ、コショウ、レモンでドレッシングを作った。甲殻類にはガラムマサラが非常に合う。
ディップ 肝膵臓(みそ)をディップにしたもの。うま味が強く、油分にも似た食感があるので、パンに塗ってもおいしい。ここではブルーチーズ、バターと、タイム、コショウを合わせて練っている。パンにのせて焼くとなお美味。
グラタン まずはホワイトソースを作る。フライパンなどにバターを溶かして小麦粉をソテーする。ここに室温ほどにした牛乳を加えていく、ほどよい硬さで粉っぽさがなくなったら塩コショウして味つけする。耐熱容器にバターなどを塗り、炒めた玉ねぎのみじん切り、キノコなどをのせ、ハナサキガニの身を散らす。上からホワイトソースをかけて強火で焦げ目がつくくらいに焼き上げる。

好んで食べる地域・名物料理


鉄砲汁 根室周辺で食べられている。足を適宜に切ると鉄砲の銃身を思わせるためだろう。クセのあるハナサキガニの味がみそとよくあって滋味豊かだ。ふんどしや甲羅下にある、肝膵臓(みそ)を入れるとより味わい深くなる。豆腐やねぎなどをたっぷり入れてもいい。

加工品・名産品

北海道根室

釣り情報

歴史・ことわざなど

●1972年に出版されたサンケイ新聞社の『郷土料理の旅』石井出雄著に載っている写真が面白い。当時の茹でハナサキガニ、1匹150円で売られているとある。