オオカミウオ

オオカミウオの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
1m TL 前後になる。細長く頭部は丸く、尾鰭に近づくと側へんする。背鰭は1。両側の歯は犬歯状で奥の鋤骨歯は臼歯。[78cm SL・4.3kg]
1m TL 前後になる。細長く頭部は丸く、尾鰭に近づくと側へんする。背鰭は1。両側の歯は犬歯状で奥の鋤骨歯は臼歯。[79cm]
1m TL 前後になる。細長く頭部は丸く、尾鰭に近づくと側へんする。背鰭は1。両側の歯は犬歯状で奥の鋤骨歯は臼歯。[78cm SL・4.3kg]
1m TL 前後になる。細長く頭部は丸く、尾鰭に近づくと側へんする。背鰭は1。両側の歯は犬歯状で奥の鋤骨歯は臼歯。[78cm SL・4.3kg]
1両側の歯は犬歯状で奥の鋤骨歯は臼歯。
1m TL 前後になる。細長く頭部は丸く、尾鰭に近づくと側へんする。背鰭は1。両側の歯は犬歯状で奥の鋤骨歯は臼歯。

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魚貝の物知り度 ★★★★
知っていたら達人級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目ゲンゲ亜目オオカミウオ科オオカミウオ属
外国名
Ocean catfish
言語英名 
Wolffish Bering wolffish
学名
Anarhichas orientalis Pallas,1814
漢字・学名由来

漢字 狼魚 Ookamiuo
由来・語源 「狼魚」は英名の『Wolf fish』を直訳。
〈オホカミウヲ科オホカミウヲ屬オホカミウヲ Anarhichas orientalis PALLAS〉『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)

Pallas
Peter Simon Pallas (ペーター・ジーモン・パラス 1741年〜1811年)。ドイツの動物・植物学者で、サンクトペテルブルク科学アカデミーの教授になり主にロシアで研究する。主に冷水域の魚を記載した。ホッケ類、アイナメ類など国内海域にいる多くの魚類を記載。
地方名・市場名

概要

生息域

海水魚。50-100mの岩礁域。
北海道全沿岸、青森県〜新潟県の日本海沿岸、青森県〜茨城県の太平洋沿岸。
ピーター大帝湾、間宮海峡、オホーツク海沿岸、カムチャツカ半島南東部、ベーリング海沿岸、チュクチ海、バサースト湾、ベーリング海峡、アラスカ湾沿岸。

生態

産卵期は冬。
産卵した直径20cmほどの卵塊を身体で囲むようにして守る。

胃の内容物 カニや貝などを強靱なキバと口の中に発達する臼歯で噛み砕き食べる。ちなみにこの臼歯はまるで一枚の厚い板のようになっていて、とらえたものをつぶす役目をしている。実際、今度のオオカミウオの胃からは大量のトゲクリガニ、ホタテの貝殻が1キロ近く入っていた。ホタテの貝殻など鋭利に割れており、よくこれで胃袋が裂けないな、と感心させられる。

基本情報

東北以北で水揚げがあるものの、北海道がいちばん多い。
最初はその怪異な姿で水族館などで人気が沸騰、知名度が高くなる。
食用魚としては漁師さんなどが食べていた程度のローカルなものであった。近年、あくまでもプロの間でだが普通の食用魚となりつつあり、徐々に価格が上昇している。太平洋のオオカミウオとは別に大西洋にはシロオオカミウオ(Anarhichas lupusLinnaeus,1758 / Atlantic wolffish)などがいて、こちらの方が先に食用になっていた。海外ではドレスやフィレなどで流通が基本。刺網で野締めになった国内産などフィレ加工して冷凍流通させると面白いと思う。
料理を選ばない使いやすい魚なのでもっと日常的に利用して欲しい。活け締めされたものは刺身にして抜群にうまい。野締めなどもフィレとしてムニエルやフライに利用しやすい。
珍魚度 珍魚ではない。じょじょに流通量も増えていて、一定の評価が生まれつつある。小売店などで手に入れるのは無理だが、探せば手に入る。

水産基本情報

市場での評価 流通量は少ないながら、徐々に人気が上昇しつつある。今ややや高値で安定している。
漁法 釣り、刺網
産地 北海道、東北太平洋側

選び方・食べ方・その他

選び方

外見ではわかりにくいが、鮮度落ちが早いのではないかと思っている。明らかに野締めよりも活け締めものの方がいい。ある意味、活け締めの技術が生きる魚と言える。特に野締めは古くなると粘液にまみれた状態になる。

味わい

旬は冬から夏ではないかと思っている。
皮はぶよぶよし、粘液が多いので扱いにくい。鱗はないものの皮が非常に厚く硬い。骨は頭部をのぞいて硬くない。血合い骨は前方にしかなく、後方には小骨がない。
血合いの弱い白身で脂は全体に混ざるこむ。熱を通しても硬くならない。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

オオカミウオの料理・レシピ・食べ方/生食(昆布締め、刺身)、煮る(煮つけ)、汁(潮汁)、焼く(幽庵焼き、つけ焼き、漬け魚)、揚げる(フライ、フリット、唐揚げ)、ソテー(ステーキ、ムニエル)
オオカミウオの刺身 固体差、ばらつきがあるのが難点だが、小骨がないので歩留まりがよく、活け締めは鮮度の劣化が遅い。水洗いして三枚に下ろす。大型は何等分かにして下ろすといい。血合い骨は前の方にしかなく、皮を引くといろんな部位を刺身に出来る。
写真は尾に近い小骨のない部分であるが、脂がとてものっているためか血合いが弱く白濁している。食感がありながら口溶け感がして甘く感じて非常にうまい。

オオカミウオ腹身の湯引き 水洗いして三枚に下ろすとき、腹の部分を別に切り取る。水分をよく拭き取り、湯通しする。湯に塩を加える必要はない。冷水に落としてぬめりをこそげ取る。これを食べやすい大きさに切る。このまま醤油で食べてもぷりぷりした食感と皮のうま味、身のうま味でとても味わい深い。コチュジャン酢、酢みそで食べてもいい。
オオカミウオの昆布締め 身が締まっていて、上質の白身ではあるが、ややうま味に欠けるところがある。単純に刺身にしてもうまいが、むしろ昆布締めの方がうまいと思う。塩と昆布で締めても硬くならず、昆布の味にも負けてしまわない。[北海道産野締め]
オオカミウオの煮つけ 頭部は分厚い皮で覆われている。この皮が非常に美味だ。水洗いして頭部は梨子割りにする。水分や汚れを拭き取り、湯通しする。冷水に落としてヌメリを流す。これを酒・砂糖・醤油・水(調味料はお好みで)を沸騰した中で煮る。
皮がとろとろになり、夢中になってしまうほどのうまさである。思った以上にたっぷりの身にも甘みがある。最上級の煮つけである。

オオカミウオ皮の煮凝り 厚みがある皮は煮ると柔らかくなり、コロイド状に溶け出してくるものがある。皮を湯通しして表面のぬめり、残った身などをこそげ落とす。細かく切り、酒・砂糖・醤油・少量の水で煮る。煮たら鍋止めして冷まし、形に入れて冷やす。ほどよく固まり、実にうまい煮凝りになる。
オオカミウオ皮の醤油仕立て鍋 水洗いして三枚に下ろす、切り身にする。湯通しして冷水に落として皮のぬめりなどを流す。水分をよく切っておく。醤油・酒・みりん・水・(砂糖を加えてもいい)で割り下を作る。割り下を煮立てた中で野菜などと一緒に煮ながら食べる。皮が独特の食感で甘味がある。身も柔らかくておいしい。
オオカミウオ皮の潮汁 下ろして中骨、刺身に引いたときの皮などを集めて置く。皮はできるだけ多い方がおいしい。湯通しして冷水に落としぬめりなどをていねいに取る。水分をよくきり、昆布だしで煮だして酒・塩で味つけする。塩味だけのあっさりした味つけではあるがうま味豊かでこくがある。
オオカミウオの塩焼き ていねいにぬめりをこそげ落として、水洗いする。三枚に下ろして、切り身にする。水分をよくきり、振り塩をして1時間以上寝かせて出て来た水分を再度取る。これをじっくり時間をかけて焼き上げる。皮をぱりっと焼き切るように焼くと、皮目が香ばしく中がしっとり上がる。
オオカミウオのつけ焼き(山椒焼き) 水洗いして三枚に下ろし、切り身にする。軽く振り塩をして水分が浮いてきたら拭き取っておく。これをじっくりと焼き上げる。焼き上がりに醤油・みりん・粉山椒を合わせたものを、数回にわたって塗る。時季なら生の山椒を使いたい。非常に上品で嫌みのない味に、しょうゆとみりんの味が相まってとてもいい味だ。
オオカミウオ皮の幽庵焼き 水洗いして三枚に下ろす。切り身にして水分をよくきる。これを酒・醤油・みりん同割り(比率は斯のみで)の地につけ込む。最低でも半日はつけ込みたい。山椒や柚子の香りをつけてもいい。淡泊な味わいに発酵調味料が合わさり、味に奥行きが出る。非常にうまい。
オオカミウオ皮のみそ漬け 水洗いして三枚に下ろす。切り身にして水分をよくきる。軽く振り塩をして少し置き、出て来た水分をまた拭き取る。これを西京みそ(京都の白みそだけどなんでもいい)、みりんを合わせた地につけ込む。漬け込み時間はみその塩分濃度で判断する。
オオカミウオのフライ アラスカ、カナダ、同属のシロオオカミウオはヨーロッパでも食べられているのがフライだ。クセのない白身でほどよく繊維質で熱を通しても、あまり身が締まらない。水洗いして三枚に下ろす。皮を引き、三枚に下ろす。塩コショウして小麦粉をまぶし、溶き卵をからめてパン粉をつけて中温で揚げる。

オオカミウオのフィッシュ&チップス 水洗いして三枚に下ろし皮を引く。切り身は食べやすい大きさに切る。小麦粉をまぶし衣(小麦粉・ビール・少量の油・水)をつけて揚げる。このとき一緒に小麦粉をまぶしたジャガイモも揚げる。モルトビネガーがあれば振って食べるとうまい。
オオカミウオの洋風天ぷら 切身に塩コショウ、して乾燥パセリを振る。衣は小麦粉・泡立てた卵白、水を合わせたもの。切り身を衣にくぐらせてじっくり揚げる。仕上げに強火にしてかりっと仕上げる。フライよりも身自体のうまさが感じられて美味。
オオカミウオのステーキ 水洗いして三枚に下ろす。皮を引いて切身にする。小骨が少ないので切り身にしやすい。塩コショウしてしばらくおき、熱した油のなかでじっくり香ばしくソテーする。両面に焼き目がついたら、ブランディーで香りづけ。ここでは少量の醤油を加えている。好みでバターを。
繊維質に欠けるみだが、柔らかく豊潤である。うま味豊かで食感が豚のヒレ肉を思わせる。

オオカミウオのムニエル 水洗いして三枚に下ろして切り身にする。塩コショウ、小麦粉をまぶして、多めの油でじっくりソテー、仕上げにバターで風味づけをする。ソテーすると少々締まるが、バターなどとの相性がよく、とてもおいしい。朝食にパンと合わせてもいい。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど

北欧でのシロオオカミウオの食べ方 〈北欧では食用とすることは多くの文献にあり、これをペラペラめくるが、探してみると意外なことに詳しい食べ方が書いていない。これを探しあぐねた矢先に我がサイトの協力者が読売新聞の日曜版、なんと2003年8月3日のものを持ってきてくれた。これがなかなか詳しく、ここで紹介すると、ノルウェーのベルゲンではミンチにして肉団子のようにまとめ、スープの具とする。またフィッシュケーキというこの肉団子を揚げた薩摩揚げのようなものもあると言う。フライにすると言うのも。〉『海の魚』(上野達治著 北海道新聞社)にある。