サケガシラ
珍魚度・珍しさ | ★★★ がんばって探せば手に入る |
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魚貝の物知り度 | ★★★★★ 知っていたら学者級 |
食べ物としての重要度 | ★★ 地域的、嗜好品的なもの |
味の評価度 | ★★★ 美味 |
概要
生息域
海水魚。主に沖合いに暮らす。
日本海、北海道・[岩手県宮古・田老・山田]、[神奈川県小田原市]〜土佐湾の太平洋沿岸。
台湾高雄沖。
生態
日本海沿岸などにときどきまとまって流れ着いてくる。
基本情報
日本周辺が生息域。沖合いにいてときに沿岸域に姿を現す魚だが、マスコミで騒ぐほど珍魚ではない。
近縁種のテンガイハタは若魚だけで成魚が見つかっていない。本種は逆に若魚・稚魚が見つかっていない。本種の生息域は日本周辺域のみで狭く、テンガイハタの生息域は広いなど、両種は本当に別種なのかと疑問に思う。またテンガイハタはリンネの使徒と目されるヨハン・フリードリヒ・グメリンが1789年に記載したもので、模式標本はあるのか、ないのかなど、本種とテンガイハタには様々な要件がある。
太平洋よりも日本海に多い。鳥取県や島根県の漁師さんで、ときに定置に大量に入り、売れないし、やっかいものだという人がいる。
1980年代に鳥取県米子市内の鮮魚店で5kg近いものが1尾500円でもいいが、売ったことはないと言われた。ときどきたくさん入るが練り物にしても下級なものだとのこと。
表面の鱗が強く、筋肉は非常に水っぽいものの、鮮度さえよければとてもおいしい魚である。
珍魚度 珍魚とは言えない。個体の状態さえ問わなければ探せば手に入る。特に日本海側の定置網などにはときどき入るし、まとまって入ることもある。
水産基本情報
市場での評価/主に日本海側で水揚げがある。まとまってとれるときがあり、非常に安い。
漁法/定置網、釣り
産地/新潟県、島根県、神奈川県
選び方・食べ方・その他
選び方
触って張りのあるもの。古くなると体液が流れ出、目が曇り凹んでくる。
味わい
旬は不明だが、春〜夏である可能性がある。
非常に水分が多いので鮮度が落ちやすく、古くなると生臭みが出る。
解体するのはなかなか大変な作業であった。体を5当分に切り分けて三枚卸しにした。
測線上や背鰭際、腹部正中線上に強い棘があり触ると痛い。鱗は硬いが熱に弱く、火を通す限りはあまり気にならない。皮は弱く、骨は柔らかい。
筋肉は水分が多いが味はいい。熱を通すと柔らかくなり、少しだけ縮む。
味は鮮度次第。新しいと非常においしい。
栄養
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危険性など
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食べ方・料理法・作り方
好んで食べる地域・名物料理
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加工品・名産品
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釣り情報
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歴史・ことわざなど
肉食魚 1964年に出版された名著『山陰の動物誌』(上田常一著 今井書店)に「故田中市郎の『珍魚の誉』という本」という章がある(正確には『南珍魚と北珍魚』)。〈昭和三五年十一月(1960)隠岐西郷町宇屋川で捕れた。なんでもイワシを追いあげて上がったらしく、川上の浅瀬で婦人たちがイワシを拾ったということだった。体長一,五メートル、白銀のタチウオを短くしたような形で、目が巨大なことから……〉。
釣れる 写真の固体も釣り上げられたもので、大きなハリを咽の奥に2本飲み込んでいた。
テンガイハタ 本種と非常に類似した魚にテンガイハタというのがある。その違いは現状では不明である。『日本産魚類検索』でも2種の検索は難しい