リュウグウノツカイ
珍魚度・珍しさ | ★★★★ 正に珍魚・激レア生物 |
---|---|
魚貝の物知り度 | ★★★ 知っていたら通人級 |
食べ物としての重要度 | ★ 食用として認知されていない |
味の評価度 | ★★★ 美味 |
概要
生息域
海水魚。沖合の深層。
北海道室蘭〜九州南岸の太平洋沿岸、北海道〜九州南岸の日本海・東シナ海、沖縄本島、西表島。
韓国釜山、済州島、海南島、トンキン湾。インド-太平洋域、南アフリカ、地中海。
生態
基本情報
リュウグウノツカイ科は世界中に3種。リュウグウノツカイ属は本種と、Regalecus glesne Ascanius, 1772 の2種いる。古くリュウグウノツカイは、一時、Regalecus glesne 1種とされていたが、後に遺伝子などの解析で国内海域のものは別種 Regalecus russellii となる。
本種は太平洋・インド洋に広く分布。深海に生息し、希に浅場でとれたり、打ち上がったりする。日本各地で揚がり、珍魚中の珍魚といった報道がなされるが、相模湾で見る限り、それほど珍しい魚ではない。とれる個体が少ないのは水揚げなどのときに体がもろいので破損する。もしくは持ち帰らないなど忌避の対象であるためだろう。
実際に神奈川県小田原小田原魚市場に水揚げする定置網漁師さんの中には、持ち帰らず、ていねいに逃がすという人がいる。人魚伝説の正体とも考えられている。一般的な食用魚ではない。
珍魚度 珍魚ではあるが珍魚度を4★でもぎりぎり3★を超えているといったところ。発見例も多く、珍魚としては平凡。
水産基本情報
市場での評価 非常に希に入荷する。魚店、料理店などに飾る物で食用としての販売はしない。
漁法 定置網
産地 神奈川県、静岡県
選び方・食べ方・その他
選び方
触って張りのあるもの。
味わい
旬は不明。
鱗は非常に取れやすい。皮は薄くて脆弱。骨は柔らかい。
水分の多い白身で指でつぶれ、食感は寒天を思わせる。
栄養
ー
危険性など
ー
食べ方・料理法・作り方
水洗いして適当に切る。湯通しして冷水に落として表面のぬめりを流す。このとき身が潰れやすいので要注意。鍋に酒・砂糖・醤油・水を煮立てた中で煮る。身は柔らかく泡雪のようでもある。嫌みがなく味はいい。
好んで食べる地域・名物料理
ー
加工品・名産品
ー
釣り情報
ー
歴史・ことわざなど
リュウグウノツカイを忌避 神奈川県小田原市の早川から真鶴町にかけての漁師さんは、定置などに入ってもできるだけ触らないようにして逃がす(捨てる)。絶対に水揚げをしてはいけないという。1980年代初め、沖で釣りをしていたとき、関東大震災を見たという老漁師から、「震災の前に見た」、「もしも海で見つけると避ける」という話を聞く。また台湾では「地震魚」で同じ意味である。
人魚の正体 魚類学者の内田恵太郎は、〈体は非常に長く、大きいものでは10メートルにも及び、全身は銀白色に光ったリボン状で、頭は普通の魚と違ってとがらず、人の顔のような感じがしないでもない。頭の頂上からうしろに5、6本の非常に長い鰭の条(すじ)が髪の毛のように延びているが、これが燃えるように赤く、その後方につづく背鰭も赤い。……私は、この魚が古来伝えられてきた日本の人魚の正体だと考えている。〉『さかな-日常生活と魚類-』(内田恵太郎 朝日新聞社 1966)