ブリモドキ
ブリモドキの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
50cm SL 前後になる。紡錘形で体側にはっきりした太い黒い横縞模様がある。稜鱗(ぜんご)・小離鰭はなく、尾柄部に透明感のある隆起がある。背鰭棘はとても短く皮膜はない。[29cm SL・512g] 50cm SL 前後になる。紡錘形で体側にはっきりした太い黒い横縞模様がある。稜鱗(ぜんご)・小離鰭はなく、尾柄部に透明感のある隆起がある。背鰭棘はとても短く皮膜はない。[体長20cm] 50cm SL 前後になる。紡錘形で体側にはっきりした太い黒い横縞模様がある。稜鱗(ぜんご)・小離鰭はなく、尾柄部に透明感のある隆起がある。背鰭棘はとても短く皮膜はない。[5cm TL の稚魚]
珍魚度・珍しさ | ★★★ がんばって探せば手に入る |
魚貝の物知り度 |
★★★★ 知っていたら達人級 |
食べ物としての重要度 |
★★ 地域的、嗜好品的なもの |
味の評価度 |
★★★ 美味 |
分類 |
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目アジ科ブリモドキ亜科ブリモドキ属
|
外国名 |
Rootman, Pilot fish
|
学名 |
Naucrates ductor (Linnaeus 1758)
|
漢字・学名由来 |
漢字 鰤擬 Standard Japanese name / Burimodoki
由来・語源 田中茂穂の命名、もしくは江ノ島での呼び名。
〈ブリに近いもの故、私はブリモドキと命名して置いた次第である〉。『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年)
〈アヂ科ブリ亜科ブリモドキ属 ブリモドキ〉。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)
種小名/ductor 指導者、導引者。船などの前を泳ぐ習性からだろう。『日本産魚類全種の学名 語源と解説』(中坊徹次・平嶋義宏 東海大学出版部 2015) Linnaeus Carl von Linné(カール・フォン・リンネ 1707-1778 スウェーデン)。二名法を確立。
|
地方名・市場名 |
ヒシメイナダ 参考『内村鑑三の魚類目録(1884年/明治17、未発表)について』(時田●(文字不明)、小林喜雄 北海道大學水産學部研究彙報) 場所不明 タツミ 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所和歌山県田辺 ブリモドキ 参考文献 場所神奈川県江ノ島 オキノウオ サイゴブリ サイデブリ 参考文献 場所高知県柏島 ノボリサン 参考文献 場所和歌山県 |
概要
生息域
海水魚。沖合〜沿岸の表層。
小笠原諸島、北海道〜九州南岸屋久島の太平洋沿岸、鹿児島県笠沙、琉球列島、東シナ海北部の大陸棚縁辺。
青森県〜山口県の日本海沿岸、瀬戸内海には少ない。
千島列島南部の太平洋沿岸、朝鮮半島南岸、済州島、台湾、西沙諸島、全世界の温帯・熱帯域。
生態
世界中の温帯〜熱帯域に生息している。ヨーロッパでも馴染みのある魚でリンネが18世紀に記載した魚である。非常に美しい魚で黒潮域よりも地中海が似合いそうだ。
大型のサメやエイ、イルカなどの大型魚、船とともに泳ぐ習性があり、これがためにPilot fish(パイロットフィッシュと呼ばれている。港湾で大型船を誘導する水先案内の船(Pilot)のような魚(Fish)と呼ばれている。
国内では希に定置網に入ったり、釣れたりする。流通上では希に見かける程度である。
珍魚度 流通するものの、入荷量はとても少なく、かなりがんばって探さないと手に入らない。
基本情報
世界中の温帯から熱帯に広い生息域をもつ。漁業的には定置網などに希に紛れ込むもので、揚がっても1個体か2個体くらいなので利用されないことが多い。
また相模湾などでは小型が多いのも利用されない理由だと思う。
珍魚度 食用魚として希に流通することがある。まめに探さないと手に入らない。
水産基本情報
市場での評価/ほとんど入荷しないので一定の評価はなく安い。
漁法/定置網
産地/
選び方・食べ方・その他
選び方
味わい
旬は不明。
鱗は細かく取りやすい。皮は厚みがあるがもろい。骨は軟らかい。
白身で血合いは鮮度がよいときれいだがくすみやすい。熱を通しても硬く締まらない。
味わいはブリ(ワカシ、イナダ)に似ている。
栄養
危険性など
食べ方・料理法・作り方
ブリモドキの料理・レシピ・食べ方/揚げる(フライ)、生食(刺身)、煮る(煮つけ)、汁(みそ汁)、ソテー(ムニエル)
ブリモドキのフライ 若いブリであるイナダなどに近い味なので、生食よりも油を使った料理に合う。フライなどにすると味がワンランク上がる。
水洗いして三枚に下ろす。腹骨・血合い骨を取り、皮を引かないで塩コショウする。小麦粉をまぶし、溶き卵にくぐらせ、パン粉をつけて揚げる。
身質がよく、くせのない味で、揚げるとふんわりと柔らかくなる。血合いの少し青魚を思わせる風味がいい。
ブリモドキの刺身 黙って出すとブリの若い個体と思われそうである。少しだけ本種の方が身が緻密で水分が少ない。わさび醤油でも酢みそなどで食べてもおいしい。水洗いして三枚に下ろし腹骨・血合い骨を取る。皮を引いて刺身状に切る。
ブリモドキの煮つけ 水洗いして適当に切り、湯通しし、冷水に落としてぬめりや残った鱗などを落とす。これを酒・醤油・水であっさり煮た。身質はイナダ(ブリの若魚)に似て淡泊であるが、水分が少ないので身が締まっている。意外に冷たくして食べてもおいしい。
ブリモドキのみそ汁 あらや頭部を集めて置く。適当に切り、湯通しする。冷水に落としてぬめりなどを流す。水分をきり、水から煮出してみそを溶く。思った以上にいいだしが出て、汁がやたらにうまい。骨周りのみや皮もおいしいので満足度が高い。
ブリモドキのムニエル 淡泊なので油を使った料理にしてみた。三枚に下ろして切り身にする。塩コショウして小麦粉をまぶしてやや多めの油でソテーする。仕上げにバターで風味づけ。意外に皮目が香ばしく上がらなかった。おいしいとは思うが平凡である。
好んで食べる地域・名物料理
加工品・名産品
釣り情報
歴史・ことわざなど
Pilotfish 欧米ではパイロットフィッシュ。大型のサメや船などと一緒に泳ぐ習性があることから、パイロット(水先人、水先案内人ともいう。大型の船などを岸壁などに誘導する専門家)のようだ、との意味あい。田中茂穂は「古来の伝説として、この魚は鮫などを食物のあるところへ案内し、その報酬として己の恐れる肉食魚を威嚇してもらい、相互に利益を得ている」とする。