ヒシカイワリ

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体長1m前後になる。体側は菱形に近い。胸鰭は長い。第二背鰭、尻鰭の先端は伸びる。舌、口腔は淡い色合い。遊離尻鰭棘は露出していて可動性だ。[43 cm SL・1.524kg]
体長1m前後になる。体側は菱形に近い。胸鰭は長い。第二背鰭、尻鰭の先端は伸びる。舌、口腔は淡い色合い。遊離尻鰭棘は露出していて可動性だ。[体長20cmの幼魚]
体長1m前後になる。体側は菱形に近い。胸鰭は長い。第二背鰭、尻鰭の先端は伸びる。舌、口腔は淡い色合い。遊離尻鰭棘は露出していて可動性だ。[43 cm SL・1.524kg]
遊離尻鰭棘は露出していて可動性だ。
口腔は淡い色合い。舌の先端はやや尖る。
珍魚度・珍しさ★★★★
正に珍魚・激レア生物
魚貝の物知り度 ★★★★★
知っていたら学者級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★★
究極の美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目アジ科クボアジ属
外国名
Longrakered trevally
学名
Atropus mentalis (Cuvier in Cuvier and Valenciennes, 1833)
漢字・学名由来

漢字/菱貝割 Standard Japanese name / Hishikaiwari
由来・語源/体形がカイワリに似て、形が菱形に近いため。
〈ヒシカイワリ属(新称) Ulua JORDAN et SNYDER, 1908 ヒシカイワリ(新称) Ulua richardsoni JORDAN et SNYDER〉。属名も種名もシノニム。『魚類の形態と検索』(松原喜代松 岩崎書店 1955)
属名 Ulua はハワイで本種の名前としている。ただしロウニンアジなどである可能性が高い。
Ulua mentalis (Cuvier, 1833) ヒシカイワリ属→Atropus mentalis (Cuvier in Cuvier and Valenciennes, 1833) クボアジ属 2022/01/23

Cuvier
バロン・ジョルジュ・レオポルド・クレティアン・フレデリック・ダゴベール・キュヴィエ(Baron Georges Léopold Chrétien Frédéric Dagobert Cuvier 1769-1832)。フランスの分類学者。キュビエとされることが多い。スエーデンのリンネ、フランスのビュフォンの分類体系に解剖学や古生物学などを加味して現在の形の礎を作った巨人のひとり。
Valenciennes
アシル・バランシエンヌ(Achille Valencienne 1794-1865)はフランスの動物学者。ジョルジュ・キュビエとともに『魚類の自然誌』を刊行。国内で水揚げされる多くの魚を記載。
地方名・市場名

概要

生息域

海水魚。沿岸の浅場。
鹿児島県笠沙。
台湾、海南島、トンキン湾、インド-ニューギニア島北東岸以東を除く西太平洋。

生態

基本情報

国内では鹿児島県で幼魚しか見つかっていない。
非常に美味。
珍魚度 国内では鹿児島県や沖縄県で希にあがるだけ、まさに珍魚。

水産基本情報

市場での評価/一度も流通の場で見ていない。
漁法/定置網
産地/鹿児島県

選び方・食べ方・その他

選び方

触って張りのあるもの。鰓が赤いもの。

味わい

旬は不明。11月、2月の個体は脂がのっていた。大きい方がおいしい。
鱗は細かく取りやすい。皮は薄いがしっかりしている。骨は軟らかい。
透明感のある白身で血合いは弱い。熱を通すとやや締まる。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

ヒシカイワリの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身)、揚げる(フライ)、焼く(塩焼き)、煮る(煮つけ)、汁(みそ汁)
ヒシカイワリの刺身(成魚) アジ科特有のアジであるが、シマアジやカイワリなどに劣らぬおいしさである。2月の大型個体は非常に脂が豊かで口溶け感があり甘いと感じる。背の青い魚特有の豊かなうま味もある。
水洗いして三枚に下ろす。皮を引いて刺身状に切る。写真は背の部分である。

ヒシカイワリの抱き身の刺身 内臓を包んでいるいちばん薄い部分である。細かい粒子の脂が密集して硬い。全部脂で硬いので嚙んで初めて口溶け感がある。やや細長く切ったのでうま味が適度に放出されて喉に消える。
水洗いして三枚に下ろし、内臓を包んだ部分の骨をすく。皮を引き縦方向に細長く切りつける。
ヒシカイワリの刺身(幼魚) 一瞬、シマアジを思わせる味わいである。小さい割りに少ないながら脂が感じられて甘味がある。舌触りがいい上に、後から魚らしいうま味がくる。
水洗いして三枚に下ろし、血合い骨を取り、刺身にしたもの。適度な食感があり、アジ科特有のうま味がある。
ヒシカイワリの焼霜造り(焼き切り) 腹の部分は非常に脂が強く、しかも身がしまっている。背よりも皮が薄いのでこの皮を生かしてみた。皮目の香ばしさがいい。しまった身も噛めば噛むほど味がある。
水洗いして三枚に下ろす。腹の部分の皮目をあぶり、氷水に落として粗熱をとり、水分を拭き取って刺身状に切る。
ヒシカイワリの障子焼き(中骨焼き) 中骨周りの身は脂があって、焼けた脂が香ばしい。身にもうま味があり、しかも身離れがいい。上身の切身を塩焼きにする以上に味わいふかい。
水洗いして三枚に下ろす。中骨を焼きやすい大きさに切り、振り塩をする。1時間程度寝かせて出て来た水分を拭き取り焼き上げる。
ヒシカイワリの塩焼き 焼き上がりの香りだけでも御馳走である。皮目だけではなく、身にも強いうま味がある。一切れの味わいにとても深みがある。塩焼きとしては最上級である。
水洗いして三枚に下ろし、かまの部分だけを切り取る。振り塩をして1時間以上寝かせて焼き上げる。
ヒシカイワリのあら煮 成魚のあらなので脂がとても豊かで、骨などについた身が柔らかい。身離れがいい。頭部などの皮にはとても豊かなうま味がある。あらとはいえ、とても食べでがある。
水洗いしてあらを集めて置く。食べやすい大きさに切り、湯通しして冷水に落とす。ぬめりなどを流して水分を切り、酒・砂糖・醤油・水でこってり甘辛く煮る。
ヒシカイワリの割下鍋 薄切りにした身を割り下で自分好みの煮加減で食べるというものである。身は脂が乗っているので締まることなく柔らかい。身にうま味がある。芹の存在を忘れてしまう。
水洗いし三枚に下ろす。腹骨・血合い骨を取り、薄切りにする。だし・酒・みりん・醤油・塩を合わて一煮立ちさせておく。鍋に刻んだ芹、切り身をのせ、割り下を入れて火に掛ける。
ヒシカイワリの煮つけ(幼魚) アジ科らしくいいだしが出てとてもいいだしが出る。この煮汁を絡めながら食べると非常に味わい深い。
水洗いして二枚に下ろす。切り身にして湯通しする。冷水に落として表面のぬめりなどを流して水分をよくきる。これを酒・砂糖・醤油・水を沸かした中で煮る
ヒシカイワリのフライ 成魚は脂が乗っているので揚げても硬く締まらず柔らかい。脂がとけ、うま味を含んだ液体と混ざり合って豊潤である。中心部分は半生なので多彩な味わいが楽しめる。
三枚に下ろして皮付きのまま塩コショウする。少し置き、水分を拭き取り、小麦粉をまぶして溶き卵をくぐらせて、パン粉をつけて高温で短時間揚げる。
ヒシカイワリの天ぷら 成魚の尾鰭近くの筋の多い部分を揚げたものである。非常に脂が乗っているので、表面はさくっと香ばしいが、中はとろっとして豊潤である。この表面と中の差が楽しい。
三枚にして尾に近い部分を開いて薄くする。軽く振り塩をする。少し寝かせて出て来た水分を拭き取る。小麦粉をまぶして衣をつけて高温で揚げる。
ヒシカイワリの唐揚げ 頭部など二度揚げするとかぶりつける。身はしまって鶏肉を思わせる食感である。脂があるので中からじわりと液化した脂とうま味が噴き出してくる。
頭部やかまの部分を適当に切る。水分をよくきり、片栗粉をまぶして少し置く。粉っぽさがなくなったら低温で揚げはじめる。火が通ったら一度上げて、少し置きまた今度は中温で揚げる。
ヒシカイワリのムニエル 意外に皮をぱりっと焼き上げるのが難しかった。皮目からじっくりと弱火でソテーする。ぱりっとなったところで大急ぎで食べた。皮はむしろ硬いくらいで香ばしい。身は脂が液化して豊潤で甘い。
三枚に下ろして腹骨・血合い骨を取る。塩コショウして小麦粉をまぶし、皮の方から弱火でじっくりソテーする。やや火を強めて身を取り出し、バターとレモンで風味づけしてソースとする。
ヒシカイワリのみそ汁 沖縄ではアジ類を「がーら」と呼ぶ。その代表的な料理が「魚汁」、すなわちみそ汁である。アジ類ならではのうま味がとても味わい深い汁になるが、本種も同様にうまい。
あらを湯引きして冷水に落として鱗や血液、ぬめりを落として水分を切り、水から煮出してみそを溶く。
ヒシカイワリ中骨の潮汁 汁はだしも昆布も使っていないのに、うま味が非常に豊かである。表面に脂の玉が無数に浮き上がっており、濃厚な味わいといってもいいだろう。付着した身も柔らかく味わい深い。
中骨は食べやすい大きさに切る。振り塩をし少し置き、出て来た水分を拭き取る。鍋に水と中骨を入れ火をつけあくを取りながらうま味を引き出す。薬味はねぎと粗挽きのコショウ。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど