トクビレ

トクビレの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
雄は50cm TL 前後に、雌は35cm TL 前後にしかならない。細長く体が8列の骨板(骨質板 ウロコが変質して硬い板のようになったもの)で被われていて、尾の方は棘のようになっている。雄(おす)は第二背ビレ、尻ビレが非常に大きく、雌の鰭はあまり大きくない。第2背鰭の軟条は12-14。口は下にあり、吻下に房状のヒゲがある。[雄]
雄は50cm TL 前後に、雌は35cm TL 前後にしかならない。細長く体が8列の骨板(骨質板 ウロコが変質して硬い板のようになったもの)で被われていて、尾の方は棘のようになっている。雄(おす)は第二背ビレ、尻ビレが非常に大きく、雌の鰭はあまり大きくない。第2背鰭の軟条は12-14。口は下にあり、吻下に房状のヒゲがある。[雌]
雄は50cm TL 前後に、雌は35cm TL 前後にしかならない。細長く体が8列の骨板(骨質板 ウロコが変質して硬い板のようになったもの)で被われていて、尾の方は棘のようになっている。雄(おす)は第二背ビレ、尻ビレが非常に大きく、雌の鰭はあまり大きくない。第2背鰭の軟条は12-14。口は下にあり、吻下に房状のヒゲがある。[雄]
雄は50cm TL 前後に、雌は35cm TL 前後にしかならない。細長く体が8列の骨板(骨質板 ウロコが変質して硬い板のようになったもの)で被われていて、尾の方は棘のようになっている。雄(おす)は第二背ビレ、尻ビレが非常に大きく、雌の鰭はあまり大きくない。第2背鰭の軟条は12-14。口は下にあり、吻下に房状のヒゲがある。[雄]
口は下にあり、吻下に房状のヒゲがある。[雄]

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珍魚度・珍しさ★★
少し努力すれば手に入る
魚貝の物知り度 ★★★
知っていたら通人級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★★
究極の美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目カジカ亜目トクビレ科トクビレ属
外国名
Sailfin poacher
学名
Podothecus sachi (Jordan and Snyder, 1901)
漢字・学名由来

漢字 特鰭 Tokubire
由来・語源
〈はつかくうを 北海道〉、〈とくひれ 北海道〉『帝国博物館天産部魚類標本目録.帝国博物館』(石川千代松・松浦歓一郎 1897)。「とくびれ」は富山県の呼び名だと思うが北海道としている。
「特鰭」は『日本魚類圖説』(岡田彌一郎、内田惠太郎、松原喜代松 三省堂 初版1935)にあり、富山県での呼び名。松原喜代松など京都大学に近い富山県の呼び名を採用したのではないか。特に大きな鰭を持つの意。大きく広がる第二背ビレ、尻ビレに由来する。
ワカマツ 田中茂穂は標準和名をワカマツとしていた。
タイプ標本(ホロタイプ) 青森県陸奥湾。来日したジョーダン、ジョン・オターバイン・シュナイダーが青森県にて採取。記載する。種小名「sachi(さち)」は青森県での呼び名だ。

Jordan
David Starr Jordan〈デイビッド・スター・ジョーダン(ジョルダン) 1851-1931 アメリカ〉。魚類学者。日本の魚類学の創始者とされる田中茂穂とスナイダーとの共著『日本魚類目録』を出版。
Snyder
ジョン・オターバイン・スナイダー(1867-1943 アメリカ) 魚類学者。スタンフォード大学の魚類学教授。『日本魚類目録(A catalogue of the fishes of Japan)』を田中茂穂、David Starr Jordanとともに作る。
地方名・市場名

概要

生息域

海水魚。水深200mよりも浅場に多い。水深20-269mの砂泥地、岩礁域。
北海道全沿岸、武蔵堆、青森県〜富山県の日本海沿岸、兵庫県津居山、島根県隠岐、青森県〜福島県の太平洋沿岸、駿河湾。
朝鮮半島東岸中部〜サハリン西岸の日本海沿岸、オホーツク海南部、千島列島。

生態

交尾して産卵期は10月から11月。卵は100日前後で孵化。
海底のゴカイやユムシを食べている。

基本情報

トクビレ科の中でも大型で西部北太平洋の寒冷な海域に生息する。トクビレ科には小型種が多く、本種が唯一の食用魚となっている。
本州北部でも揚がるが主に北海道でとれる魚。青森県、岩手県などからも入荷を見る。
底曳き網、刺網などで揚がる。もともとは漁業者も廃棄することが多く、一部の人が食べていたといった魚だった。北海道羅臼では昔は食べなかったという(2023年聞取)。
最初、大型になる雄が北海道の炉端焼きなどで人気となり、これが関東にも入ってきて、築地市場でも馴染みの魚となる。もともとは「八角(雄)」の入荷が主だったが、近年では雌も関東の市場にはしばしば入荷してくる。消費地で人気が出て産地に食文化が行き渡るという希有な例でもある。
脂ののりがいいことや、マスコミのために1990年代くらいから知られるようになった。今や関東では高値がつく。大型の雄が高いが、雌の流通も少なくはなく決して安くはない。
珍魚度 珍しい魚ではないが一般的な食用魚ではない。関東の市場でプロたちの間では見慣れた存在だが、いざスーパーなどで探しても手に入らない。

水産基本情報

市場での評価 関東の市場では量的には少ないが、定番的な魚となっている。値段は小さくても高値安定。大型のものは高級魚。雄の方が大きくなり高い。それに対して雌(めす)は小形であり、脂も少ないがために人気がない。値段の安い小振りなものには雄雌が混ざって箱詰めされている。関東ではあまり雄雌にこだわりがないので、混ざって入荷してきても特にオスを選んだりすることはない。
漁法 底曳き網、刺し網
主な産地 北海道、岩手県

選び方・食べ方・その他

選び方

雄は鮮度がいいと黒い。目が澄んでいるもの。鰓が鮮紅色のもの。

味わい

旬は秋から初冬だと思うが、比較的年間を通して味がいい。大型の雄が味がいいとされ値段が高いが、雌は安い上に雄と比べなければ非常に味がいい。また卵巣もおいしいので、別種の楽しみがある。
鱗は硬く繋がっていて剥くといい。骨は柔らかい。鱗は硬くて食べられないのだが、焼くと甲殻類のような香りがする。
白身で血合いはなく白濁して脂が混ざり込んでいる。濃厚な旨みと、脂の甘みがある。肝・卵巣はとてもおいしい。
鱗は引けない 鱗は非常に大きく硬く、棘があるので、引くのではなく、皮ごと剥く。意外に剥くのは簡単である。この皮は揚げものとか汁にするととてもおいしいので捨てないこと。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

トクビレの料理法・調理法・食べ方/焼く(みそ焼き、塩焼き、みそ漬け、干もの、さんが焼き)、生食(刺身、肝醤油がけ、肝みそ和え、みそたたき)、揚げる(素揚げ、皮揚げ)、煮る(鍋、煮つけ)、汁(潮汁、みそ汁)
八角の軍艦焼き(トクビレのみそ焼き) 今では北海道の郷土料理のように思われているが、1970年代になって登場した居酒屋料理であるようだ。眼の前で焼かれたら食べないでは帰れないといったものだったと想像する。
表面のみざっと洗い、真半分に開き、肝は取り分けてみそ・みりんと合わせてたたいておく。できれば上下の火でじっくり焼く。八分通り火が通ったら肝みそを乗せて焼き上げる。
みそと身をスプーンなどでかき出しながら食べると、たまらない味わいである。

トクビレの塩焼き 水洗いして、背開きにして振り塩をする。1時間以上置いてじっくりと焼き上げる。写真は雌なので真子、肝も一緒に焼いた。脂がのっていて焼いても硬くならず、鱗から甲殻類に近い風味が感じられてとてもいい。
トクビレ雌の干もの 雌は比較的安いので数尾まとめ買いする。刺身などもおいしいが、保存を考えて干ものにする。表面の汚れを流水でさっと洗う。背開きにして肝と卵巣を残してワタを取り去る。水分をよくきり立て塩に20分くらいつけて半日以上干し上げる。
トクビレ雌のみそ漬け 雄と違って雌は安いので、入荷すると少し多目に買うことをすすめる。これを干ものやみそ漬けにする。表面をざっと洗い、背開きにする。肝と卵巣はそのままで表面の水分を取る。これをみそ・みりん・酒の地に半日以上漬け込む。焦げないように焼き上げる。
トクビレの刺身 本種を刺身で食べるようになった歴史は新しい。消費地に出荷するようになってからだ。雄雌はどちらを使ってもいい。水洗いして三枚に下ろし皮を剥いて刺身にする。やや雄の方がうま味が強いとは思うが、雌にもほどほどの脂ののりが感じられて美味。
トクビレの刺身肝醤油かけ 薄造りにして美味。また肝を混ぜたしょうゆで食べても、肝で和えてわさびじょうゆで食べてもいい。刺身は全体に細かい粒子の脂が白身の中に白濁して混在している。体温でトロっととろける。
トクビレの肝酢みそ和え 水洗いして皮を剥き。腹骨と小骨を取る。少し小振りに切り、肝みそと和える。肝みそはゆでた肝とみそ・みりん・少量の酢を合わせて火にかけて練り上げたもの。濃厚な味わいを酢がやわらげてくれる。辛子をそえてもおいしい。
トクビレのみそたたき(なめろう) 雌など小型のもの、雄でも刺身にならない尾の部分などはめんどうなので、みそと香りのある野菜、ゆでた肝と一緒にたたくといい。脂があるので非常に濃厚な味で、そこに肝の味が加わる。酒の肴としては最上級のものとなる。
トクビレのさんが焼き みそたたき(なめろう)を焼いたものである。みそたたきは油を塗ったホイルやミニパンなどに乗せて、天火で焼き上げる。みそと肝の焼けた風味が非常に味わい深く、ご飯にも合う。
トクビレの素揚げ 頭部に近い部分は刺身や焼き物にしてもいいが、尾に近い部分は刺身にしにくいし、焼いても食べにくい。これを素揚げにする。単純に尾に近い部分を切り落として、そのまま低温で時間をかけて上げ、振り塩をする。二度揚げすると皮ごと食べられる。

トクビレの皮の唐揚げ 水洗いいして皮を剥き取る。この皮には甲殻類の殻に似た風味がある。また少ないながら付着している身には脂がある。これに片栗粉をまぶしじっくりと揚げると、少し硬いけど、香ばしく、口の中で魚らしいうま味が広がってとてもおいしい。
トクビレのちり鍋 水洗いして適当に切り、湯通しして冷水に落として、取れやすい鱗やぬめりを流す。これを昆布だしに酒・塩味で煮ながら食べる。野菜などはお好みで。煮上がりを食べると身が締まり、身離れもよく実にうまい。野菜などはお好みで。
トクビレの煮つけ 水洗いして皮を剥き、湯通しする。冷水に落として水分をよくきり、酒・しょうゆ・砂糖・水で甘辛く煮てみた。脂が乗っているのでほろほろと脆弱で甘みがあり、また脂に甘味がある。白身なのに濃厚な味があり非常においしい。
トクビレの潮汁 皮や頭部、あらを集めて置く。適当に切り水洗いして湯通しする。冷水に落として剥がれた鱗やぬめりを流す。これを昆布だし(水でも)で煮て酒と塩で味つけしたもの。実にうま味豊かなだしが出る。この汁の味だけで十二分においしいと思う。また身も実にうまい。
トクビレ皮だしのみそ汁(あら汁) 写真は皮と昆布でだしを取り、みそを溶いた。あらを使うとなおうまいが、本種はとてもいいだしが出る。またあらを使うと湯通しして冷水に落とし残った鱗やぬめりを流す。皮下や身に脂があり、非常においしい。野菜などはお好みで。

好んで食べる地域・名物料理

北海道。
軍艦焼き 開いて、肝、みそ、酒などを合わせたものを塗り焼いたもの。

加工品・名産品


八角干もの 主に北海道で加工されている。かなり高価である。開き干し、片身干しなどがある。焼くとエビやカニ(甲殻類)に近い香りがして、身に脂があって独特のうま味がある。

釣り情報

歴史・ことわざなど

古くはうち捨てられていた 〈小さな魚屋の息子だったから、商品にならないような魚も、ずいぶん食べさせられた。そのなかにハッカク(八角)もあった。父はこれをよく刺身にして食べていたようだが、少年の私には、ちょっと脂っこくて、煮物かみそ汁ぐらいで、うまいという記憶はあまり残っていない。……長い間ハッカクのことは忘れていたが、最近、ハッカクを売り物にしている酒亭を、偶然、二、三軒歩いた。刺身のほかに、あの奇妙な姿を“軍艦焼き”として売り出している店もあった。……つい最近までは、こんな魚食えたもんでねえと、漁師から岸壁にほうり投げられた魚だ〉『ほっかいどう 味の風土記』(達本外喜治 北海道新聞社 1984)

地方名・市場名

トクヒレ コトヒレ
参考『ほっかいどう 味の風土記』(達本外喜治 北海道新聞社 1984) 場所北海道 
コアクヨ
1 参考文献 場所北海道 
マツヨ[松魚]
参考文献 場所北海道幌別 
トクヒレ
参考『帝国博物館天産部魚類標本目録.帝国博物館』(石川千代松・松浦歓一郎 1897/明治30年) 場所北海道明治 
トクビレ
参考文献、『帝国博物館天産部魚類標本目録.帝国博物館』(石川千代松・松浦歓一郎 1897) 場所北海道(石川千代松)、富山県 
バイギウオ
参考文献 場所富山県新湊 
キウガナ
参考文献 場所富山県東岩瀬 
ヒゲラン ヒグラン
参考文献 場所富山県滑川 
フナカエシ マツオ[松魚]
参考文献 場所新潟県 
セワカマツ
参考文献 場所新潟県能生町 
サチ
参考文献 場所青森県 
トビオ
参考青森県水産技術センター 場所青森県八戸 
トンビ
参考青森県水産技術センター 場所青森県八戸市 
ハッカク[八角]
備考厳密には雄のみハッカクというとも。 場所関東 
ワカマツ[若松]
1 備考古い図鑑などでは。 場所北海道幌別、新潟県能生町 
ガガラミ
場所北海道岩内・幌別 
カクヨ
1 備考雌をソビヨ。 参考『北海道の自然 海の魚』(上野達治/北海道水産研究所/魚類学会 北海道新聞社) 場所北海道茅部町砂原・噴火湾 
ソビヨ
2 備考雄をカクヨ。 参考『北海道の自然 海の魚』(上野達治/北海道水産研究所/魚類学会 北海道新聞社) 場所北海道茅部町砂原・噴火湾 
トビヨ
1 場所北海道日高・十勝・釧路・胆振 
ハッカク[八角]
1 備考田中茂穂は雌のことだとしている。 参考『北海道の自然 海の魚』(上野達治/北海道水産研究所/魚類学会 北海道新聞社) 松澤周一さん(新潟県糸魚川市) 場所北海道日高・十勝・釧路、新潟県糸魚川市親不知 
ハッツク
参考文献 場所北海道日高・十勝・釧路