ツバメウオ

ツバメウオの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
SL(体長)40cm前後になる。体色は鈍い褐色で銀色に輝かない。腹鰭後方少し上に濃い褐色斑がある。稚魚、若魚では背鰭、尻鰭が長く成長とともに短くなる。腹鰭は真っ黒ではなく褐色。尾鰭起部には明瞭な暗色横帯がない。老成魚は頭部に明瞭な隆起がある。[老成魚でおでこが張り出している]
SL(体長)40cm前後になる。体色は鈍い褐色で銀色に輝かない。腹鰭後方少し上に濃い褐色斑がある。稚魚、若魚では背鰭、尻鰭が長く成長とともに短くなる。腹鰭は真っ黒ではなく褐色。尾鰭起部には明瞭な暗色横帯がない。老成魚は頭部に明瞭な隆起がある。[成魚 27cm SL・体高26cm・背鰭上縁〜臀鰭下縁 38cm]
SL(体長)40cm前後になる。体色は鈍い褐色で銀色に輝かない。腹鰭後方少し上に濃い褐色斑がある。稚魚、若魚では背鰭、尻鰭が長く成長とともに短くなる。腹鰭は真っ黒ではなく褐色。尾鰭起部には明瞭な暗色横帯がない。老成魚は頭部に明瞭な隆起がある。[幼魚 19cm SL・体高 20cm・背鰭上縁〜臀鰭下縁 38cm]
SL(体長)40cm前後になる。体色は鈍い褐色で銀色に輝かない。腹鰭後方少し上に濃い褐色斑がある。稚魚、若魚では背鰭、尻鰭が長く成長とともに短くなる。腹鰭は真っ黒ではなく褐色。尾鰭起部には明瞭な暗色横帯がない。老成魚は頭部に明瞭な隆起がある。[幼魚 16cm SL・体高 19cm・背鰭上縁〜臀鰭下縁 39cm]

ツバメウオ属3種は非常に似ている

魚貝の物知り度 ★★★★
知っていたら達人級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★
まずくはない
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目ニザダイ亜目マンジュウダイ科ツバメウオ属
外国名
Longfin batfish
学名
Platax teira (Forsskål,1775)
漢字・学名由来

漢字 燕魚 Tsubameuo
由来・語源 神奈川県江ノ島周辺、和歌山県田辺での呼び名を標準和名とした。たぶん幼魚を見ての呼び名で。その背鰭・腹鰭の長い姿形からツバメの翼を広げた造形を見出したのだと思う。
1897年には沖縄島から採取された個体に、「つばめだひ」。帝国博物館天産部魚類標本目録.帝国博物館(石川千代松・松浦歓一郎.1897)
〈ツバメウヲ科メツバメウヲ属ツバメウヲ〉。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1936、第二版1943)

Forsskål
ペール・フォルスコール(ペーテル・フォルスコール)。ヘルシンキに生まれる。『諸動物の記載』【DESCRIPTIONES ANIMALIUM』(PETRUS FORSSKÅL,1732-1763 CARSTEN NIEBUHR,1733-1815】。『コペンハーゲンの教授ペーテル・フォルスコールによって東方への旅行中に観察された哺乳類、鳥類、両生類、魚類、昆虫類および下等動物の記載。著者の没後、カールステン・ニーブールによって編纂さる付録として海路の薬用草本〔の目録〕と紅海の地図を付す』。紅海東岸の魚類をミナミヒメジ、バラハタ、オオモンハタ、ナミハタ、ナンヨウツバメウオ、トゲチョウチョウウオ、モンツキクロハギほか。デンマーク国王フレデリク5世が後援して博物学者のフォルスコールが率いた6人のアラビア探検の途中、1763年マラリアのためにイェリームの町(現イエメン)にて客死。
地方名・市場名

概要

生息域

海水魚。沿岸域。
北海道釧路〜[宮城県気仙沼・石巻市雄勝湾]〜九州南岸の太平洋沿岸、伊豆諸島、新潟県〜長崎県の日本海沿岸、屋久島、琉球列島、小笠原諸島、東大東島。インド〜西太平洋。

生態

■ 稚魚のときにはまるで木の葉のように擬態しているという。
■ 成魚は沖合の中層域で大きな群れを作る。

基本情報

本種も今現在北上傾向にあり古くは相模湾でも珍しかったが、今や北海道以南の浅場に広く生息する。定置網などに少ないながら入って揚がるが、量がまとまることはない。国内ではマイナー魚であるが、熱帯域では普通の食用魚である。
身質は極めていいのだが、希に臭みのある固体があるので嫌う人は少なくない。非常にいいものと食べられないものが混在しているのだ。

水産基本情報

市場での評価 熱帯域では周年、本州などでは夏から秋に入荷。入荷量は非常に少ない。値は不安定。
漁法 定置網
産地 和歌山県、長崎県、大分県など

選び方・食べ方・その他

選び方

基本的に野締めはダメ。できれば活魚、活け締めを買うべきだ。活魚であったも締めたあと時間が経つと臭みの出るものもある。大型で色合いがくすんでいないもの。触ってぬめりのないもの。買い求めたら早めに使い切るべき。

味わい

旬は秋から冬だと思う。
鱗は細かく取りやすい。皮は厚みがあって強い。骨はやや硬い。
きれいな白身で血合いは弱い。熱を通してもあまり強く締まらない。
本州などでは秋から冬にかけて脂がのるが、この脂に独特の臭みを持つ個体がいる。この臭みは熱を通すと強まる。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

ツバメウオの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身)、煮る(煮つけ)、揚げる(唐揚げ、素揚げ)、汁(みそ汁)、焼く(塩焼き)、ソテー(ムニエル)
ツバメウオの鰭筋の刺身 背鰭・尻鰭を支える筋肉は太く長い。鰭筋のみ切り取って、別に皮を引くといい。体幹部の筋肉よりも脂が豊かで、食感が強い。噛みしめるとじわりと脂がでてきて溶けて甘いと感じる。
ツバメウオの刺身 身に厚みがないものの、活け締めは血合いが弱く見た目にもきれいだ。三枚に下ろして、皮を引き刺身状に切る。身は締まっていて食感が心地よい。甘味、うま味も豊かで非常においしい。
ツバメウオの煮つけ ここでは頭部(兜)を煮つけた。白身で身が締まっていて、磯臭みのないものは煮つけにしてもご馳走だと思う。頭部は半割にして湯通しし、冷水に落としてヌメリなどを流す。水分をよくきり、水・酒・しょうゆで煮る。砂糖で甘味を加えてもいい。
ツバメウオの素揚げ あまり脂ののっていないものがいい。水洗いして二枚に下ろし、骨つきの方の水分をていねいにとる。これを素揚げにする。じっくり揚げると皮が香ばしく身がしっとりと柔らかい。
ツバメウオの唐揚げ 小振りは丸ごとバター焼きにしてもいいし、唐揚げにしてもいい。ここでは適当に切って唐揚げにしてみた。側へんしている分、揚げやすいのもいい。
ツバメウオのみそ汁 あらを集めて置く。湯通しして冷水に落として残った鱗やヌメリを流す。水分をよくきり、水から煮出してみそをとく。ここでは沖縄県宮古島のみそを使った。フーチバー(ヨモギ)などがあればとても合う。
ツバメウオの塩焼き 水洗いして三枚に下ろし、適当に切り、振り塩をする。1時間程度寝かせてじっくり焼き上げる。皮の香りよく身はしっとりとして味がある。
ツバメウオのバター焼き 本種のような熱帯域に多い白身魚にもっとも相性のいい料理法である。切り身にして塩コショウする。これを多めの油でじっくりとソテーする。仕上げにマーガリン(バター)で風味づけする。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

伊豆諸島では防波堤などからの浮きづりなどで釣れる。

歴史・ことわざなど

地方名・市場名

トモモリ
参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所和歌山県田辺・白崎 
ツバメダイ
参考文献、『帝国博物館天産部魚類標本目録.帝国博物館』(石川千代松・松浦歓一郎 1897/明治30年) 場所和歌山県田辺市、鹿児島、八重山島、沖縄島 
ツバクロダイ[燕鯛]
参考文献 場所富山県富山 
アンラガーサー
参考文献 場所沖縄本島 
アンラーカーサー
参考文献 場所沖縄県 
ウツビラ
参考『魚名からみる自然認識:沖縄・伊良部島の素潜り漁師の事例から』(高橋そよ 2014年03) 場所沖縄県伊良部島 
クスケーカーサー
参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012) 場所沖縄県南城市知念漁協 
アンダヘナー
参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012) 場所沖縄県南城市知念知念漁協 
アンラカーサ アンダカーサー
備考アンダ、アンラは脂のことで「脂の多い」という意味。カーサはツバメウオと違って表面がカサカサしている魚の意味。 参考河村雄太さん 場所沖縄県石垣島 
ツバメウオ
参考文献 場所神奈川県江ノ島・小田原 
キョウゲンウオ[狂言魚]
参考文献 場所長崎県大村湾 
アブラウオ アブウオ チョウウオ チョウチョウ
参考文献 場所高知県須崎 
カラスウオ
参考『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版) 場所鹿児島 
カラスダイ
参考文献 場所鹿児島県 
ホカケイオ
参考『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 場所鹿児島県種子島 
シマヒシャ[島菱]
場所江戸時代の呼び名。 
ヒコウキウオ
参考文献 場所和歌山県田辺