クロヌタウナギ

クロヌタウナギの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
全長50cm前後になる。細長く鰭は尾鰭しかない。吻の髭は3対。吻端に外鼻孔があり口は裂孔状。外鰓孔は6対でそれぞれが隣接する。
外鰓孔は6対でそれぞれが隣接する。
吻の髭は3対。吻端に外鼻孔があり口は裂孔状。
魚貝の物知り度 ★★★★★
知っていたら学者級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
無顎口上綱ヌタウナギ綱ヌタウナギ目ヌタウナギ科ヌタウナギ亜科ヌタウナギ属
外国名
Brown hagfish
学名
Paramyxine atami Dean
漢字・学名由来

漢字 黒沼田鰻
由来・語源 「沼田鰻」は大量の粘液が出て海水と混じり合うと泥田のようであるため。その「沼田鰻」の仲間で黒いため。

地方名・市場名
アナゴ
場所秋田県男鹿市、新潟県、山形県 
ウナギ
場所新潟県 

概要

生息域

海水魚。水深45-400m。
青森県〜長崎県の日本海・東シナ海沿岸、福島県〜土佐湾の太平洋沿岸、沖縄舟状海盆。
朝鮮半島東岸。

生態


クロヌタウナギの外鰓孔
外部に開いている鰓孔は6個でくっつきあっている。
ヌタウナギの外鰓孔
クロヌタウナギとともに6つだがそれぞれ離れている

基本情報

顎もなく、鰭には軟条も棘もない。分類上魚類に入らないとする説もある。ヌタウナギの仲間はウナギのように細長く、滑りの強い粘液を大量に分泌する。海底で生物の死骸などを食べて生きている。
本種は主に日本海で干もの、焼きものなどになっている。
韓国などでは炒め物など生鮮品としても重要。
食用としてだけではなく韓国やアメリカ、イタリアではイールスキンといって皮を財布やバッグにする。

水産基本情報

市場での評価 生での流通はほどんどない。安い。
どう、カゴ
産地 秋田県、新潟県、福島県

選び方・食べ方・その他

選び方

味わい

旬は夏。
鱗はなく、骨は軟らかく蛇腹状。皮は剥きやすい。
体内から大量の強い粘性(ねばりけ)のある液を出す。

体内から大量に強い粘りけのある液を出す。ねばりが強くまな板が持ち上がるほど。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

クロヌタウナギの料理法・レシピ・食べ方/焼く(素焼き、蒲焼き)、汁(みそ汁)、ソテー(炒める)
クロヌタウナギの素焼き 頭部と尾を取り去り、内臓を抜く。これを皮がかりっとするくらいまで焼き上げたもの。大根下ろしとポン酢で食べる。なんと言っても皮が香ばしくてとてもうまい。そこに筋肉の濃厚なうま味と肝を思わせるような風味がある。
クロヌタウナギのみそ汁 単にぶつ切りにして内臓にたまっている汚物などを洗い流す。これを水から煮出してみそを溶く。意外にアクなどが出ず、きれいな汁になり、塩と酒でもまずくはないが、みそとの相性が抜群にいい。とても滋味豊かな汁になる。
クロヌタウナギのコチュジャン炒め クロヌタウナギは皮を剥く。包丁で頭を落とすと簡単に剥ける。これを適宜に切って置く。炒めるための野菜を用意。タレ(コチュジャンと酒、みりん)を合わせて置く。ごま油を熱して剥き身を入れて野菜も加えて一気に炒める。ここにタレを加えてからめる。身がコリコリとして意外にイヤミのない味でうまい。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

干しあなご 山形県。内臓を抜き、鰓刺しにして干したもの。
焼きあなど 秋田県金浦、象潟で作られている。竹に挟み込み焼き上げたもの。
棒あなご 秋田県、山形県などで作られているもの。一夜干しだが、原型そのままである。焼くと皮がとてもかりっとして香ばしく、筋肉は鶏の肝を思わせるような風味があり、軟骨がこりこりしている。見た目とは裏腹に食べやすい。[ピー・エイチ 秋田県男鹿市]
あなご焼き(焼きあなご) クロヌタウナギ(ヌタウナギである可能性もある)をしっかりと焼き上げたもの。かりっと香ばしく、中心部に鶏の肝を思わせる部分がある。このように棒に刺したものと、挟み込んだものがある。

釣り情報

歴史・ことわざなど

■『食は越後にあり』(恒文社 佐藤国雄著)に新潟県寺泊町の「アメ横」という大型の魚屋さんの並ぶ観光地で『浜焼きあなご』として売られているという。また秋田県羽後町の佐藤順さんからもご近所で「あなご」として売られていたという話をいただいた。
■韓国では近縁のヌタウナギ類を珍重する。現在では駿河湾産のヌタウナギを輸出しているが、本来は日本海に多いクロヌタウナギを食べているものと思われる。