カゴカキダイ
カゴカキダイの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
20cm SL前後になる。左右の鰓膜は癒合する。体側に5本の黒く縦斜めに走る帯があり、いちばん下の帯は目を通り吻に繋がっているように見える。 20cm SL前後になる。左右の鰓膜は癒合する。体側に5本の黒く縦斜めに走る帯があり、いちばん下の帯は目を通り吻に繋がっているように見える。 20cm SL前後になる。左右の鰓膜は癒合する。体側に5本の黒く縦斜めに走る帯があり、いちばん下の帯は目を通り吻に繋がっているように見える。 20cm SL前後になる。左右の鰓膜は癒合する。体側に5本の黒く縦斜めに走る帯があり、いちばん下の帯は目を通り吻に繋がっているように見える。 全関連コラム
魚貝の物知り度
★★★★ 知っていたら達人級
食べ物としての重要度
★★ 地域的、嗜好品的なもの
味の評価度
★★★★★ 究極の美味
分類
顎口上綱硬骨魚類条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目カゴカキダイ科カゴカキダイ属
外国名
米統仔 花身婆 苦湳盤仔 場所 台湾(澎湖)
花身婆 場所 台湾(臺東)
Stripey 柴魚 斑馬 條紋蝶
学名
Microcanthus strigatus (Cuvier, 1831)
漢字・学名由来
漢字 駕籠舁鯛、駕篭担鯛、駕籠担鯛 Standard Japanese name / Kagokakidai
由来・語源 本種の吻から背鰭にかけて急激に盛り上がっているのが、駕籠舁の肩が舁き棒(かきぼう)がとても盛り上がっているのに似ているため。
〈カゴカキダヒ〉東京市(現東京23区)東京市場での呼び名。『帝国博物館天産部魚類標本目録.帝国博物館』(石川千代松・松浦歓一郎 1897/明治30年)
シマイシタイ 栗本丹州『魚譜』。
駕篭担鯛 頭の後ろ(肩)が急速に盛り上がっている様が、江戸時代の駕篭かき(かごかき)の体形に似ているからだとする説がある。『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版)
Cuvier バロン・ジョルジュ・レオポルド・クレティアン・フレデリック・ダゴベール・キュヴィエ(Baron Georges Léopold Chrétien Frédéric Dagobert Cuvier 1769-1832)。フランスの分類学者。キュビエとされることが多い。スエーデンのリンネ、フランスのビュフォンの分類体系に解剖学や古生物学などを加味して現在の形の礎を作った巨人のひとり。
地方名・市場名
地方名・市場名は下部にあります。クリックでジャンプします。
概要
生息域
海水魚。浅い岩礁域。
青森県〜九州南岸の太平洋沿岸、[鹿児島県種子島]、瀬戸内海伊予灘、幼魚のみは大阪湾、琉球列島[沖縄県南城市知念]。
朝鮮半島南岸、済州島、台湾、浙江省〜広東省、ハワイ諸島、オーストラリア東岸・西岸、ニューカレドニア、ノーフォーク島。
生態
産卵期は4〜5月。
稚魚期にトリクチス期幼生(チョウチョウウオ科の稚魚の特徴。後頭部に骨板がある)を経ない。
基本情報
本州以南の浅場に生息する小型魚である。古くはチョウチョウウオ科であった。稚魚期の形態などから独立してカゴカキダイ科をたてたようだ。現段階ではカゴカキダイ科としているが、将来はイスズミ科になる可能性もある。
幼魚・若魚は本州以南の浅い岩礁域などに普通。防波堤釣り(波止釣り)でもくるので、お馴染みである。
大型はやや沖合いにいて定置網などでとれるものだが、まとまって揚がることは少ない。
外見が派手で、おいしそうに見えないために市場価値は低かった。それが近年では非常に味がいいこともあって値を上げはじめている。
珍魚度 比較的暖かい海域なら釣りの対象魚である。2000年くらいから流通するようになっているが、2024年現在、料理店などで消費されてしまって一般的な小売店では見かけない。
水産基本情報
市場での評価 関東には希に入荷してくる。値段は徐々に上昇している。
漁法 定置網
主な産地
選び方・食べ方・その他
選び方
身体にふくらみがあるもの。古くなると目が赤く濁ってくる。鰓が鮮紅色のもの。
味わい
旬は秋から春。
大きい方が味はいいが、小さくてもおいしい。
鱗は細かく取りやすい。皮は薄いがしっかりしている。骨は細くあまり硬くはない。
透明感のある白身で脂は皮下に層を作る。身離れがいい。
栄養
危険性など
食べ方・料理法・作り方
カゴカキダイの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身、セビチェ)、焼く(丸焼き、塩焼き)、煮る(まーす煮、煮つけ)、ソテー(バター焼き)、揚げる(素揚げ、唐揚げ)、汁(みそ汁、潮汁)、炊き込みご飯
カゴカキダイの刺身(大型個体) 鱗は取らず、頭と内臓を取り去り、三枚に下ろして皮を引く。秋になると脂が皮下に層を作り、身にも混在して白濁する。この脂に甘味がある。魚らしいうま味も豊かで実にうまい。魚類中トップクラスの味だと思う。[全長20cmほどの大型個体]
カゴカキダイの刺身(小型個体) 本種のいいところは大小にかかわらず味がいいところだ。小さいので鱗は取らず、頭を袈裟懸けに落とし、内臓を取り去り、三枚に下ろして皮を引く。小さなものはさすがに脂が少ないものの、うま味がとても豊かである。魚類中トップクラスの味だと思う。[全長12cmほどの小型個体]
カゴカキダイの焼き切り(高知県などの料理名を便宜的に使っているが、地域地域で別の料理名があると思う。あったら教えて頂きたいとともに「焼き切り」を使わないでいただきたい) 三枚に下ろして腹骨を取り、血合い骨を抜く。皮目をあぶり、刺身状に切ったもの。皮はやや硬いものの非常に味わい深い。
カゴカキダイの丸焼き 比較的内臓のきれいな魚なので鱗もそのまま、丸焼きにする。鱗突きの皮は香ばしく、蒸し焼きしたようにふんわりと仕上がる。豊富な脂に甘味がある。これをしょうがじょうゆ、柑橘類などで食べる。振り塩をして焼いてもおいしい。
カゴカキダイの塩焼き 水洗いして振り塩をする。1時間ほど寝かせてじっくりと焼き上げる。熱いうちに立ち上る香りからしていい。これだけでもいいって感じだ。身離れがよく皮目にも身にも甘味がありとてもうまい。
カゴカキダイの塩煮(まーす煮) 水洗いしてここでは頭を落として煮たが、つけたままの方がよかった。水分をよくきり、強めの塩水で水分を飛ばすように短時間で煮上げる。身は締まりすぎず、皮が柔らかく箸でつつくと身と皮に一体感がある。非常においしい。
カゴカキダイの煮つけ 水洗いして頭部を落とす。湯通しして冷水に落として鱗やぬめりを取る。これを酒、砂糖、塩で煮る。酒、塩だけでも、塩だけで煮てもいい。煮ても硬く締まらず、身離れがよく、魚らしいうま味もあって美味だ。
カゴカキダイのバター焼き 旬ではなく脂ののっていないものにも向いている。水洗いして水分をよく拭き取る。塩コショウして多めの油でじっくり香ばしくソテーする。仕上げにマーガリン(バター)で風味づけする。あまり身が締まりすぎないのがいい。バターと皮の風味があいまってとてもおいしい。
カゴカキダイの唐揚げ 漁で揚がったもので小振りのものを使うといい。水洗いして水分をよくきり、片栗粉をまぶしてじっくり二度揚げする。素揚げにしてもいい。表面が香ばしく、中にはうま味がある。しょうゆをかけるとご飯にも合う。
カゴカキダイのみそ汁 小振りのものを適当に切る。湯通しして冷水に落としてぬめりと残った鱗を流す。水分をよくきり、水から煮出してみそを溶く。いいだしが出るのもあるが、煮た身自体が非常に美味。ご飯にも合う。
カゴカキダイの潮汁 刺身などにしたときのあら、小さなものは適当に切る。湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。これを昆布だしで煮だして酒・塩で味つけする。実に味わい深い汁で、骨周りの身が非常にうまい。
カゴカキダイの炊き込みご飯 多少小さくても使える。水洗いして水分をよくきり強い塩をする。1時間以上寝かせて焼き上げる。これを冷まして、炊飯用に用意した中にショウガのせん切り、酒・少量の醤油と一緒に入れて炊き上げる。こくのある味わいで皮目に独特の風味がある。これがご飯に炊き込まれて非常においしい。
好んで食べる地域・名物料理
加工品・名産品
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カゴカキダイの干もの 開きにしたり、内臓などを取ったりは不要。そのまま塩をして丸干しがいい。これは小田原のものだが、日本各地で少ないながら丸干しが作られている。脂がのっていて独特の風味が楽しめる。絶品である。[牧屋 神奈川県小田原市、雑魚 福岡県福岡市西区能古]
釣り情報
防波堤(波止)から浮き釣り、探り釣りで狙う。餌はオキアミ、アミ、イソメ類などなんでもいい。
歴史・ことわざなど
地方名・市場名
イマイオ イマイヲ シマイオ シマイヲ 参考 文献 場所 三重県伊勢地方
ヨコシマ 参考 文献 場所 三重県尾鷲
キンチャク[巾着] 参考 河部友彦さん(海辺のかわべ屋/三重県度会郡南伊勢町)、岩田昭人さん 場所 三重県度会郡南伊勢町・尾鷲市
ヒエカキ 参考 文献 場所 不明
マトエ 参考 『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所 和歌山県田辺市和深
シマダイ 参考 文献 場所 富山県新湊
タテジマ 参考 文献 場所 富山県東岩瀬
ゲタノハ 参考 文献 場所 島根県石見地方
シマキリ 参考 文献 場所 愛媛県川之江
カゴカキダイ 参考 『帝国博物館天産部魚類標本目録.帝国博物館』(石川千代松・松浦歓一郎 1897/明治30年) 場所 東京都東京市場
キイゴッパ 参考 文献 場所 白浜
オチャハンベイ 参考 文献 場所 神奈川県江ノ島
マブシ 参考 文献 場所 高知
ビングシ 参考 聞取 場所 高知県室戸市推名・三津
ギンボシ 参考 文献 場所 高知県底喜浜
オテラサン オトノサマ 参考 文献 場所 高知県柏島
アオヒシャ カワヒシャ カワヒシヤ ヒエフキ 参考 文献 場所 鹿児島
ヒラッキー 参考 『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 場所 鹿児島県種子島
オオシキハチバン[大敷8番] 参考 聞取 場所 三重県熊野市遊木漁港
タテグシ 参考 聞取 場所 高知県室戸市三津[定置]
タバコ 参考 聞取 場所 和歌山県串本町
チョウゲン 参考 『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所 和歌山県田辺
キョウゲンバカマ[狂言袴] 備考 キョウゲン、キョウゲンバカマ(狂言袴)。 参考 『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所 和歌山県湯浅・周参見・白崎
モクバカ 参考 文献
参考文献
協力/二宮定置 山崎哲也さん(神奈川県二宮町)
『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『原色魚類大図鑑』(安倍宗明 北隆館)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)、『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版)、『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012)