アンコウ
代表的な呼び名クツアンコウ
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コラム
トラフグにかじられたアンコウで、潮汁漢字・学名由来
魚類学最大のミステリー、アンコウとり違え事件
珍魚度・珍しさ | ★★★ がんばって探せば手に入る |
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魚貝の物知り度 | ★★★★ 知っていたら達人級 |
食べ物としての重要度 | ★★★ 一般的(流通量は普通) |
味の評価度 | ★★★ 美味 |
分類 | 顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区正骨下区側棘上目アンコウ目アンコウ科アンコウ属
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外国名 | Goosefish
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学名 | Lophiomus setigerus (Vahl, 1797)
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漢字・学名由来 | 漢字 鮟鱇、華臍魚(あんごううお)、老婆魚、琵琶魚、蝦蟇魚 Ankou あんこう・あんこ
「暗愚魚(あんぐうお)」の意味。「暗愚」とはのろまで愚か者の意味。見た目のぶよぶよして、太っていることからきたもの。「あんぐうお」が「あんこう」に転化。〈華臍魚(あんごう) 老婆魚 綬魚 琵琶魚〉。『和漢三才図会』(寺島良安 正徳3年/1713 東洋文庫 平凡社) あんこう・あんこ これ自体でふっくらした。丸みのあるという意味合いがあるのではないか? 髪を結うとき髪にボリュームをつけるためのすき髪のことを「あんこ」というのと同じ。和菓子の餡とも関係がありそう。 Vahl マルティン・ヴァール(1747-1804)はノルウェー生まれ。植物学者で魚類学者(動物学者)。デンマークのコペンハーゲン大学で講義をする。 |
地方名・市場名 |
概要
生息域
海水魚。水深30メートル〜510メートル。明らかにキアンコウよりも浅場にいる。
北海道〜九州南岸の日本海・東シナ海、北海道噴火湾〜九州南岸の太平洋沿岸、瀬戸内海、東シナ海大陸棚域。
朝鮮半島全沿岸、済州島、中国(長江沖を除く)東シナ海・南シナ海、台湾、希にピーター大帝湾、インド-西太平洋。
生態
産卵期は4月〜6月。
基本情報
国内では北海道から九州までの沿岸域で水揚げがある。料理店・流通の場・市場などでは「くつあんこう」と呼ばれている。一般的に「あんこう」とはキアンコウのことで本種ではない。
底曳き網、刺網などで水揚げされるキアンコウ(本あんこう)よりも安く、水揚げ量は圧倒的に少い。
浅場にいるので水揚げ時季も異なる。
外見は一般に鮟鱇として人気のあるキアンコウと変わらないが、市場人はしっかり区別して取り扱っている。キアンコウと比べると値段もかくだんに安い。
キアンコウ(本アンコウ)とくらべて特に味が落ちるわけではない。
珍魚度 珍しい魚ではないが、流通することがあまりなく、水揚げ量も少ないのでがんばって探すしかない。
水産基本情報
市場での評価/「本あんこう(キアンコウ)」と比べて入荷量は少ない。値段は小振りが多いので安い。書物などでもアンコウとキアンコウを逆転して記載していることがある。これは要注意。アンコウの入荷量は少なく、めったに流通上では見かけない。また関東の市場でも本種を「くつあんこう」と区別できる仲買も少なくなっているように思える。
漁法/底曳網、刺網
主な産地/
選び方・食べ方・その他
選び方
触って張りのあるもの。粘液が大量に出て白濁したものは古い。
味わい
旬は冬。キアンコウ(本アンコウ)と比べると筋肉などに水分が多く、身崩れしやすく味は劣る。
鱗はなく、歯以外はすべて料理に使える。肝や胃袋なども美味。
柳肉(上身)よりも皮、肝などの内臓の方が味がいい。
栄養
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危険性など
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食べ方・料理法・作り方
歯の部分のみ取り除き、皮を剥き、内臓を分けて適宜に切る。これを湯引きし、冷水に落としてぬめりなどを流す。水分をよくきり、少量のカツオ節だし、水、酒、しょうゆ、塩の汁で煮ながら食べる。基本的に肝も胃袋なども含めて「本あんこう(キアンコウ)」と同じ味わいでとても美味。
水洗いして歯と鰓以外をぶつ切りにする。胃袋、腸や卵巣、肝などは取り分けて置く。これをさし昆布をした水の中に入れてあくをすくいながら煮る。いいだしが出てくるので、塩・酒で味つけする。大根や白菜などの野菜、豆腐などを一緒に煮てもおいしい。
水洗いして尾に近い部分を三枚に下ろす。食べやすい大きさに切り、湯に数秒くぐらせて氷水に落とし、水分を切る。肝は軽く塩ゆでして氷水に落とし、水分を切る。
好んで食べる地域・名物料理
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加工品・名産品
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釣り情報
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歴史・ことわざなど
あんこ 相撲で「あんこ」、「あんこ形」というのは丸みがあって太っている力士をいう。これはもともと「魚のアンコウのような体形」という意味だ。
地方名・市場名
参考日比野友亮さん/和具の方言、『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所三重県和具、和歌山県湯浅・白崎・塩屋・太地・三輪崎・木ノ本
参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所和歌山県串本
参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所和歌山県周参見
参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所和歌山県和歌浦
参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所和歌山県田辺
参考青山時彦さん(宇部市青山鮮魚) 場所山口県宇部市
備考標準和名 場所東京など日本各地
1 備考小型の雄のこと。 場所陸前
参考文献 場所高知県御畳瀬
参考文献 場所鹿児島
備考キアンコウをホンアンコウ(本あんこう)、本種をクツアンコウといって区別する。 場所東京都
参考文献 場所宮城県