ホラガイ
魚貝の物知り度 | ★★ これは常識 |
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食べ物としての重要度 | ★★ 地域的、嗜好品的なもの |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
分類 | 軟体動物門腹足綱前鰓亜綱中腹足目(盤足目)ヤツシロガイ超科ホラガイ科ホラガイ属
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外国名 | Trumpet triton
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学名 | Charonia tritonis (Linnaeus,1758)
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漢字・学名由来 | 漢字 法螺貝 Horagai Linnaeus Carl von Linné(カール・フォン・リンネ 1707-1778 スウェーデン)。二名法を確立。 |
地方名・市場名 |
概要
生息域
海水生。サンゴ礁。
紀伊半島、八丈島以南。
大西洋、地中海、紅海、オーストラリア、ニュージーランド、熱帯インド・西太平洋。
生態
肉食性でヒトデ類などを餌としている。
サンゴ類を食い荒らすオニヒトデの天敵としても有名。ただ生息数が少なく、食べるオニヒトデは少ないために珊瑚の減少を防ぐ決め手とはならないとされている。
基本情報
インド洋、太平洋の熱帯域、サンゴ礁に生息する大型の巻き貝で、最大で殻が45cmにもなり、世界最大の巻き貝、アラフラオオニシに次ぐ大きさだ。美しいためもあって収集の対象であり、装飾などにも使われる。中国や東南アジアでは楽器としても重要である。
我が国では飛鳥時代から続く修験道の修行の際に持ち歩き、合図などに使う。また合戦などのときにも吹いて戦意高揚のために吹き、また合図とする。合戦などのときに使われてので「陣貝」の別名がある。
主に沖縄県で食用になっていて流通している。
問題は生息数が非常に減少していることだ。流通しているものを買っていいものかなど、気になる点多々だ。
また、九州本土以北で「ホラガイ」と呼ばれるものはボウシュウボラ、ナンカイボラであるため、情報が混乱していることがある。本種が生息しているのはサンゴ礁域だけだ。
水産基本情報
市場での評価/沖縄県などでは水揚げがあり流通している。
漁法/採取
産地/沖縄県
選び方・食べ方・その他
選び方
原則として生きているもの。死んでも粘液などの出ていないもの。
味わい
旬は不明。
貝殻は硬いが薄い。身の取り出し方はいろいろあるようだが、割ってしまうのがいちばん簡単だと思う。布袋などに入れて貝殻が飛び散らないようにしてたたき割る。
軟体部分が大きく歩留まりはいい食べるのは主に足で筋肉のみ。
内臓はフジツガイ科なので食用としない方がいい。
栄養
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危険性など
ボウシュウボラ、カコボラには内臓にテトロドトキシンを持つ場合がある。本種も同じフジツガイ科で沖縄本島、石垣島などでも内臓は食べない。
食べ方・料理法・作り方
足の先端部分は硬く食感がいい。内臓近くの部分は柔らかく甘味がある。貝らしい風味も感じられて美味。
好んで食べる地域・名物料理
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加工品・名産品
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釣り情報
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歴史・ことわざなど
法螺貝・梵貝 〈……貝の肉を抜いて、殻の細くなった部分をすり欠き、そこに口をつけて吹くと殻内に共鳴して、遠くへ響く大きな音を出す、それで合図や楽器に用いられたが、特に仏法とは因縁深く、これを吹き鳴らすと、諸天善神を呼び悪鬼を払うとされ、法要に用いられる。法螺貝の名もこれに由来し、「梵貝」とも書く。とくに天台宗の山岳仏教では山伏の携帯具となっている。〉
陣貝 〈池田輝政(戦国時代〜江戸時代初期 戦国期からの大名で姫路城主にも)は関ヶ原合戦の前に岐阜城を攻めたが、そのとき貝吹弥左衛門が機を逸せず進み貝を吹き立て勝利に導き、この城を攻落して池田家繁栄の本を開いた……〉
横笛のように吹く 〈南洋諸島ではホラガイを楽器にするが、これは細い先に穴をあけて吹くのではなく、先より少し下に穴をあけて横笛のようにして吹くのである。〉
以上、『カラー自然ガイド25 貝の博物誌』(波部忠重 保育社 1975)
法螺貝 飛鳥時代(7世紀)の役行者縁の地、金峯山寺のある奈良県吉野山では法螺貝が今も売られている。修験道の必需品である。買いの殻長部分を切り取り、唄口と呼ばれる金属のマウスピースのようなものをつけて、法螺貝網というものをかぶせて持ち歩き、山間部での修行の際に吹く。
法螺を吹く、法螺を言う 〈俗ニ、虚言を語ルコト。(空洞ノ意カ)、虚言。〉。注/空洞は中身のないこと内容のないことで、「ほらあな」とも言う。「ほらあな」の転訛か、としている。『大言海』(大槻文彦 冨山房)
地方名・市場名
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所三重県度会群鵜倉村(現南勢町)
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所三重県度会郡
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所三重県志摩郡志摩町越賀(現志摩市)
場所佐賀
ブーワンギャー
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所佐賀
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所佐賀県
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所佐賀県脊振村(現神埼市脊振町)
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所佐賀県鹿島
場所別名
場所宮崎県串間市
フランケ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所宮崎県串間市
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所宮崎県東諸県郡、鹿児島県日置郡日置
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所宮崎県(仙台)
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所愛媛県大三島
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所沖縄県八重山・小浜島
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所沖縄県八重山新城島・竹富村・波照間島
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所沖縄県八重山石垣島・竹富村・新城村・鳩間島
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所沖縄県八重山西表島・竹富村
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所沖縄県北部地方・与那国島
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所沖縄県竹富島
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所沖縄県西表島
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所福岡県いわき市
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所紀南(南紀州?)
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所肥後南ノ関
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所長崎県対馬
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所長崎県対馬市上県町久原
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所長崎県島原市杉谷・大三東村・湯江村・多比良地・堂崎村
場所長崎県福江市(現五島市)大濱村
ブッギャ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所長崎県福江市(現五島市)大濱村
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所青森県野辺地
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所鹿児島県与論島
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所鹿児島県与論島・加計呂麻島・鬼界ヶ島、沖縄県八重山黒島・竹富島
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所鹿児島県奄美大島
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所鹿児島県奄美大島笠利町
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所鹿児島県徳之島
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所鹿児島県沖永良部島和泊町
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所鹿児島県肝属郡串良町有里
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所鹿児島県肝属郡佐多町
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所鹿児島県薩摩・大隅
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所鹿児島県薩摩川内市下甑村手打
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所鹿児島県阿久根
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所鹿児島県阿久根地方
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所鹿児島県鹿児島市
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所鹿児島県鹿児島市谷山町
場所八丈島
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所鹿児島県沖永良部島、沖縄圏首里・那覇市
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所鹿児島県奄美大島住用村
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 場所別名