ハゲヤセムツ
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20cm SL 前後になる。黒灰色で細長い。眼が大きく、眼から吻端までが非常に短い。主鰓蓋骨に棘がない。臀鰭棘は2。[愛知県蒲郡産 175mm・95g] 20cm SL 前後になる。黒灰色で細長い。眼が大きく、眼から吻端までが非常に短い。主鰓蓋骨に棘がない。臀鰭棘は2。[愛知県蒲郡産 165mm・82g]
珍魚度・珍しさ | ★★★ がんばって探せば手に入る |
魚貝の物知り度 |
★★★★★ 知っていたら学者級 |
食べ物としての重要度 |
★★ 地域的、嗜好品的なもの |
味の評価度 |
★★★★ 非常に美味 |
分類 |
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目ヤセムツ科ヤセムツ属
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外国名 |
ー
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学名 |
Epigonus denticulatus Dieuzeide, 1950
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漢字・学名由来 |
漢字/剥痩鯥 Standard Japanese name / Hageyasemutu
由来・語源/鱗がヤセムツと比べ剥がれやすいためだと思われる。
〈スズキ群テンジクダイ科ヤセムツ屬(新稱) 〔熊野灘の深海、高知、大洋州、Philippnes, Hawaii〕 ハゲヤセムツ(新稱) Epigonus atherinoides (GILBERT)〉
Epigonus atherinoidesは同定ミスで現ヒラヤセムツのこと。。
たぶん、ヤセムツとハゲヤセムツは同時期に熊野灘で揚がった個体で和名をつけたのだと思われる。ヤセムツはムツに似て小さいもしくは細長い。ハゲヤセムツはヤセムツに似ているが鱗が剥がれ安いために命名された。
2種が同時にテーブルに置かれていなければ、鱗の剥がれやすさの比較など出来なかったはずで、鱗が剥がれやすいのでハゲヤセムツともならなかったはずだ。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938) |
地方名・市場名 |
サナエ サナエチャン 参考フーディソン 場所愛知県蒲郡市 |
概要
生息域
海水魚。水深100-830m。低層遊泳。
相模湾、駿河湾、三重県尾鷲(熊野灘)、長崎県西方大陸棚斜面、九州〜パラオ海嶺。
オーストラリア南東岸、タスマニア沖、ニュージーランド、メキシコ湾、カリブ海、地中海東部、アフリカ大陸西部、レユニオン島。
生態
基本情報
日本列島周辺では相模湾以南に生息しているが。大西洋や地中海、インド洋など世界中にいる。
国内では深い海域の底曳き網で少ないながら揚がる。国内にいるヤセムツの中では大型で、底曳き網などのある漁港周辺では食用となっている。とても味のいい魚で、まとまりさえすれば人気が出るはずである。
珍魚度 珍しい魚ではないが、流通したことはないに等しい。底曳き網の産地などで探すしかない。
水産基本情報
市場での評価/一定の評価はない。
漁法/底曳き網
産地/愛知県
選び方・食べ方・その他
選び方
悪くなると白っぽく退色する。黒っぽくて身に張りのあるもの。
味わい
旬は不明。
鱗は非常に剥がれやすく気にならない。皮は普通。骨は柔らかい。
脂の混在して身で、白濁して柔らかい。
栄養
危険性など
食べ方・料理法・作り方
ハゲヤセムツの料理・レシピ・食べ方/揚げる(唐揚げ、天ぷら)、生食(焼霜造り)、焼く(塩焼き)、煮る(煮つけ)、汁(みそ汁)
ハゲヤセムツの唐揚げ 深海魚で唐揚げというと「目光(アオメエソ)」が思い浮かべるかも知れないが、それ以上に味わい深いかも知れない。全身に大量の脂があり、これが揚げることで一度溶ける。揚げ終わるとまた、少しずつ個体化するがこの空洞感が香ばしさを生む。
今回は鮮度の問題があり、頭部を落として急いで処理したが、鮮度がよければそのままでいい。水洗いして水分をよくきる。片栗粉をまぶし、少し寝かせてからじっくり二度揚げする。
ハゲヤセムツの天ぷら きんき(キチジ)は脂を皮膜で包み込んで、体幹部分を作りあげているが、本種も似たところがある。脂の塊のようで揚げると、体の大方が溶けてしまう。表面はさくっと香ばしく中が豊潤で、天種としては新しい味と言えそうである。
水洗いして三枚に下ろし、腹骨・血合い骨を取る。小麦粉をまぶし衣をつけて高温で揚げる。
ハゲヤセムツの焼霜造り 今回は手許にくるのが遅く、調べることがあったので、生食はギリギリだった。皮目をあぶったら脂がとろり舌の上で溶けて甘く、非常においしい。鮮度がよければなおうまいはずだ。
水洗いし三枚に下ろし腹骨と血合い骨を取る。皮目をあぶり、氷水に落とし水分を切る。冷蔵庫などで皮目を落ち着かせて切りつける。
ハゲヤセムツの塩焼き もっとも単純な料理、塩焼きが想像以上の味であった。非常に焼きにくいのは全身脂だからだ。脂の部分が空洞化するので身が崩れやすい。でもこの脂のとけた部分が揚げ物のような風味で絶品なのだ。
頭部を落として水洗い。水分をきって振り塩をする。1時間以上寝かせて、あまり触らないように焼き上げる。
ハゲヤセムツの煮つけ 非常に煮崩れしやすいが、上品な白身で脂が豊かなのでこくのある味わいである。身離れがいいのも魅力的だ。
水洗いして水分をよくきる。これを酒・砂糖・醤油・水、しょうがのせん切りを煮立たせた中で煮る。
ハゲヤセムツのみそ汁 非常に豊かで、強い味の汁になる。脂が溶け出しているのか、こくがある。身は上品で位ながら味わい深く、骨までしゃぶりつくしたくなる。
水洗いして水から煮出して、あくをていねいに取る。煮えたらみそを溶く。
好んで食べる地域・名物料理
加工品・名産品
釣り情報
歴史・ことわざなど