テンジクアジ
テンジクアジの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
42cm SL 前後になる。横から見ると猫の目形から徐々に体高が体長に比べて低くなる(細長くなる)。背鰭の先が糸状に長く伸びるが、臀鰭も長いが糸状にはならない。側線直線部分は側線前方曲線部分よりも長く、直線部分全体にわたって稜鱗は発達している。背鰭軟条数は20-22、背鰭(しり)軟条基底部分に目立った斑紋はない。遊離臀鰭棘は露出していて可動。[42cm SL ・1.65kg] 42cm SL 前後になる。横から見ると猫の目形から徐々に体高が体長に比べて低くなる(細長くなる)。背鰭の先が糸状に長く伸びるが、臀鰭も長いが糸状にはならない。側線直線部分は側線前方曲線部分よりも長く、直線部分全体にわたって稜鱗は発達している。背鰭軟条数は20-22、背鰭軟条基底部分に目立った斑紋はない。遊離臀鰭(しり)棘は露出していて可動。[22.5cm・271g] 42cm SL 前後になる。横から見ると猫の目形から徐々に体高が体長に比べて低くなる(細長くなる)。背鰭の先が糸状に長く伸びるが、臀鰭も長いが糸状にはならない。側線直線部分は側線前方曲線部分よりも長く、直線部分全体にわたって稜鱗は発達している。背鰭軟条数は20-22、背鰭軟条基底部分に目立った斑紋はない。遊離臀鰭(しり)棘は露出していて可動。[25cm・367g] 42cm SL 前後になる。横から見ると猫の目形から徐々に体高が体長に比べて低くなる(細長くなる)。背鰭の先が糸状に長く伸びるが、臀鰭も長いが糸状にはならない。側線直線部分は側線前方曲線部分よりも長く、直線部分全体にわたって稜鱗は発達している。背鰭軟条数は20-22、背鰭(しり)軟条基底部分に目立った斑紋はない。遊離臀鰭棘は露出していて可動。[12cm SL ・46g] 背鰭軟条数は20-22、背鰭軟条基底部分に目立った斑紋はない。直線部分全体にわたって稜鱗は発達している。
珍魚度・珍しさ | ★★★ がんばって探せば手に入る |
魚貝の物知り度 |
★★★★★ 知っていたら学者級 |
食べ物としての重要度 |
★★ 地域的、嗜好品的なもの |
味の評価度 |
★★★★ 非常に美味 |
分類 |
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目アジ科イトヒラアジ属
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外国名 |
Coachwhip trevally
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学名 |
Carangichthys oblongus (Cuvier, 1833)
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漢字・学名由来 |
漢字 天竺鰺 Standard Japanese name / Tenjikuaji
由来・語源 「天竺=インド」だろうと思われるが不明。インド洋に多いという意味かも。
標準和名をつけたのは、Caranx tanakai Wakiya, 1924 /synonym があるので、脇谷洋次郎である可能性がある。
『魚類の形態と検索』(松原喜代松 岩崎書店 1955)、『魚類大図鑑 南日本の沿岸魚』(益田一、荒賀忠一、吉野哲夫 東海大学出版会 1975までは未掲載。
『原色 沖縄の魚』(具志堅宗弘 タイガー印刷 1972)にイトヒラアジはあるが本種はない。
『日本産魚類大図鑑』(益田一、荒賀忠一、尼岡邦夫、上野輝弥彌、吉野哲夫 東海大学出版会 1984)には具志堅宗弘の解説で掲載。 Cuvier バロン・ジョルジュ・レオポルド・クレティアン・フレデリック・ダゴベール・キュヴィエ(Baron Georges Léopold Chrétien Frédéric Dagobert Cuvier 1769-1832)。フランスの分類学者。キュビエとされることが多い。スエーデンのリンネ、フランスのビュフォンの分類体系に解剖学や古生物学などを加味して現在の形の礎を作った巨人のひとり。
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地方名・市場名 |
ヒラバー 参考『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 場所鹿児島県種子島 ナガエバ 場所鹿児島県南さつま市笠沙 |
概要
生息域
海水魚。内湾やサンゴ礁域。
相模湾、[伊勢湾]、高知県以布利島、宮崎県延岡、[富山湾 2008-2018 年に富山湾で新たに記録した魚類 木村知晴・西馬和沙・不破光大・稲村 修(魚津水族館)]、山口県日本海側、長崎県、鹿児島県南さつま市笠沙・内之浦湾、沖縄島。台湾、インド-西太平洋域。
生態
基本情報
熱帯系の体高の高いタイプのアジで、主に沖縄県、鹿児島県などでほそぼそと流通、食用になっている。実に味のいい魚である。沖縄や鹿児島県では大型の成魚がとれるが、本州などでは30cm以下の若い個体が多い。
実にきれいな魚で味がとてもいい。
珍魚度 相模湾以南などの定置に紛れ込む程度の魚で、水揚げ量は極少ない。手に入れるのはとても難しい。
水産基本情報
市場での評価 沖縄県、鹿児島県などで水揚げがある程度だったが、北上傾向にあり相模湾などでも水揚げされるようになった。大型は、やや高値。
漁法 定置網
産地 沖縄県、鹿児島県
イトヒラアジ(上)とテンジクアジ(下)
両種はとても似ている。並べて見ないとわからないかも知れない。
イトヒラアジ(上) 非常に体高が高く、胸鰭が透明である以外の鰭は黒っぽい。背鰭後方根元下に台形の黒い斑紋が並ぶ。
テンジクアジ 体高は高いが同じサイズのイトヒラアジと比べると低い。身体の下の部分にある腹鰭・臀鰭・尾鰭下葉は黄色い。背鰭後方根元下に斑紋がない。
選び方・食べ方・その他
選び方
味わい
旬は本州では秋から初冬ではないかと思っている。九州や沖縄での旬は不明。
稜鱗(ぜんご)は短いが硬くトゲトゲしい。鱗は薄く取れやすい。皮は薄い。骨は細いが硬い。
透明感のある白身で血合い、銀皮がきれいだ。あらなどからいいだしが出る。
栄養
危険性など
食べ方・料理法・作り方
テンジクアジの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身、焼霜造り)、焼く(塩焼き)、汁(みそ汁、潮汁)、煮る(煮つけ)、揚げる(フライ、天ぷら)、ソテー(バター焼き、ムニエル)
テンジクアジの刺身 刺身で食べると大型はシマアジに劣らないと思っている。秋の大型はとても脂があり、身が上質で舌触りがいい。濃厚なうま味と甘味があるのも魅力的である。
水洗いして三枚に下ろし、血合い骨・腹骨をとって皮を引いて刺身にする。新いいものは薄めに、少し寝かせたものは厚めに切りつけるといい。少し寝かせた方がうまい。
テンジクアジの焼霜造り(焼き切り) 腹の部分は厚みがなく、皮を引いたら存在感が薄くなるので、あぶって切りつけた。まずはあぶった香りを楽しみ、身のうま味の豊かさを愛でる。実に存在感の強い味わいである。腹の部分の脂の多さもいい。水洗いして三枚に下ろし、腹骨を取り、腹の部分を切り取る。皮目をあぶって冷水に落とす。冷蔵庫で冷やして皮を落ち着かせてから切りつける。
テンジクアジのたたき(たたきなます) 1970年代、東京都内でも食べられ始めた「あじのたたき」の原型は、神奈川県小田原市などで作られていた「たたきなます」が原型である。細かく切ったテンジクアジの身は切り口が大きいだけに味わい豊か。、そこに香り野ある野菜が来ると、刺身とは別種の味になる。三枚に下ろし皮を引き、細かく切る。ねぎやみょうが、などと混ぜる。
テンジクアジの塩焼き 何よりも魅力的なのは皮である。小振りなのにも関わらず、皮の真下に脂があって液化している。身に強いうま味と甘味があるのも魅力だろう。小振りの固体を二枚に下ろし、骨つきの方に振り塩をする。1時間以上寝かせてじっくりと焼き上げる。
テンジクアジのみそ汁 あらなどから実に言い出しがでるので、みそ汁は絶品である。沖縄ではこれを「魚汁」という。汁というよりもご飯の主菜だ。これだけで充分おかずになる。あらなどは集めて置く。小さなものはぶつ切りに。湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水から煮出してみそを溶く。
テンジクアジの煮つけ くせのない白身で、いいだしが出るので煮つけにしても実に味がいい。小振りのものを水洗いし、適当に切る。湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。酒・砂糖・醤油・水を煮立てた中で煮る。砂糖やみりんを使わないであっさり煮てもおいしい。
テンジクアジのフライ 揚げてもぱさつかず、しっとりとしていて美味。水洗いして三枚に下ろして適当に切る。塩コショウして小麦粉をまぶし、溶き卵(水・小麦粉・卵で衣を作ってもいい)をくぐらせ、パン粉をつけて揚げる。マアジのアジフライよりもあっさりして上品な味になる。
テンジクアジの天ぷら アジ科ならでは、皮に独特の風味があり、薄い衣の内側で存在感を発揮する。この独特の風味と身の味わいで、天種として意外に優秀であることがわかる。水洗いして三枚に下ろす。腹骨を取り、背と腹に分ける。皮付きのまま薄く振り塩をして少し置く。小麦粉をまぶし、衣をつけて高温で揚げる。
テンジクアジのムニエル 小振りのものは丸ごとバター焼きなどにして美味しい。焼き上がりにしょうゆをたらすとおかずになる。またポワレにはならないがムニエルには向いている。これも実に美味しい。
好んで食べる地域・名物料理
加工品・名産品
釣り情報
歴史・ことわざなど