シラウオ
魚貝の物知り度 | ★★★ 知っていたら通人級 |
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食べ物としての重要度 | ★★★ 一般的(流通量は普通) |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
分類 | 顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区新骨亜区正新骨下区側原棘鰭上目サケ目シラウオ科シラウオ属
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外国名 | 英名/Icefish, Whiting, Glassfish
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学名 | Salangichthys microdon (Bleeker, 1860)
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漢字・学名由来 | 漢字 白魚、鱠残魚、王余魚、銀魚 Sirauo Bleeker Pieter Bleeker(ピーター・ブリーカー 1819-1878 オランダ)。医師、魚類学者。『東インドオランダ領の魚類図鑑』(Atlas Ichtyologique des Indes Orientales Netherlandaises 1862-1878)。軍医としてバタビア(現インドネシアジャカルタ)に赴任。インド洋、西太平洋の魚を採取。 |
地方名・市場名 |
概要
生息域
海水・汽水。主要河川の河口域。
北海道、青森県小川原湖・十三湖、秋田県八郎湖、京都府由良川河口域、島根県中海・宍道湖、茨城県、東京湾静岡県浜名湖、岡山、熊本。
サハリン、沿海州から朝鮮半島東岸。
生態
沿岸域、河口付近、汽水域に棲息。
シラウオの寿命は1年。
春、2月〜5月に産卵。産卵後死んでしまう。
孵化して夏には2〜4センチと小さいが漁獲の対象となる。
10センチくらいになるが雌(めす)の方が大きい。
基本情報
主に食用となっているのはシラウオとイシカワシラウオの2種。青森県小川原湖、茨城県霞ヶ浦、島根県宍道湖、中海など淡水の影響の汽水域などでとれるのがシラウオ。千葉県から福島県などの外洋に面した淡水の影響のない海域であがるのがイシカワシラウオである。ともに味は非常によく高値で取引されている。よくハゼ科のシロウオとも混同されているが、こちらは非常に特種な食材である。現実社会で混同する可能性は低い。
歌舞伎、三人吉三廓初買(さんにんきちさくるわのはつがい)に「月もおぼろに白魚の篝もかすむ……」とお嬢吉三の台詞にあるのは当然、本種となる。春に産卵のために大川(隅田川河口から千住大橋にかけて)集まってきたシラウオを、たいまつをかかげとっている光景が目に浮かぶ。
この台詞にあるように、春の季題、季語だ。おうおうにして大きな湾を控えている江戸や名古屋、大阪などの汽水域でとれるものであったので、古くから親しまれてきたのだ。
現在では内湾の自然破壊、護岸などで漁獲量が減っている。春らしい魚ではあるが、入荷は年間を通してあり、値段も安定してやや高値、時期には非常に高価となる。
関東では江戸前天ぷらの代表的な種。割烹料理店でも重要な素材。刺身、ぬた、椀種と大活躍する。
水産基本情報
市場での評価/入荷量は少ない。小型はやや高値。大きく型の揃ったものは非常に高い。
漁法/底曳き網、四つ手網
産地/茨城県、北海道、青森県、秋田県、福井県、島根県
選び方・食べ方・その他
選び方
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味わい
旬は冬だが、年間を通して味がいい
シロウオと違って旬が長い。
丸ごと食べるもの。白身でまったくクセのないなかに、旨みがたっぷりある。
後味が非常にいい。
栄養
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危険性など
横川吸虫メタセルカリアが寄生していることがある。腹痛、下痢を発症することがある。
食べ方・料理法・作り方
好んで食べる地域・名物料理
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加工品・名産品
釣り情報
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歴史・ことわざなど
トノサマウオ(トンサンウオ 殿様魚) 『たべもの語源辞典』(清水桂一編 東京堂出版)に「トノサマウオ」が出てくるが、引用元が不明だ。有明海でのアリアケシラウオの呼び名「とんさんうお」と混同しているように思う。
白魚・素魚 「白魚(シラウオ)」と「素魚(シロウオ)」の2種はよく混同される。前者は本種サケ目のシラウオで後者はスズキ目ハゼ科のシロウオである。シロウオ(素魚)は春先に産卵のために川に上るものをとり、躍り食いなどで食べるもの。躍り食い意外にはせいぜい卵とじになるくらいで言うなれば珍味である。
三人吉三廓初買 河竹黙阿弥の歌舞伎「三人吉三廓初買」でお嬢吉三の言う名せりふに「月も朧に白魚の篝も霞む春の宵」というのなどまさにこのシラウオ漁の篝火だろう。この江戸前のシラウオは昭和初期までとれていたという。
宍道湖七珍 島根県宍道湖のにいわゆる「宍道湖七珍」といわれる名物魚貝類があってそのひとつ。七珍はコイ、あまさぎ(わかさぎ)、ウナギ、スズキ、しじみ(ヤマトシジミ)、もろげえび(ヨシエビ)、そして白魚(しらうお)。
樗蒲(ちょぼ) シラウオは一樗蒲(ちょぼ)、二樗蒲と数える。樗蒲はサイコロの目総てを足した数から1を引いた20尾。
「白魚をつかみ量りの男の手」中村汀女
「錦絵に残る佃や白魚舟」中火臣
「錦白魚舟羞らえる帆を孕ましぬ」加倉井秋を
地方名・市場名
参考文献 場所北海道厚岸
参考文献 場所和歌山県新宮、大阪、伊勢湾
参考文献 場所富山県射水・氷見
参考文献 場所富山県射水市放生津潟・四方・新湊
参考文献 場所岡山県各地
参考文献 場所島根県出雲
参考文献 場所新潟県佐渡
参考文献 場所東京都、有明海、秋田県象潟
参考文献 場所石川県今江潟・木場潟
参考文献 場所秋田県八郎潟
参考文献 場所秋田県八郎潟・男鹿
参考文献 場所石川県河北潟