顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目サバ亜目サバ科サバ属

マサバ(英名/Chub mackerel,Pacific mackerel,Blue mackerel)

代表的な呼び名サバ

マサバの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
50センチ前後になる。紡錘形。全身に小さな丸鱗(えんりん)があり、落ちやすい。背部分に特有の緑青色の斑文があり、腹側にはない。目が大きい。「さば」の語源は「小歯」で歯が非常に細かいためという説がある。市場などで「平さば」というのは断面が丸いゴマサバと比べると左右に平たいため。

マサバの形態写真

50センチ前後になる。紡錘形。全身に小さな丸鱗(えんりん)があり、落ちやすい。背部分に特有の緑青色の斑文があり、腹側にはない。目が大きい。

  • 魚貝の物知り度 食べ物としての重要度 味の評価度

    知らなきゃ恥

    ★★★★★

    非常に重要な水産物

    ★★★★★

    究極の美味
    分類
    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目サバ亜目サバ科サバ属
    外国名
    英名/Chub mackerel,Pacific mackerel,Blue mackerel
    学名
    Scomber japonicus Houttuyn
    漢字・由来
    漢字 「斑葉魚」、「鯖」、「小歯」「狭歯」、「青魚」、「青花魚」。「真斑葉魚」、「真鯖」、「真小歯」「真狭歯」、「真青魚」、「真青花魚」。
    由来・語源 もっとも代表的な鯖ということ。
    ■ 「小歯」は『大言海』に「小歯の義。サバノウオが成語なり、サはささやか、小の意なり、この魚、他の魚に変わりて、歯、小なり」とある。
    ■ 「さば」=「斑葉(いさば)」の「さ」が欠落したもの。すなわち身体に斑紋、文様のある魚。
    ■ 「青い魚」の意味。「青」を「あわ」というそれが「さば」となる。
    地方名・市場名
    高知県四万十町窪川でヒラサバ(平さば)。
    紀伊長島から山に入り、大宇陀、吉野にもたらされる塩鯖を熊野鯖(クマノサバ)。若狭から大宇陀、吉野にもたらされるものを西鯖(ニシサバ)という。
    市場などでは、ヒラサバ(平さば)、ホンサバ(本サバ)と言ってゴマサバと区別する。
    大きさで24センチ未満をローソク、ローソクサバ、24〜25センチをギリ、25〜28センチをナンキン。
    他には、カブダカ、コウガイサバ、サバツコ、サボ、サワ、ソコサバ、タツクリ、ノトサバ(ノトサバ)、ノドサバ、ヒラゴマ、ヒラス、ホシサバ、モサバ、コサバ(小型)、サバゴ(小型)。
    生息域
    海水魚。日本列島近海。水深2メートル前後の浅場から水深100メートル以深まで。
    北海道オホーツク海沿岸〜九州南岸の日本海・東シナ海・太平洋沿岸、瀬戸内海、屋久島。朝鮮半島南岸、済州島、台湾、フィリピン、太平洋カリフォルニア沿岸。
    生態
    ■ 春から夏。南ほど早く3月から4月、北では6月、7月に盛期となる。2,3年で成熟し産卵は繰り返し行われる。
    ■ 寿命は6〜7年。
    ■ 稚魚期は動物性プランクトン、幼魚期、成魚期には他の魚の稚魚、動物性プランクトン、ツノナシオキアミなどを食べている。
    ■ 春〜夏にかけて北上し、秋から冬にかけて南下するものがマサバの主流。
    ■ 体長は1歳で24センチ、2歳で31センチ、3歳で35センチ、4歳で37センチ、5歳で40センチくらいになる。
    基本情報
    古くは大衆魚、下魚などとされ、安くてうまい魚の代名詞だった。鮮魚としても加工品としても、魚のなかでももっとも重要なもの。古代には「なれずし」が作られ、江戸時代には塩さばや干しさばが広く流通した。塩さばは、「お歳暮」の起源となった。
    これが資源の低迷と流通の発達から高値を呼んでいて、最近では安い魚というイメージはない。鮮魚ではブランドサバが各地で誕生。嚆矢となった大分県の「関さば」、またもっとも脂ののった海域でとった宮城県の「金華さば」などが有名。養殖魚としても人気が高い。
    加工品としては缶詰、文化干し、漬け魚など多種多様。
    水産基本情報
    市場での評価 入荷は年間を通じて入荷。ブランドサバ、養殖サバ、また大衆的な巻き網のサバなどがあって多彩。キロあたり600円ほどから高いと8000円くらいと値に幅がある。
    巻き網/刺し網、流し網、棒受け網、定置網、手網すくい漁、釣り
    主な産地 長崎県、茨城県、静岡県、三重県、富山県、宮城県
    ブランド魚など
    金華さば 宮城県金華山沖で秋にとれたマサバで、石巻港に水揚げされたものをいう。非常に脂がのっている。
    関さば 豊後水道がもっとも狭くなる速吸瀬戸で一本釣りしたものを、生け簀に一定期間泳がせて出荷に合わせて締めて出荷される。
    松輪さば 東京湾をぐるりと回遊しているマサバである。初夏や秋にビシ仕掛けで釣り上げる。この回遊から離れてやや深いところに居着いているのがいてこれが見事に金色に輝いている。これは非常に数が少なくとれると関さば以上に高価。そしてうまい。
    旬さば(ときさば) 「秋から冬に五島・対馬海域でとれる脂ののったサバで,400g以上のものをいいます。[日本遠洋旋網漁業協同組合]
    養殖さば 今や各地でマサバの養殖が行われている。この養殖マサバは2004年現在決して珍しいものではなくなった。まるまると太った体型とたっぷりのった脂。刺身やしめさばになる。
    俚諺・俗諺・言い伝え・話題
    選び方
    大きいもの。身に丸みがあり、触って硬く、それでいて表面にぬめり感のあるもの。鰓が鮮紅色で、見た目がきれいであること。目が澄んでいるもの。腹の柔らかいものはダメ。
    味わい
    旬は秋から冬。 ただし他の時期にも脂ののったマサバがいる。それだけこの国が南北に長いと言うことだ。
    鱗は小さくてあまり気にならない。表面の皮は非常に薄い。骨は軟らかい。
    赤みがかった白身で血合いがやや大きい。熱を通しても硬く締まらない。
    身やあらから濃厚なだしが出る。
    栄養
    脂質の含有量が多く、DHA、EPAが豊か。ビタミンA、ビタミンD、ビタミンB12、ナイアシンが多く、血合いには鉄分、カルシウムがたっぷり含まれる。EPAは血液をサラサラにし、動脈硬化や血栓を防ぐ。DHAは心臓病を予防し、中性脂肪の量を減らす。脳には重要な脂質で、学習能力を高め、痴呆症を防ぐ。ビタミンAは眼を健全に保ち、細菌感染を予防する。
    ビタミンDはカルシウムやリンの吸収を助ける。
    ビタミンB12は悪性貧血、食欲不振、知覚異常や精神症状を防ぐ。
    ナイアシンは皮膚をきれいに保ち、消化器の機能を良好にする。
    鉄分は血液には重要なミネラルで貧血を予防。
    カルシウムは血圧を安定させ骨粗鬆症を予防する。
    寄生虫
    食べ方・料理法・作り方
    料理法
    焼く(塩焼き、祐庵焼き、みそ漬け)、生食(しめさば、刺身、たたき、カルパッチョ、ごまさば)、煮もの(みそ煮、船場煮、いり焼き、すき焼き)、汁(船場汁、粕汁)、揚げる(フライ、唐揚げ)
    炊き込みご飯 素焼きにしたサバを炊き込んだものや、生のものを煮込んだものがある。しょうゆ味で大根のせん切りとともに炊き込む。
    マサバの塩焼き塩焼き マサバの味わいをもっとも引き出してくれる料理法は塩焼きだろう。単純明快に振り塩をして香ばしく焼き上げたものが至福の味。同様に干物もいい。
    マサバの刺身刺身 首折れサバの刺身。しょうゆ、わさびだけではなく、塩と柑橘類もいい。
    マサバのしめさばしめさば 関西では「きずし」という。塩をして酢でしめたもの。マサバの定番的なもの。
    マサバの煮つけ煮つけ しょうゆ、酒、みりん、砂糖などで味つけ煮上げたもの。主に関東以西のもの。和歌山県和歌山市雑賀崎では地元のたまりしょうゆで煮る。
    マサバのみそ煮さばみそ煮 江戸甘みそで作った「みそ煮」。関東ではお総菜の定番で食べ飽きない。主に東日本で作られていたもので、近年全国的に作られるようになっている。
    マサバの魚すき魚すき 島根県では「へか焼き」、「煮ぐい」、ほかには「いり焼き」という地方もある。すき焼きの地でサバの切り身、コンニャク、豆腐、野菜、キノコを煮ながら食べます。これがご飯にも合うし、酒の肴としてもいけます。
    マサバのみそ汁みそ汁 マサバを適宜に切り、刺し昆布をして水から煮出してみそを溶く、それだけで出来上がり。臭い消しに酒を使ってもいい。塩仕立ての汁もうまい。
    マサバの竜田揚げ竜田揚げ しょうゆ、にんにくなどで下味をつけて唐揚げにした「竜田揚げ」。
    好んで食べる地域・名物料理
    ■焼き漬け 新潟県。サバを焼いてしょうゆ味のタレに漬け込む。
    ■さばへしこのおにぎり あぶったさばの「へしこ」をご飯に混ぜ込んでお握りにしたもの。[福井県三方上中郡若狭町]
    ■さばのぬかみそ炊き 福岡県北九州市周辺。マサバの切り身を糠味噌(ぬかみそ)、しょうゆ、砂糖、みりんで煮たもの。マイワシでも作る。
    飯】
    ■炊きこみ 「秋にさばやはまちがたくさんとれたときに作る」。「さば」は三枚に下ろして小骨を取り、生じょうゆに20分くらい漬け込む。ご飯が炊けたら蒸らしの途中で漬け込んだ「さば」を入れて混ぜ、ふたをしないでまた蒸らす。[『聞き書 徳島の食事』阿南市]
    【サバ缶】
    ■ひっぱりうどん 山形県内陸部。ゆで鍋から直にうどんを「ひっぱり」、納豆、サバ缶を合わせたものをからめて食べる。薬味やネギ、唐辛子。鰹節、卵なども加える。
    さば飯さば飯 三重県宮川村(現大台町)。「やき」と呼ばれる紀伊長島の蒸して焼いたサバの醤油味の炊き込みご飯。大根の千切りとともに炊く。『三重県の食生活と食文化』(大川吉崇 調理栄養教育公社 2008)
    なすとサバ缶の炒めものなすとサバ缶の炒めもの ナスとさばの缶詰を油でいためてしょうゆ、酒で味つけしたもの。[ベニバーズいしづか 山形県酒田市地見興野]
    焼き鯖煮つけ焼き鯖煮つけ 焼き鯖と葉タマネギを甘辛く煮たもの。調味料の甘味としょうゆのうま味、サバの持ち味に玉ねぎの甘味が加わりまことに美味。[鳥取県東部]
    焼きさば素麺焼きさば素麺 漁港(福井県敦賀・若狭地方)付近に上がったマサバを浜で焼き、これを山間部に運んできていた(売りに来ていた)これを煮つけにして、その煮汁にゆでた素麺を絡めたもの。煮た焼きサバとともに食す。[滋賀県湖北地方長浜、余呉、高島市朽木]
    地獄うどん地獄うどん 岐阜県徳山村。大鍋に水を張り、沸騰してきたら煮干しと唐辛子を入れて、うどんをゆでる。このうどんを、サバ缶とネギ、ゆで汁、醤油で食べる。
    焼きさば煮つけ焼きさば煮つけ 塩をしないで焼いた丸のままのサバを適宜に切り、甘辛く煮たもの。岩手県山間部など。「焼きさば」は青森県産。
    サバ水煮缶と白菜煮サバ水煮缶と白菜煮 サバの水煮缶と白菜、大根などと醤油で煮る。[滋賀県長浜市木之本、下余呉]
    すぶてすぶて 〈「すぶて」だが、中略 分かりやすく言えば「締め鯖」、「締め鰺」の類に似ている。鰺や鯖を幅5ミリか7ミリに薄く切って、酢に漬ける。これを半日か一日そのままにしておくと出来上がり。しょうがの刻んだものを同時に入れておく。中略 この言葉が、ごく狭い範囲の名古屋のものであることが判明。「すぶて」は「酢をぶつ(打つ)」ところから来ていると思われる〉『なごや飲食夜話』(安田文吉 中日新聞社 2011)
    ごまさばごまさば 、「りゅうきゅう」、「あつ飯(あつめし)」。ごまとしょうゆ、砂糖、みりんなどで漬けだれを作り、新鮮なサバの切り身を漬け込んだもの。これをそのままご飯のおかずにしてもいいし、お茶漬けにしてもいい。福岡県各地でマアジなど新鮮な魚を使った「茶漬け」という料理があり、これはそのサバ版といったものだろう。「あつ飯」は温かいご飯(熱々のご飯)にのせて食べるものなので「熱飯」となったようだ。お茶をかけて食べてもいい。魚はマアジ、ブリ、カンパチ、サワラなども同様に料理する。[福岡県福岡市、[大分県佐伯市、大分県北部]『酒と肴の文化地理 大分の地域食をめぐる旅』(中村周作 原書房)]
    さばの船場汁さばの船場汁 大阪の商業地、船場(特に道修町)で作られたものとされる。無塩もの(鮮魚)も使ったようだが、身を焼いて食べた後の塩さばの粗(あら)と大根で作った汁。塩さばの塩分と旨みで大根を煮て作る簡素な食べ物ながら、現在作っても非常に美味。[大阪府大阪市]
    さばの船場煮さばの船場煮 船場汁と同じ材料。塩さば、もしくはサバの切り身と大根を汁気少なく煮たもの。[大阪府大阪市]
    焼きさば飯焼きさば飯(さば焼き飯) 浜で焼いたサバが山間部に送られてくる。これをご飯に炊き込んだもの。「焼きさば」をほぐして、にんじん、ごぼうを加え、砂糖、しょうゆで味つけして炊く。南丹市美山でも同様のものを購入している。丹波平野、丹波山間地などで広く作られていたものかも知れない。『聞き書 京都の食事』
    さばごはんさばごはん 焼いた塩サバをしょうゆ味で炊き込んだもの。炊きあがったら刻んだわけぎを混ぜ込む。[奈良県吉野町 『聞き書 奈良の食事』(農文協)]
    さばのいろつけ(鯖の色つけ) 夏に作る料理で家庭だけではなく魚屋さんなどでも作って売っていたものだという。2切れか3切れの鯖の切り身を串に刺し、素焼きにする。これにしょうゆと砂糖を合わ水溶き片栗粉でとろみをつけたタレを塗りつけたもの。非常に単純な料理ではあるが、とても味わい深い。また余談になるが『飲食事典』(山本荻舟 平凡社 1958)に「いろつけ」はないが「いろつけやき(色附焼)」というのが出てくる。しょうゆにみりんもしくは酒を加えて魚肉、マツタケ、ナガイモなどにつけて薄味のつけ焼きにするものとある。注/ゴマサバも同様に「サバ」として同料理に使われていたと思われる。[富山県南砺市城端]
    加工品・名産品
    鯖の糀漬け 鳥取県智頭町。塩サバを赤唐辛子、ショウガなどと糀につけたもの。
    さばの文化干し 塩をしたサバを吸湿剤を使って乾かしたもの。天日干しよりも衛生的だということで文化干しとなった。国産のマサバ、ゴマサバも利用されるが、最近では輸入物のタイセイヨウサバ(ノルウェー産など)が主となっている。
    やき 紀伊長島で揚がったサバを一度蒸し、焼いて焦げ目をつけたもの。山間地の宮川村(現大台町)へ送られた。これで「さば飯」を作る。
    缶詰 水煮、醤油煮、みそ煮などがある。館漬けの定番的なもののひとつ。そのまま食べる、マヨネーズで和えて食べることが現在では多いが、煮ものに利用することもある。滋賀県長浜市川合、下余呉などでは白菜、大根などと煮る。
    マサバの塩辛さばの塩辛 島根県で作られている「さばの塩辛」。マサバを塩漬けにして熟成させたもの。うま味が強いので酒の肴としてだけではなく、調味料としても使えて便利。[マルコウ 島根県松江市鹿島町]
    塩サバ塩さば 「青切り」とも。マサバを開いて塩をした「塩さば」。ピンからキリまであるが静岡県焼津市で作られているものが最高峰とされている。主に京都市などで「さばの棒ずし」になる。ほかには千葉県などでも作られている。[乃の字 静岡県焼津市]
    刺さば刺さば 福井県の海辺の町、「鮎川町」で作られている。かなり強い塩で熟成されうま味が強い。伝統的なもので名品だと思う。[加藤水産 福井県福井市鮎川町]
    焼き鯖焼きさば 福井県若狭地方、鳥取県、島根県雲南市で作られているもの。サバを丸ごと串に刺し、じっくり時間をかけて焼いたもの。これが滋賀県や京都府の山間部に送られてそのまま、素麺や煮物のだしとして使われた。福井県では「切り焼き」とも言う。[北びわこ食品 滋賀県長浜市、安兵衛食品 福井県福井市・武生市(現越前市)・敦賀市など福井県全域]
    「半夏生さば」。越前大野周辺では半夏生(夏至から数えて11日目)に焼きさばを食べる習慣がある。
    さば焼き漬けさば焼き漬け 新潟県新潟市周辺で作られている。焼いたサバを酒、みりん、醤油、砂糖などで作ったタレに熱いうちに漬け込んだもの。サケでも作る。[まえた 新潟県新潟市南区居宿]
    さばへしこさばへしこ、こんかさば(糠漬さば) 石川県、福井県若狭、越前、滋賀県朽木、京都府日本海側などで作られているサバのぬか漬け。薄く切り食べるほか熱湯をそそぐと吸いものとしても楽しめる。
    さばの子の糠漬けさばの子の糠漬け 石川県輪島で卵巣を塩漬けにして、再度糠に漬け込んだもの。
    さばの塩漬けさばの塩漬け 石川県輪島市などで作られている。非常に塩分濃度の高いもので保存食。塩蔵することで熟成した味わいになる。
    金華さばの干もの金華さば干もの 三枚に下ろして機械乾燥したもの。いわゆる「文化干し」と言われるものだ。脂ののった宮城県金華山沖のもので、実に美味。[マルカ加藤水産 千葉県銚子市]
    さば子釜揚げ サバの幼魚を塩ゆでして、放冷したもの。適度な塩味でそのまま食べてもおいしい。またこれを揚げるとかりっとして別種の味が楽しめる。[ぬしま鮮魚 徳島県海部郡海陽町宍喰浦]
    釣り情報
    東京湾、和歌山県沖などではサバ乗り合いがある。イワシミンチのコマセで天秤仕掛け、二本針で狙う。東京湾内では回遊してくるのをコマセで寄せて釣る。
    またイカ、マダイなどの外道としてもくる。
    防波堤などでは小振りなものがよく釣れる。
    歴史・ことわざ・雑学など
    ■ サバ属にはゴマサバとマサバがある。マサバの方がやや北方まで棲息回遊する。ゴマサバを「丸さば」もしくは「ごま」というのに対してマサバは「平さば」、「本さば」と呼ばれる。
    ■ ある程度の大きさのものは鮮魚や加工品になるが小さなものは魚粉、家畜の飼料になることが多い。
    ■ その昔、庶民的な魚の代表格だった。大衆魚の代表であった。それが最近ではやや高値から、超高級魚になっている。これはとれなくなったのもあるが、輸送技術の進歩や、出荷方法の改良におうところが大きい。
    ■ 歳時記・季語は夏。
    塩かけ神事 佐毘売山神社は石見銀山内にある神社。「江戸時代、例年旧暦正月十一日には奉行(代官)、役人、山師、坑夫が正装して神社に参籠して銀山大盛を祈願した。その際、馬路の鞆ヶ浦からは塩鯖、ホンダワラを持ち帰り、海藻を社殿の扉に掛けて祈願する塩かけ神事が行われた」[島根県大田市大森町『郷土石見№97』(石見郷土研究懇話会)]
    半夏生さば 越前大野周辺では半夏生(夏至から数えて11日目)に焼きさばを食べる習慣がある。
    さばを読む 「サバを数えるとき急いで数えて数を誤魔化すこと」。
    お中元の起源 サバ代から。江戸時代、大名家、御三家から将軍に献上する七夕の宵(旧暦7月6日)のお祝いに「刺鯖」があった。生サバを背開きにて塩干しにしたもの。後にサバの代わりに金銀を献上するようになる。「サバ代の進物」から、今日のお中元の習慣ができる。
    お中元の起源 島根県、長崎県などに記述あり。長崎、『長崎歳時記』(野口文龍 寛政9年1797)に盆、7月12日(旧暦)にさし鯖、素麺を送る。これが中元の起源。『長崎学・續食の文化史』(越中哲也 長崎純心大学博物館)
    ■ 俚諺・ことわざ
    「秋サバは嫁に食わすな」 秋のサバはうまいので憎い嫁には食わさない。ようするに秋のサバはそれほどにうまい。(注サバは当たり〈中毒〉やすいので大切な嫁に食わすな、と善的に解釈することもある)
    「鯖の生き腐り(さばのいきぐさり)」 サバは生きがいいように見えても腐っていることがある、ということ。青魚はヒスタミンの前駆物質であるヒスチジンがたくさん含まれるため。
    ■ 「さばの割節」 島根県浜田市で沖合でとれたマサバを塩蔵品として加工。「石州さば」として中国山地に送られていた。サバを切りいて塩漬けにする差魚のときに歌ったもの。「鯖は食いかせ浜の沖に、あかねだすきで よいやな 鯖を割る」。
    ■ 鯖街道(「さばの道」、若狭街道) 若狭小浜(福井県小浜市)から熊川宿(福井県若狭町熊川)を通り、朽木(滋賀県高島市朽木)、京都市大原、京都市出町柳までの二十五里をいう。都(京都)と若狭を結ぶので若狭街道というが、主に若狭の一塩もの(サバ)を天秤で担いで運んだ道であったために通称「鯖街道」と呼ばれるように。
    ■ 「奉公人の多い店では、一月十五日は小豆飯に魚がつき、十六の日はせんば汁(盬サバの切身に大根の短冊切りのすまし汁)」『ふるさとの料理』『ふるさとの料理』(近藤永之介ほか 中央公論社 1955)
    ■ 鯖大師本坊 徳島県海部郡海陽町浅川にある。弘法大師ゆかりの寺。塩鯖を生き返らせたという弘法大師他の定型版の昔話が残る。
    ■ 旬は本来秋から冬だった。ところが調べていくと時季はずれにも脂ののったものがある。これは産卵時期が長いことによるもの。「秋さば」という固定概念にとらわれない方がいい。
    ■ サバの文化干しについて「終戦の5年目だが、「軍が開発し使用していたとかの乾燥材を所有していた方が、『魚を干すのに使えないか?』と持って来られた。何から造られたか知らぬ『軽い砂』である。この『乾燥砂』の中に魚を埋めて置くと、『干もの』になると言う。魚をそのまま埋めると砂まみれになるので、セロハン紙に挟んで埋めて置くのだと説明された。セロハンなどの紙に包めば、むれる心配があると言ったら、『セロハン紙は、水は漏らぬがメッシュの小さな穴があるので、空気は通る』と説明された。さっそく中型のサバで実験してみる。開いた鯖の塩水漬けを終わって砂の中で一昼夜もたつと、確かに水分50パーセント位に乾燥していて『中干しの干鯖』はできた。干しあがった製品は、日干したものより、色・艶が悪いばかりでなく、血合いはどす黒さが目立つ」、「千葉県勝浦の生産者のひとりK氏が「1、鯖を二枚におろして、乾燥砂で乾燥させる。2、セロハンに包んだままの出荷」をしてきた。この簡単な改良が成功であって、販路を大きく拡張することになった。半身の干鯖のセロハン包みである。これに「文化干し」と名を付されたが、この名もK氏の創始ではなかろうか」。『干もの塩もの』(石黒正吉 毎日新聞社)
    参考文献・協力
    協力/大西鮮魚店・松平保夫さん(富山県南砺市城端)
    広辞苑、『歳時記語源辞典』(橋本文三郎 文芸社)、『たべもの起源事典』(岡田哲 東京堂出版)、『たべもの語源辞典』(清水桂一 東京堂出版)、『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出)、『魚と貝の事典』(月賢二 柏書房」)、『日本の海水魚』(山と渓谷社)、『日本近海産 魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『島根のさかな』(島根県水産試験場 山陰中央新報社)、『魚の文化史』(矢野憲一 講談社)、『三重県の食生活と食文化』(大川吉崇 調栄社 2008)、『ふるさとの料理』(近藤永之介ほか 中央公論社 1955)

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