202306/25掲載

カマスの塩焼き、カマス飯

長崎県佐世保産のアカカマスはデブだった


同級生に「デブは死ななきゃなおらない」と言われたので自戒を込めて、ご飯もののコラム名にする。
さて、アカカマスは一般的食用魚で日本列島に住む人ならば、ましてや未来を考えているならば、知らなきゃー恥である。恥だと思えるほど普通の魚だが、旬を調べるために定期的に食べると、だんだん旬がわからなくなってきた。産卵後に漁獲量も減るし、当たり前だけど入荷量も減る。でも秋も深まってくるといいものが目白押しになり、しかも日本海と太平洋側で産卵期にずれがあるようなのだ。
さて、八王子綜合卸売協同組合、マル幸にあったアカカマスは昨日まではうんと高かったけど、今日は少しくらい安く買えるかもと算段した。
長崎県佐世保産で体長32cm・301gと大きく、触ると脂ののりもヨシという個体だった。
ちなみに魚は鮮度が命、なんてことをいう人がいるが、そんなこたーない。鮮度が命の魚もあるし、鮮度が命の料理法もあるけれど、鮮度はほどほどでいいときもある。自分の作りたい料理に合わせて、買うべきであって、それほど単純ではない。
しかも売れ残ったものを買うことは、魚屋にとっても決して嫌なことではない。魚は売れ残ったらただ、だからだ。しかも自然にも優しい。

卵巣が膨らんで、今が食べどき


今回は生殖巣の大きさを見たかったためと、カマスの塩焼きが食べたかったのと、我が家にあるすだちを使い切ってしまいたかったためでもある。
今回の個体はメスで卵巣が膨らんでいて卵粒が目立っていた。長崎県での産卵は来月初めくらいだろう。

アカカマスの王道は塩焼きにあり


脂は十分だったので頭と尾を切り落とし、二等分。振り塩をしてそのままビニール袋に密閉する。
このサイズでこの脂ののりだと塩が回るのには時間がかかる。プロなら化粧塩をして焼いてもいいが、一般家庭では寝かせた方がいいし、寝かせると冷凍できる。
頭に近い部分をじっくり焼き上げる。
「カマスの塩焼き一升飯(梭子魚の焼き食い一升飯)」などというが、ぐっと我慢して多摩の酒、澤ノ井の辛口を正一合をダイエットのためにゆっくりなめなめする。
カマスのうまさは皮にあり、と思いきや適度にほぐれる身のうまさに、真子のうまさに心震えてくる。
一生懸命、一合でがまんする。

香りのある野菜、すだちと合わせる


翌日は遅い朝ご飯にカマスの尾に近い方を焼く。
袋から出して水分をよくきり、じっくり香ばしく焼き上げる。
これを冷まして骨を取り、ほぐす。同時に、ご飯をチンしてもどす。
もどした飯にすだちをしぼり込み、カマス、みょうがに青じそを混ぜ込む。

まさにデブには毒


みょうが、青じその香りと渋味や食感、すだちの酸味、焼いたカマスのどでかいうまさが一体化すると、無敵の味になる。
これに湯かお茶をかけてもうまい。
うなるほどにうまいけど、これをド深夜に食べるから太る。

このコラムに関係する種

アカカマスのサムネイル写真
アカカマスRed barracuda海水魚。サンゴ礁域を除く比較的浅場。大型は水深100m前後にもいる。オホーツク海を除く北海道〜九州南岸の日本海・東シナ・・・・
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