テンジクダツ

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1m SL 前後になる。細長く、口は嘴状。尾柄部に隆起線がある。鰓蓋骨前部に青黒い横帯がない。上顎後方のケンしは垂直に並ぶ。
鰓蓋骨前部に青黒い横帯がない(オキザヨリにはある)。
尾柄部に隆起線がある。

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珍魚度・珍しさ★★★
がんばって探せば手に入る
魚貝の物知り度 ★★★★★
知っていたら学者級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱真鰭区正真骨下区棘鰭上目スメグマモルフ系ボラ亜系ダツ目ダツ科テンジクダツ属
外国名
Blackfin longtom
学名
Tylosurus acus melanotus (Bleeker, 1851)
漢字・学名由来

漢字 天竺駄津、天竺喙長魚 Standard Japanese name / Tenjikudatu
由来・語源 神奈川県江ノ島での呼び名。南方系のダツの意味か?

Bleeker
Pieter Bleeker(ピーター・ブリーカー 1819-1878 オランダ)。医師、魚類学者。『東インドオランダ領の魚類図鑑』(Atlas Ichtyologique des Indes Orientales Netherlandaises 1862-1878)。軍医としてバタビア(現インドネシアジャカルタ)に赴任。インド洋、西太平洋の魚を採取。
地方名・市場名
ブッチメ
参考『伊豆・小笠原諸島の魚たち 改訂2版』(東京都水産試験場 2004) 場所東京都八丈島 
アオダツ
参考静岡県水産・海洋技術研究所・伊豆分場 場所静岡県土肥 
アオダス
参考静岡県水産・海洋技術研究所・伊豆分場 場所静岡県妻良 
アオサギ ウキシジャー オキシジャー ダツ ラス

概要

生息域

海水魚。沿岸の表層域。
青森県八戸、[宮城県気仙沼]、鹿島灘、新潟県、佐渡〜九州南岸の日本海・東シナ海、相模湾〜九州南岸の太平洋沿岸。
インド-太平洋の熱帯〜温帯域。

生態

基本情報

国内で見られる大型のダツはハマダツ、ダツ、オキザヨリ、テンジクダツの4種。
食用として利用している地域とまったく食べない地域が極端に分かれる。
本種とオキザヨリは北上傾向にあり、相模湾や千葉県でもとれ始めている。
テンジクダツ、オキザヨリの2種はダツ科のなかでも非常に味がよく、産地ではよく利用されていた。それが近年利用されることが少なくなり、もしくは流通しなくなっている。非常に残念である。
珍魚度 珍しくはないが、ほとんど流通することはない。

水産基本情報

市場での評価 一般に流通しない
漁法 定置網
主な産地

選び方・食べ方・その他

選び方

銀色に輝いて、きれいなもの。鰓が鮮紅色のもの。

味わい

旬は不明だが、寒い時期から夏までのものは味がいい。
鱗は小さく取りやすい。皮は比較的厚く強い。骨は比較的柔らかく青い色をしている。
血合いは強く透明感のある白身。旬の時季は火を通しても硬く締まらない。

身質 骨は青い。身は熱を通しても硬く締まらず、身離れがいい。肝は非常においしい。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

テンジクダツの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身、セビチェ)、焼く(塩焼き)、煮る(煮つけ)、揚げる(フィッシュ&ティップス、唐揚げ)、汁(みそ汁、潮汁)
テンジクダツの刺身 意外にも小骨がなく、三枚に下ろして皮を引くと刺身は造りやすい。背の青い魚ならではの強いうま味とほどよい酸味があって非常に美味。わさびよりもしょうがの方が合う。づけにしてもいい。
水洗いして三枚に下ろす。腹骨周りを大きく取り去り、血合い骨を取る。皮を引いて刺身にする。

テンジクダツのセビチェ 小骨がなく、血合いに微かな酸味があるものの脂から来る甘味は少ない。このような魚は柑橘類と塩でマリネーするとぐんと味がよくなる。スピリッツに合う。
皮を引いた身は細かく切り、ライム(レモン、柚子などなんでもいい)で締める。少し置き、仕上げに紫玉ねぎ、辛い青唐辛子と和える。辛いのが好きなら最初から唐辛子を加えるといい。
テンジクダツの塩焼き 焼き上がりの香りがいい。典型的な青魚の味と思うと分かりやすいかも知れない。ただしサバ類のような脂ののりは規定できない。あっさりして後味が軽い。肝の味が非常に濃厚でうまい。
水洗いして適当に切る。肝があるのではらわたのある部分に振り塩する。1時間ほど寝かせてじっくりと焼き上げる。
テンジクダツのフィッシュ&ティップス 青い背の魚特有の味で、うま味が濃い。モルトビネガーをかけて食べる。
三枚に下ろして手手方向の細長く切る。水分をよくきり、小麦粉をまぶす。小麦粉、塩コショウを合わせたものをビールで衣を作る。これにジャガイモ、テンジクダツをまとわせてやや強火で揚げる。
テンジクダツの煮つけ うま味豊かな魚で、しょうゆで味つけした身自体の味もさることながら、煮汁のうまさにも驚くはず。適宜に切り、皮が破裂しないように切れ目を入れる。湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。これを酒、砂糖、しょうゆの味つけで煮る。甘い方がご飯に合うが、酒、塩などさっぱりした味つけもいい。
テンジクダツの潮汁 中骨、骨の多い部分などを集めて置き、湯通しする。冷水に落としてぬめりや残った鱗などを流す。よく水分を切り、昆布だし(水でも)で煮だして酒、塩で味つけする。とても上品でいながら味わい深い。
テンジクダツのみそ汁 小骨が多い腹側や切れ端を集めて置く。湯通しして冷水に落としてぬめりや残った鱗を流す。よく水分をきり、水(昆布だしでも)から煮出してみそを溶く。好みで根菜類、青菜、豆腐などを加えるといい。実にうま味豊かな汁でご飯に合う。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど