ギマ
体長25センチ前後になる。背鰭、腹鰭に計3本の強靱な棘がある。
魚貝の物知り度 |
★★★★ 知っていたら達人級 |
食べ物としての重要度 |
★★ 地域的、嗜好品的なもの |
味の評価度 |
★★★★ 非常に美味 |
分類 |
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系フグ目モンガラカワハギ亜目ギマ科ギマ属
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外国名 |
Short-nosed tripodfish
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学名 |
Triacanthus biaculeatus Bloch, 1786
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漢字・学名由来 |
漢字 擬麻、義万、銀馬
由来・語源 「ぎま」は静岡県浜名湖での呼び名。ギマの皮がザラザラして木綿を麻のように硬くした布に似ているから。
銀馬 銀色(灰色)をしていて馬のような形から「銀馬」、それが「ぎま」になった。 Bloch Marcus Élieser Bloch(マルクス・エリエゼル・ブロッホ 1723-1799 ドイツ)。医師、博物学者。ヨハン・ゴットロープ・テアエヌス・シュナイダー(Johann Gottlob Theaenus Schneider)とともに『110の画像付分類魚類学』を刊行。
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地方名・市場名 |
ツノギマ 場所愛知県一色 ハリハゲ 場所三重県尾鷲 ツノハゲ 場所和歌山県串本市 ギンカワムキ トゲハゲ ナンヨウツノハゲ 備考別名。 ギッパ ギッペ コンノウ サンボンギリ[三本錐] スッコベ ツノギ ツノコ ハゲ 参考文献より。 |
概要
生息域
海水魚。
北海道南部〜九州南岸の太平洋沿岸で鹿島以北には少ない、少ないながら新潟県〜山口県の日本海、九州北西岸、瀬戸内海(少ない)、屋久島、沖縄(少ない)。朝鮮半島南・東南岸、インド〜西太平洋域。
生態
比較的浅い湾内に群れているようだ。東京湾では汽水域にまで入る。
大量に粘液をだす。
基本情報
内湾性で腹鰭と背鰭に非常に大きくて硬く鋭い棘を持つ。また大量に粘液を出すなどで危険だしやっかいな魚である。
古く浜名湖などで好んで食べられたという記録が残っているが、今ではその鋭いとげと、大挙して押し寄せてくるので、内湾の定置網などに入って嫌がられている。
水産基本情報
市場での評価 入荷は非常に希。安い。
漁法 定置網
産地 千葉県、静岡県など
選び方・食べ方・その他
選び方
味わい
旬は秋から初夏。
大量の粘液を出す。
鱗は皮と一体化して硬い。皮ごと剥き取る。骨はあまり硬くはない。
血合いは褐色を帯びた赤。透明感のある白身で熱を通すと締まる。
肝はクセがなく美味。
栄養
危険性など
食べ方・料理法・作り方
ギマの料理法・調理法・食べ方/生食(刺身、セビチェ)、煮る(煮つけ)、汁(みそ汁)、焼く(一夜干し)
ギマの刺身 血合いがすぐにくすむので、鮮度のいい内に水洗いして皮を剥く。これを血合い骨、腹骨を取り、そぎ造りにする。食感がとてもよく、噛むと味が出てくる。柑橘類との相性がいい。
ギマのセビチェ 水洗いして、血合い骨、腹骨を取る。これを小さく切り、塩とライム、辛い唐辛子、紫玉ねぎ(玉ねぎでも)でしめる。締めることにより、心地よい食感が生まれ、非常に爽やかな味わいになる。スピリッツによく合う。
ギマの煮つけ 水洗いして適当に切る。これを湯通しして冷水に落としてぬめりを流す。これを酒・しょうゆ・水で煮る。みりん、砂糖などの甘味を加えてもいい。仕上げにしょうがの搾り汁を振っても、しょうがを一緒に煮てもいい。卵巣は思ったほど味がなかったが、身は非常に美味。
ギマのみそ汁 あらや小さなものは水洗いして適当に切る。肝などはおいしいので一緒に使うといい。湯通しして冷水に落としてぬめりを流す。これを水から煮てみそを溶く。仕上げにしょうがの搾り汁をたらしすと飲み口が上品に。豊かなうま味の感じられるおいしいみそ汁になる。ご飯にも合う。
ギマの一夜干し 単純に塩焼きにしてもおいしいが、一夜干しにすると味わい深くなる。頭部を落とし、皮を剥き立て塩か振り塩をする。水分をよくきり半日干す。焼くと硬く締まるがうまい。仕上げに酒を塗ると香りがいい。
好んで食べる地域・名物料理
加工品・名産品
釣り情報
歴史・ことわざなど
■ 〈浜名湖では昔から名物として賞味されている〉『東海の魚』(片岡照男 中日新聞社)
■ 〈濱名湖沿岸殊に入出村では古來特に是を賞味するので、此付近の鷲津などからも大に入荷することがある〉『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)