ムツゴロウ

Scientific Name / Boleophthalmus pectinirostris (Linnaeus,1758 )

ムツゴロウの形態写真

体長20㎝前後になる。

    • 魚貝の物知り度

      ★★
      これは常識
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★
      美味

    分類

    顎口上目硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目ハゼ亜目ハゼ科ムツゴロウ属

    外国名

    学名

    Boleophthalmus pectinirostris (Linnaeus,1758 )

    漢字・学名由来

    漢字 鯥五郎
    由来・語源 佐賀県でムツゴロ、ムツゴロウ、ムツゴロオということから来ている。
    「むつ」は「むつっこい」、「ごろう」は、ハゼを「ゴリ」というのと同じ。すなわち脂っこいハゼの意味。

    地方名・市場名

    生息域

    内湾の干潟。有明海、八代海。朝鮮半島、中国、台湾。
    内湾の干潟などに生息 佐賀県鹿島市から見た有明海の干潟。沖合にムツゴロウのはねる姿が見える。

    生態

    鰓と皮膚呼吸もできる。
    独特の求愛行動をとる。
    産卵期は5月中旬〜7月。
    潮が満ちると巣穴に潜り、ひくと干潟状に出て干潟の表面に発生する珪藻を食べる。

    基本情報

    有明海特産魚といえそう。古くはたくさんとれたらしく、日常的なおかずとして利用されていたようだ。

    水産基本情報

    市場での評価 有明海周辺でのみ流通するもの。高値となる。
    漁法 タカッポ(トラップ)、ムツかけ(ひっかける)
    産地 佐賀県

    選び方

    一般に鮮魚よりも焼いたものを買う。

    味わい

    旬は春〜夏
    鱗はほとんど気にならない。原則的に鱗つきで利用。骨はあまり硬くない。
    生は赤みを帯びた白身で、熱を通すと白くなる。
    料理の方向性
    上品な白身であるが、ここにはうま味らしいうま味は感じられない。味は皮や粘液にあるのではないか? 焼くと独特の風味がする。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    料理の法
    蒲焼き、煮つけ、みそ汁


    みそ煮 ムツゴロウの基本的な料理法は煮るか焼くかである。ここではみそ味で煮てみた。
    みそ汁 佐賀県鹿島市で教わったものを、実際にやってみた。ようするに単にぶつ切りにして水からあくを取りながら煮て、みそを溶いたもの。外見とは違い上品なうま味のあるだしが出て美味。

    好んで食べる地域・名物料理

    須古寿し 佐賀県杵島郡白石町須古町で作られている。押し固めた甘めのすし飯に具がのる。なかでも焼きムツゴロウの甘露煮が特徴的。
    ムツゴロウの蒲焼き蒲焼き 子持ちのムツゴロウを甘辛いタレを塗りながら焼き上げたもの。卵巣が甘く、皮目に独特の味があってタレをよく合う。

    加工品・名産品


    焼きムツゴロウ焼きむつ ムツゴロウを生きたまま焼いたもの。これを甘露煮などにしてお盆に食べる。[夜明茶屋 福岡県柳川市]
    ムツゴロウの甘露煮 「焼きむつ」を甘辛く煮上げたもの。しっかり煮つけていて、丸ごと食べられる。[夜明茶屋 福岡県柳川市]
    ムツゴロウのインスタントラーメンむつごろうラーメン ムツゴロウのだしを使ったとしているが、書いていなければわからないかも。[夜明茶屋 福岡県柳川市]

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    蝋燭の代用 「是れを乾すと蝋燭の代用とすることが出来る」。『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)
    むっちゃんまんじゅう 有明海周辺では様々なものにムツゴロウの造形を見る。これは鯛焼きのムツゴロウ版といったもの。[長崎県諫早市]

    参考文献・協力

    『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)、『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)
  • 主食材として「ムツゴロウ」を使用したレシピ一覧

関連コンテンツ