寿司図鑑 千 目次へ!
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真羽太/マハタ 2008年4月20日 556
最近、偽装が行われるくらいにクエが大人気となっている。ここで「お忘れじゃありませんか?」と問い掛けたくなるのが「真」のハタであるマハタのこと。クエと同じくらいに大きくなる。味の方もクエとおっつかっつだ。それなのにどうしてクエだけがスポットライトを浴びるのか? わけがわかりませんな。今回のもマハタとしては小振りの2キロものだけど、恐るべきうまさ。そしてネタとしての美しさ。たかさん曰く「ハタのたぐいは、なんて言ったらいいのかな。高すぎる、そしてうますぎるかな? 普段のウチの(寿司の)値段じゃ使えないけど、魅力はあるね」。へんてこなコメントだけど街のありふれた寿司屋のいいたいことを代弁していることは間違いない。「本当にうまいね。うまいとしかいいようがない。今回のは三枚におろして1日半寝かせたけど、まだまだ食感もいいし、旨味も充分だ」。続けて「これが3500円(キロあたり)じゃなけりゃね」。
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松葉貝/マツバガイ 2008年5月1日 557
ある日のことだ、ある貝をゆでて寿司職人の渡辺隆之さんに渡す。「なんだ????」という顔をして、「アワビのようだけど、アワビじゃない。トコブシじゃない。なにこれ」。これがマツバガイなのであった。マツバガイはどこにいるのかというと、海縁にいくと、そこここ、あそこにも、海面近くの岸壁に無数に張り付いている。だから取り放題であるけど、磯の資源は限られているので、その日に食べる分だけ、海の神さんから分けてもらってくる。これを軽く塩ゆでして、『市場寿司 たか』に持ち込んだのだ。これをなんとか寿司飯にのせて、一個ずつ、たかさんと食べてみる。「うまい」のかどうかわからない。「なんだ、やっぱり“???”だな。食べた感じはアワビにも似てるけど磯の香りが強いね。うまいことはうまいけど、握りにすることはないな」、「賛成!」。マツバガイは珍味というか磯の香りをほんの少し楽しむもの。別に握りにしなくてもいいかもね。
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喜知次/キチジ 2008年5月24日 558
キチジというよりも「きんき」の方が通りがよい。産地はたぶん北海道網走。「釣りもの」で卸値で4800円(キロ単価)だから500グラムなので1本が2500円ほど。「きんき」1本2500円というのがあまり高く思えないほどの高級魚である。築地などではときに1万円(キロ単価)を超えることもざら。こんなことを『市場寿司 たか』で話していたら、たかさんが「これ片身でいいところ何かんとれるかな? 5かんは無理だな」。さて握りのネタとしたら2500円で8かんだから原価で300円くらいになる。とすると普通1かん幾らになるのだろ。皮霜作りにして出来上がった目の前の握りを食べながら、目は宙に。これに大枚はたいて食べるだろうか? 否だな。うまいことはうまい。かなり上のうまいではある。でもキチジは煮魚ほどには刺身がうまくない。煮て熱を通したときに濃厚な旨味はあるが、生では味気ない。「たかさん、やっぱり煮た方が」、「いいだろうね」。
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小判鮫/コバンザメ 2008年6月8日 559
「だからサメじゃないって言ってるだろ」、たかさんがコバンザメを卸しながら、しきりに「サメ、サメ」と言うので困ってしまう。「コバンザメはサメではない」のだ。れっきとしたスズキ目。しかも食べたらおいしいことは漁師さんなどによく知られている。たかさんも皮を引いて「確かにおろした身はきれいだな」なんて言う。今回のコバンザメは鹿児島県南さつま市笠沙の漁師わかしおさんからのもの。珍しい魚ではないのだけど、「コバンザメが見られるらしい」というだけで『市場寿司 たか』の厨房を覗きにくる野次馬多数。細長いのを1本卸して、10かんほどの握りになったのを野次馬がどんどんつまんでいく。「あれれ、うまいね」。お隣の中華さくらの夫婦が驚いている。「サメってうまいのね」、「だからサメじゃない」。まあとにかくコバンザメはきれいな白身で、旨味があり、微かに脂からくる甘味も感じられる。「たかさん、うまいねー」、「うまいよ、コバンザメ」。
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