アヤボラ

アヤボラの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
11cm SL 前後になる。褐色の網状の殻皮に覆われている。膨らみがあり、毛を取ると貝殻は白い。殻口内も白い。[11cm SL・78g]
11cm SL 前後になる。褐色の網状の殻皮に覆われている。膨らみがあり、毛を取ると貝殻は白い。殻口内も白い。[11cm SL・78g]
11cm SL 前後になる。褐色の網状の殻皮に覆われている。膨らみがあり、毛を取ると貝殻は白い。殻口内も白い。[11cm SL・78g]
11cm SL 前後になる。褐色の網状の殻皮に覆われている。膨らみがあり、毛を取ると貝殻は白い。殻口内も白い。
珍魚度・珍しさ★★★
がんばって探せば手に入る
魚貝の物知り度 ★★★★
知っていたら達人級
食べ物としての重要度 ★★★
一般的(流通量は普通)
味の評価度 ★★★
美味
分類
軟体動物門腹足綱前鰓亜綱中腹足目(盤足目)ヤツシロガイ超科フジツガイ科アヤボラ亜科アヤボラ属
外国名
Oregon triton-shell, Trumpet shell
学名
Fusitriton oregonensis (Redfield,1848)
漢字・学名由来

漢字 綾法螺、文法螺 Ayabora
由来・語源 『目八譜』より。毛の流れが綾織のようだから。

地方名・市場名
ケツブ[毛つぶ]
場所北海道根室 
エゴツブ エゴバイ カラツブ[辛つぶ] ニガツブ[苦つぶ] タバコツブ[煙草つぶ]
備考「えご」、「えごい」、「えぐし」とは喉(のど)をいらいら刺すような味。 参考文献より。 
モコリリ
備考アイヌ語。 

概要

生息域

海水生。北方では潮間帯下部に生息。その生息域は水深300mに及ぶ。
日本海。相模湾、山口県以北。アリューシャン列島をへて北アメリカ西岸。

生態

肉食性。

基本情報

北太平洋に広い生息域をもつ巻き貝で、殻皮などまるでドンゴロス(粗い麻布)のようである。
北海道や東北で底曳き網や刺し網などに混ざって揚がる。ときにまとまって揚がるために活で流通することも希にある。また加工品などにもなる。内臓、唾液腺を食べなければとても味のいい巻き貝である。
珍魚度 珍しい貝ではない。ただし流通は希である上に漁で揚がっても持ち帰らないなど入手には努力を要す。

水産基本情報

市場での評価/関東への入荷は非常に希。安い。
漁法/底曳き網、カゴ漁
産地/北海道など
荷の形 入荷時は泥がついていて決してきれいではない。関東などでは食べ方を知る人がほとんどいないので、流通に乗ることは非常に希。
漂泊した貝殻 毛だらけの貝殻を漂泊したものが流通していた。2023年現在の状況はわからないが、香港の料理店でも見たという人がいる。

選び方・食べ方・その他

選び方

原則的に生きているもの。軟体(足)がだらっと出ているものや、粘液が出ているものは選ばない。

味わい

旬は不明。
唾液腺、わたに毒があるので食べないように。足の部分は軟らかく味がある。
煮てもあまり硬く締まらない。

アヤボラの処理法1 表面の汚れを落とし、8〜10分ほど塩ゆでにする。身を取り出す。
アヤボラの処理法2 消化器である肝膵臓などと、唾液腺を除去する前の足。
アヤボラの処理法3 内臓などは取り去り、写真の部分、足だけにする。この足を縦に割り、唾液腺を洗い流す。

栄養

危険性など

唾液腺、消化器などにはテトラミンなどの毒がある。嘔吐感や眩暈に襲われることがあるので、足の部分以外は食用不可。

食べ方・料理法・作り方

アヤボラの料理・レシピ・食べ方/煮る(塩ゆで、煮浸し)
アヤボラの塩ゆで もっとも基本的な料理法は塩ゆでである。塩ゆでして軟体を鳥だし、毒や内臓を除去する。ていねいに洗い、水分をよくきり、わさび醤油などをつけて食べる。
もしくはこれを酒・醤油・みりんなどの調味料につけ込んで食べる。

アヤボラの刺身 貝殻を割って中身を取り出すか、穴をあけて取り出す。内臓をていねいに洗い。足のつけ根にある唾液腺を取り出す。これを最初はひたすら揉む、仕上げに塩を加えて揉みぬめりを完全に洗い流す。水分をよくきり、刺身状に切る。小型で軟体部分が小さいため決してまずくはないが、手間がかかるのが難点。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

主に珍味に加工される。「つぶ」で珍味、総菜として出回る多くが本種。

つぶわさび 国産のアヤボラの足の部分をわさびの茎、昆布などを合わせた調味液に浸したもの。アヤボラの定番的な加工品のひとつ。
味つけつぶ これは燻製風味をつけたもの。貝の甘味そのままに燻製風味が加わって、いい味に仕上がっている。[大樹漁業協同組合 北海道広尾郡大樹町]

釣り情報

歴史・ことわざなど

■アヤボラの唾液腺にテトラミンの存在が確認され、また別の毒性分のある可能性もある(衛生研究所)。
■唾液腺などに酸味があり渋いので「エゴツブ」などの名がある。
■毛を除去して真っ白にしたものをみる(カブトアヤボラである可能性もあり)。これをオードブルの飾りなどに使用。