アメリカザリガニ
珍魚度・珍しさ | ★ いつでも手に入る |
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魚貝の物知り度 | ★ 知らなきゃ恥 |
食べ物としての重要度 | ★★ 地域的、嗜好品的なもの |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
概要
生息域
原産地はメキシコ湾沿岸の5州。
アメリカから移入。日本、ハワイ諸島、アフリカ東南部に移植され、繁殖している。
生態
産卵は春〜秋。
6月〜9月に盛期を迎える。
親と同じ姿で孵化してくる。
孵化後1週間は母親の腹部と糸でつながっている。
淡水の田や水路、河川、湖沼で水生昆虫やヒル(環形動物)を食べている。
体長6センチを超えると秋に交尾して、寒くなると田の畦などに坑道を掘って冬眠する。
この坑道が田の水漏れ原因となり、嫌われている。
体長10センチ前後になる。全体に赤く、鮮紅色(明るい赤)の粟粒状の斑紋が浮き上がる。
基本情報
国内産のザリガニは北日本にしかいないため、ザリガニと言ったら本種を思い起こすことが一般的。
〈本場ルイジアナでは、養殖して食用種 Lpoisiana's Best Crawfish [アメリカ名 Red swamp crawfish] として広く販売している〉と甲殻類学者の三宅貞祥が書いている。
アメリカでは食用種であるのに、国内では関東周辺で食べられているだけではないかと思う。流通上はフレンチ食材でもある。日本各地で食用にすべく努力が重ねられている。
汚染にも強いためか都会の河川、池などにも健在。現在でも子供たちの釣りの対象魚であり、畑の畦などを壊すやっかいな存在でもある。味のいいエビなので積極的に食べるべきだと思う。
また2023年に「条件付特定外来生物」に指定されている。これまでに手に入れて飼育している個体はそのまま飼育可能だが野外への放流、譲渡などは禁止。この法案で気になるのは食文化がある地域への配慮だ。食べると言うことは問題のある生き物の繁殖を制限する行為である。非常においしい生き物であることから一定の条件を満たせば流通、食用とすることを奨励すべきだと思う。
珍魚度 国内どこにでもいる生き物なので、いつでも手に入る。できれば獲れたら食べるべし。
水産基本情報
漁法 カゴ漁
主な産地 茨城県、千葉県、岡山県
選び方・食べ方・その他
選び方
生きていないとダメ。元気で動きが活発なもの。また形(大きさ)を揃えて買う。
味わい
アメリカザリガニはとったばかりのものは泥臭い。
たぶん産地では一定期間エサ抜きをして、清流で飼うのではないかと思う。
味わいは淡白で、甘みがある。
みそは頭部に少ないながらあり、旨味があり、独特の風味もある。
ここを潰してソースにする。
栄養
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危険性など
肺ジストマなどが寄生。完全に火を通して食べること。
食べ方・料理法・作り方
生きている状態で汚れなどを流す。塩ゆでにする。必ず完全に火を通し事。
成体は身が締まっており、みそが非常に濃厚でおいしい。ハーブ類やコショウなどを加えてもいい。またジャガイモなどと一緒にゆでてもいいかも。
好んで食べる地域・名物料理
塩ゆで 群馬県、茨城県、千葉県。泥抜きをして塩ゆでにしている。
加工品・名産品
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釣り情報
クロダイ釣りのエサとして使われる。
歴史・ことわざなど
アメリカから輸入、移入 文献では移入時期に二説。一は、〈1916年の移入。二は、1930年にアメリカニューオリンズから、神奈川県鎌倉市大船岩瀬にあったウシガエルの養殖池に移植されたのが最初。移植されたのは数十匹であった〉。慢性的な食料不足に悩まされてきた日本に食用ガエル(ウシガエル)を導入するのに餌として移したもの。汚染にも強いのか、関東では住宅地に近い溝などでも見られる。
〈我が国への移入は、すでに移入(1918年)されているウシガエルの飼料として、1930年6月にニューオリンズ市から鎌倉市岩瀬(現在の大船駅に近いあたり)の養蛙池に放流したのが最初である。〉『原色日本大型甲殻類図鑑 Ⅰ、Ⅱ』(三宅貞祥 保育社 1982)
徳島県 本種を初めて見たのは1968年。徳島市に行った級友が捕まえてきた。非常に珍しいものに思えて、池で飼っている子がうらやましかった。当時、徳島県西部にはいなかった。今では吉野川北岸では普通に見られる。今でも食用としては認知されていない。