オオクチイケカツオ

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SL 90cm前後になる。最大で、1.2m SL、重さ16kgになるイケカツオ類最大種。測線上に稜鱗(ぜんご)がない。背鰭棘は皮膜で繋がらない。口は口は目の後縁を超える。背部に丸く薄い斑紋がある。[鹿児島県産 65cm SL・2.732kg]
SL 90cm前後になる。最大で、1.2m SL、重さ16kgになるイケカツオ類最大種。測線上に稜鱗(ぜんご)がない。背鰭棘は皮膜で繋がらない。口は口は目の後縁を超える。背部に丸く薄い斑紋がある。[宮崎県産]
口は口は目の後縁を遙かに超える。
背部に丸く薄い斑紋がある。

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珍魚度・珍しさ★★★
がんばって探せば手に入る
魚貝の物知り度 ★★★★★
知っていたら学者級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★★
究極の美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目アジ科イケカツオ亜科イケカツオ属
外国名
Talang queenfish、大口逆勾鰺
学名
Scomberoides commersonianus Lacepède, 1802
漢字・学名由来

漢字/大口生鰹 Standard Japanese name / Ookutiikekatuo
由来・語源/大正時代の命名であるため、当時統治していた台湾の名、大口逆鈎鰺を訳したのかも。顎が眼の後縁直下を越え、口の頭部に占める割合が大きいため。
1924年の脇谷洋次郎のアジ科研究に「オオクチイケカツヲ」が登場している
〈アヂ型類アヂ科イケカツヲ亞科イケカツヲ屬オホクチイケカツヲ(新称) 〔台湾以南印度洋〕〉。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)
第二次世界大戦後、国内海域にはいないと思われていたようだ。
国内海域での発見は1996年富山県富山市四方沖、1997年宮崎県日南市目井津だ。口の後端が目よりも後ろにあるため

Lacepède
Bernard Germain Lacepède(ベルナール・ジェルマン・ド・ラセペード 1756-1825 博物学者、音楽家。フランス)はビュフォン(Georges-Louis Leclerc de Buffon 博物学者。リンネとは違った配列を試みた)の後継者。
脇谷洋次郎
1873年愛媛県生まれ。農学博士。東京帝国大学理科大学選科。岩手県立水産学校教諭、宮城県水産学校長、島根県立水産学校長、東京帝国大学農科大学助手、第五高等学校教授を歴任し、1922年より朝鮮総督府水産試験場技師・水産試験場長に就任した。ワキヤハタは脇谷洋次郎にちなむ。
地方名・市場名

概要

生息域

海水魚。沿岸の浅場の表層域。
国内では希。富山湾四方沖、[京都府舞鶴]、山口県萩、長崎県五島列島福江、[三重県熊野市遊木]、宮崎県目井津、[鹿児島県南さつま市笠沙]、沖縄本島。
台湾、広東省、海南島、トンキン湾、インド-西太平洋(ニューギニア島西岸以東を除く)

生態

基本情報

主に台湾以南に生息していた魚で、本州、九州などで希に漁獲される。温暖化が進むと新しい高級魚の誕生となる可能性大だ。
台湾では比較的安くて、人気薄であるようだが、中華系の料理よりも和の方が合うためだろう。アジ科の味が好きな国内では知名度が上がれば人気が出るはず。
ちなみに国内で揚がったものは、珍しいこともあり、しかも比較的脂がのっているので、今の段階ですでに高級魚だ。
珍魚度 国内では希にしか水揚げされていない。手に入れるのはとても難しい。

水産基本情報

市場での評価/国内では数えるほどしか揚がっていない。流通上見ていない。
漁法/定置網、釣り
産地/宮崎県

選び方・食べ方・その他

選び方

触って張りのあるもの。鰓が赤いもの。銀色の輝きが強いもの。

味わい

旬は不明。台湾では4月・5月が旬だという。12月に来た固体は脂がのっていて、身に張りがあった。
鱗は細かく取りにくい。皮は厚く非常に硬く、熱にも強い。骨はあまり硬くない。
血合いの赤い白身。水分が少なくやや硬く。熱を通すとむしろ柔らかくなる。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

オオクチイケカツオの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身)、揚げる(フライ、唐揚げ)、焼く(幽庵焼き、塩焼き)、煮る(煮つけ、魚すき、ポシェ)、ソテー(ムニエル)、汁(潮汁、みそ汁)
オオクチイケカツオの背部分の刺身 12にやってきた固体は背の部分も白濁して脂がのっていた。ただ腹の部分ほどは脂が強くなく、むしろ食感のよさが感じられる。3月上旬の個体は脂が乗っていて、食感がほどよく非常にうま味豊かである。まるで脂ののったシマアジを感じさせる味だ。
水洗いして三枚に下ろし腹骨を取り、血合いを切り取る。背の部分の皮を引いてやや薄めに切りつける。
オオクチイケカツオの腹身に刺身 暮れに来た個体は脂が非常に強かったが、やや硬く、うま味はそこそこであった。3月の個体は脂が腹の部分は豊かでうま味も豊かだった。国内水揚げの個体数の少ない魚だが、マアジ同様温かくなっておいしくなるのかも。
水洗いして三枚に下ろし腹骨を取り血合いを切り取る。腹の内臓を包んだ部分の皮を引き、刺身に切る。
オオクチイケカツオの尾の身刺身 大型魚なのでブリのように尾に近い身に味がある。非常に筋が多く脂こそ少ないが、強いうま味があり、筋はそんなに硬くないので嚙みきることが出来て、これもまた味わい深い。
水洗いして三枚に下ろす。腹骨と血合い骨を取り、皮を引き、尾に近い部分をそぎ切りにする。
オオクチイケカツオのカルパッチョ アジ科だが白身にも近い味わいなので、オリーブ油との相性がいい。塩とライムとが味の貴重だが、実に味わい深い。白ワインにとても合う。
背の部分をできるだけ薄く切りつけて、オリーブオイル、すり下ろしたにんにく、塩をまぶした皿に並べていく。上からも塩コショウをし、オリーブオイルをたらしてとんとんとたたき馴染ませる。ハーブや柑橘類はお好みで。
オオクチイケカツオの塩焼き 焼くとアジ科らしい風味が強くなる。皮の好ましい香りと味、直下の脂の層の甘さ。ほどよく繊維質の身は口の中で心地よくほぐれて甘い。たっぷり食べても飽きの来ないうまさだ。
水洗いして切り身(かま)に振り塩をする。1時間以上寝かせて、じっくりと焼き上げる。
オオクチイケカツオのフライ 切り身に塩コショウして小麦粉をまぶし、衣(卵・小麦粉・少量の水)をからめてパン粉をつけて揚げる。他のイケカツオ属のように締まりすぎず、ふんわりと柔らかく揚がり、身に独特の風味がある。非常に美味。
オオクチイケカツオの唐揚げ 頭部に近い背の部分や内臓を抱く部分、刺身などで余った部分を集めて置く。水分をよくきり、片栗粉をまぶして揚げる。揚げ上がりに塩とカイエンヌペッパー(コショウでも)を振る。揚げると身がふんわり柔らかく甘みがある。
オオクチイケカツオのつけ焼き みりん、醤油の焼けた香りが真っ先に来る。身は適度にしまってほぐれやすく甘味がある。皮はかりっととても香ばしい。皮の味だけでも値千金である。
水洗いして切り身にする。軽く振り塩をして1時間ていど置き出て来た水分をとる。これを8分通り焼き、みりん多め・醤油少々のつけだれを塗りながら仕上げる。
オオクチイケカツオの幽庵焼き(祐庵焼き) 切り身に振り塩をして出て来た水分を拭き取る。これを酒・醤油・みりん同割りの地に半日つけ込む。漬け地をていねいに拭き取り、じっくり焦がさないように焼き上げる。焼くと適度にしまり、漬け地の味とあいまって非常にうま味豊かだ。
オオクチイケカツオのみそ焼き 田舎味噌を使ったもので甘味のみりんが効いている。身はほどよくしまって甘味があるが、みそとの相性もよく美味である。
水洗いして切り身にする。軽く振り塩をして少し置き、出て来た水分をとり、米味噌・みりんの地に1日程度漬け込む。
オオクチイケカツオの魚すき(煮食い、いり焼き、へか焼き) 切り身やあらをすき焼き地(酒・砂糖・醤油・水)で煮ながら食べる。甘いのが嫌いなら砂糖は不要。自分好みの煮え具合で食べると止まらなくなる。ご飯に合う。
オオクチイケカツオの煮つけ 兜(頭部)を半割に。湯通しし、冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。これを酒・醤油・水で煮る。みりん、砂糖などで甘味をつけるとよりご飯に合う。なんと言っても皮目がうまい。アジ科は皮が薄いのに意外だ。皮下に適度にコロイド状のものができ甘味がある。飯にも酒の肴にもなる。
オオクチイケカツオのポシェ 腹もや背の尾に近い部分を塩漬けにする。これを半日以上寝かせて、ハーブブイヨン(クールブイヨン)でゆっくり煮立たせないように熱を通したもの。柔らかく、適度な塩味が感じられる。これをほぐしてパンに乗せて食べてもうまい。
オオクチイケカツオのムニエル 切り身に塩コショウ。ここでは皮は引かなかった。小麦粉をまぶして多めの油で身側からソテーする。焦げ目がついたら皮目をソテーして、仕上げにバターで風味づけする。ふんわり柔らかな身に甘みと独特の風味がある。
オオクチイケカツオのみそ汁 あらをとっておく。湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり、水から煮出してみそを溶く。アジ科ならではの濃厚なうまみと嫌みのない味わいで非常に美味。ご飯によく合う。
オオクチイケカツオの潮汁 あらを集めて置く。湯通しして冷水に落とす。残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり、昆布だしで煮だして酒・塩で味つけする。うま味豊かなだしが出て、しかも嫌みがない。飽きの来ない味である。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど