トゲクリガニ
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コラム
今年も初トゲクリガニは雄
珍魚度・珍しさ | ★★★ がんばって探せば手に入る |
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魚貝の物知り度 | ★★★★ 知っていたら達人級 |
食べ物としての重要度 | ★★★ 一般的(流通量は普通) |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
概要
生息域
海水生。
北海道西岸、津軽海峡、本州、瀬戸内海。
生態
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基本情報
主に本州以南に生息する。北海道根室などでとれるクリガニとほとんど区別がつかない。古くはクリガニとされることが多かったが、近年(2023年現在)、青森県産が有名になり、雌が高騰することでしっかり区別されて流通するようになった。
額角の大きさなどでクリガニと区別することは姿形では不可能に近い。北海道根室以北ならクリガニ、北海道西岸・本州以南ならトゲクリガニと考えるといい。
非常に味のいいカニで、味的と比べても遜色がないために雄すら値を上げつつある。
珍しさ度 普通の食用ガニだが、早春〜初夏に多く、その他の季節は少ない。消費地ではスーパーなどには並ばない。
水産基本情報
市場での評価 周年見られるが、3月〜5月に多い。雄の方が流通量が多く、雄よりも雌の方が高い。年年値を上げているのは認知度が上がっているためだろう。特に春、浅場にきた雌の内子は最上級の味。この時季の雌はとても高い。
漁法 カゴ漁、カニ網
産地 青森県、岩手県、宮城県
選び方・食べ方・その他
選び方
原則的に生きているもの。持って重みを感じるもの。
味わい
旬は雌の内子は春〜初夏。
殻はケガニと比べると硬い。脚の筋肉はそれほど多くはない。甲羅下の筋肉はたっぷりとしていて殻が軟らかいので食べやすい。
みそ、内子は非常に味わい深い。
栄養
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危険性など
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食べ方・料理法・作り方
好んで食べる地域・名物料理
湾内がに 青森県青森市では4月〜6月初旬くらいまで陸奥湾内で揚がる、ものを「湾内がに」という。桜の咲く季節でもあるので、どことなく華やかである。1989年の5月に青森の駅前市場へ魚を見に行った。じっくり北国の市場を散策したのは初めてであったのだが、市場に溢れたクリガニが市場中を逃げ回り、ときに足元を当たっていくのに驚かされた。それを市場のおばさんが見て笑いながらなにか言っている。「捕まえたらもって帰っていいよー」と言っているらしいので、あえて探すとなかなか捕まえられない。歩き疲れてさっきの店を見るとゆであげられたばかりの本種が山盛りになっている。これを1杯だけ買って帰りの東北自動車道のパーキングエリアで食べた。今でも思い出すのは店先の試食で殻をどんどん剥いてくれて「『わんないがに』おいしいだろ」と何度もくり返す、まっかなほっぺのおばさんの顔だ。
加工品・名産品
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釣り情報
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歴史・ことわざなど
ケガニに負けない 童謡ににケガニになれないクリガニというのがあるが、どうしてもケガニと比べられる。ケガニよりもひと回り小さくて、甲羅が5角形に見える。
瀬戸内海 広島県など瀬戸内海にもいることはあまり知られていない。『大柿町の海辺の生き物』大柿町海辺の生き物調査団著(広島県江田島市大柿町)というまことに楽しい図鑑がある。大柿町は瀬戸内海厳島、倉橋島に挟まれた島であるが、ここ大柿町でトゲクリガニが載っている。