ぼうずコンニャクの食べる魚貝類だけでなく多彩な生物の図鑑です。掲載種は2000種、食用の水産生物の一般的なものは総て網羅。検索法・食べ方を詳しく解説しています。

カツオ(Striped tuna, Skipjack tuna, Oceanic bonito)

学名:Katsuwonus pelamis (Linnaeus, 1758)

カツオの形態写真

紡錘形。1メートルを超える。腹側に黒い縞模様がある。背鰭、尻鰭を納める窪みがあり、頭部、側線部以外に鱗がない。

  • 魚貝の物知り度 食べ物としての重要度 味の評価度

    知らなきゃ恥

    ★★★★★

    非常に重要な水産物

    ★★★★

    非常に美味
    分類
    硬骨魚類条鰭亜綱新鰭区刺鰭上目スズキ系スズキ目サバ亜目サバ科マグロ族カツオ属
    外国名
    Striped tuna, Skipjack tuna, Oceanic bonito
    学名
    Katsuwonus pelamis (Linnaeus, 1758)
    漢字・由来
    漢字 「鰹」、「堅魚」、「堅木魚」、「勝魚」、「勝つ魚」、「松魚」、「加豆乎」。
    由来 古くは干したもののことを「硬魚=かたうお」と呼ばれ、これが後に「かつお」となる。それがそのまま魚の名となった。
    地方名・市場名
    【個体名】
    マンキ/富山県氷見市藪田浦漁業協同組合
    熊本県熊本市でホンガツオ(本がつお)、単にカツオはソウダガツオ類であることがある。
    このような例は長崎県などでも同じ。
    塩をしたカツオや乾製品が基本の時代、鹿児島県枕崎では生で食べられる新鮮なものをブエンカツオ(無塩鰹)」という。
    カツ、カツウ、サンゼンボン(三千本 小型魚)、タテマダラ、スジガツオ、ハタジロ、マガツオ、ショウバン、チュウバン、ダイバン、トビダイ、トビトビダイ。
    頭の形から「エボシウオ(烏帽子魚)」とも呼ばれる。
    【腹の薄い部分】
    はらも/千葉県勝浦市、静岡県沼津市
    はらんぼ/高知県
    はらで/宮崎県日南市
    とろ身/鹿児島県枕崎市(造語)
    腹皮/鹿児島県枕崎市
    【心臓】
    うすご/静岡県沼津市
    ほし/静岡県沼津市
    へそ/静岡県焼津市、吉田町、三重県尾鷲市
    ちちこ/高知県
    ししご/宮崎県日南市
    珍子(ちんこ)/鹿児島県枕崎市
    生息域
    海水魚。
    日本近海、世界中の熱帯・温帯海域。日本海にはほとんどいない。
    生態
    産卵期は夏と冬。赤道周辺では周年。
    国内での多くは夏に産卵。仔魚は熱帯・温帯域に分布。日本近海のカツオは北上回遊する。
    稚魚、仔魚期は動物性プランクトンを、成長に伴い魚を捕食するようになる。
    大型のマグロ類、カジキ類に捕食される。
    鰓蓋が動かないので酸素を取り入れるために泳ぎながら、海水を鰓孔に流入させる。止まると即窒息死する。
    この遊泳能力を支えるためには、体の代謝を活発化させる必要があり、そのためには体温をある程度高く保つ必要がある。
    これに大きな働きをしているのが奇網(ワンダーネット)と呼ばれる血管。代謝によって温められた血液と、鰓から取り込んだ酸素を含んだ冷たい血液の熱交換をし、血液を常に一定の温度に保っている。
    基本情報
    当然カツオ節の「カツオ」として有名なもの。日常的に利用している魚の1つで、だしなど日本の食文化を生み出したことでも重要。
    古くは鮮魚として出回ることは産地以外では希なことであった。それが江戸時代後期から刺身用(実は現在のたたき)の魚として人気に。江戸時代なかば岸寄りに回遊する春のカツオを尊んだのは一部富裕層に限られたもの。それが後期になると庶民にも手が届く存在となった。ただし安くなっても、やはりごちそうのたぐいだった。
    また江戸時代以来、昭和高度成長期までは塩ガツオ、なまり節などの四十物(塩干)として出回っていたものが主流だった可能性が高い。これが冷凍技術、遠洋漁業の発達により、より身近なものとなった。
    近年ではカツオの刺身は年間を通してスーパーの定番となっている。またたたきなど加工品も多彩で人気がある。
    水産基本情報
    市場での評価 関東の市場には1月から出回り始め、晩秋まで見られる。冷凍物も多い。値段は沿岸でとれた高級品から冷凍の廉価なものまで様々。鮮魚の産地としては宮城県気仙沼、千葉県勝浦などが有名。
    漁法 釣り、巻き網
    主な産地 静岡県、宮城県、三重県、東京都、宮崎県、高知県
    選び方
    体表にある縞模様がはっきりしているものほど新鮮。鮮度が落ちてくると鈍い色合いになってくる。
    鰓(えら)が鮮紅色なもの。鮮度が落ちてくると鈍い赤になり、やがて白くなる。
    味わい
    旬は春から秋
    硬い鱗が前部にだけある。これをそぎ落としてから下ろす。皮は薄い。骨は軟らかい。
    内臓、頭部などに血液が多い。赤身で血合いが大きい。熱を通すと硬く締まる。
    あらなどからうま味の強いだしが出る。
    栄養
    非常に良質なタンパク質が多い。中性脂肪を減少させ、血栓ができにくくし、心臓病、痴呆症などを予防し、軽減するDHA、EPAが豊富。また赤身には吸収のよい鉄分が豊富。肌などを健全に保つナイアシンも多い。
    寄生虫
    食べ方・料理法・作り方
    生食(刺身、たたき、揚げたたき、ぬた、漬け、塩切り、カルパッチョ)、汁(みそ汁、しょうゆ仕立て、潮仕立て)、煮る(塩ゆで、煮つけ)、揚げる(唐揚げ、天ぷら)、焼く(腹身塩焼き、塩ガツオ、祐庵焼、粕漬)、飯(炊き込みご飯、茶漬け)
    鰹銀皮造り銀皮造り 3月、まだ小振りのカツオの腹部分を刺身にしたもの。漁師さんの間でも、この若いカツオの皮付きの刺身は好んで食べられている。単に刺身で食べる以上に皮目のうまさや、身とは別の食感が楽しめる。
    カツオの刺身刺身 9月以降の「もどりカツオ」の刺身。近年秋にとれるはずのカツオが夏にとれたりすることがある。脂ののったうま味の豊かなもので、「たたき」にする必要がなく、皮が硬いので「銀皮」にも向かない。そのまま生で食べて絶品。
    カツオのたたきたたき 秋の大振りのカツオの背の部分を強火であぶり、熱いうちに切りつけて、ねぎやにんにくなどをのせて、ポン酢をかけてたたいたもの。香辛野菜はごてごてと盛り上げるように乗せても、ほとんど乗せなくても味はともにいい。また振り塩をして強火であぶり、熱いうちに切りつけて柑橘類などで食べる。「塩たたき」もうまい。
    カツオの辛子しょうゆ和え辛子しょうゆ和え カツオの刺身を辛子しょうゆで和えたもの。そのまますぐに食べても、時間を置いて食べてもいい。辛子の利かせ加減もお好みでというのがいい。
    カツオの揚げたたき揚げたたき 脂のないカツオはうま味も少ない。これを単に刺身にするよりも、また直火であぶってたたきにするよりも、強火で表面を揚げて造った方がうまい。カツオは下ろして高温の油で表面を揚げる。熱いうちに切りつけて、あらかじめ造って置いたタレ(しょうゆ、みりん、酒を少し煮つめたもの)かポン酢をかける。にんにくやねぎ、みょうがなどの香辛野菜を添えるとなお母味。
    カツオの生じょうゆ漬け生じょうゆ漬け 吉野ます雄の『鮓・鮨・すし すしの事典』を読んでいたら「長崎県ではカツオを大きく切って小半日、しょう油に浸したものを辛子で食べる」とあり、実際に5時間つけてみたという。これをもどりカツオでやってみた。生じょうゆに半日もつけ込んだのに辛くならず、味わいが深くなって非常に美味。しょうゆと煮きりみりん、煮きり酒を合わせた漬けもうまい。
    カツオの中落ち漬け中落ち漬け 中落ちやあらに着いた身をスプーンなどで書き落とし、煮きりみりん、煮きり酒、しょうゆの地につけ込んだもの。ねぎやみょうが、青じそ、ごまなどを加えてもうまい。これを丼に取り、熱湯を注げば即席のお吸い物になる。
    カツオの塩煮塩煮 カツオの兜(頭)を二つ割りにして、湯引きして、冷水に落として血液や内臓などをよく取る。肝や卵巣、胃袋などはよく水洗いして、これも湯引きして冷水に落として、血液や食べたものなどを洗い流す。これを強めの塩水で数分煮る。しょうゆ煮たものにはない上品さがあり、また肝などがすこぶるつきにうまい。
    カツオの中落ちの煮つけ中落ちの煮つけ 中落ちを適宜に切り、熱湯に落として、冷水に取る。血液や汚れを流してよく水分をきっておく。これを水、しょうゆ、酒、みりん、甘いのが好きなら砂糖も加えてあっさりと煮る。中落ちはうま味が強く、煮ると適度にしまってとてもうまい。故、山口瞳が好きだった料理。
    カツオの角煮角煮 マグロ類などを正方形に近い形に切り(ようするにぶつ切り)、しょうゆ、酒、みりんなどに地につけ込む。これを水、しょうゆ、酒、みりん(水を使わない人もいる)などで佃煮状に煮たもの。日本各地に様々な作り方があるが、基本的にはごはんのおかずだ。
    カツオのみそ汁みそ汁 中落ちを湯通しして、冷水に取り、汚れをとる。よく水をきり、水(昆布だし)で煮だしてみそを溶く。非常にうま味の強いだしが出て、みそとの相性もいい。野菜や豆腐などと合わせてもおいしい。
    カツオのお吸い物お吸い物 カツオ節だしに酒、しょうゆ(塩)で味つけする。この一部を別鍋に取り、カツオの切り身を煮る。椀に汁を張り、下煮したカツオの身を加える。非常に上品な味わいだが、味に奥行きがあり、ご飯などにかけてもうまい。
    カツオの竜田揚げ竜田揚げ カツオを適宜に切ったものにしょうゆ、にんにく、みりん、酒などで下味をつける。これに片栗粉をまぶして少し置く。水溶き片栗粉をくぐらせて揚げる。下味をつけずに唐揚げにしても身が鶏肉のようにしまっておいしい。黒コショウが合う。
    カツオの豆板醤炒め豆板醤炒め カツオと大根をごま油で炒めて、豆板醤、酒、砂糖、少量の中国酢、魚醬をあわせたタレで絡めたもの。カツオには強い味のタレがよく合う。ビールやご飯に合う。また単純に炒めて焼き肉のタレでからめてもいい。
    カツオの腹身のしょうゆ焼き腹身のしょうゆ焼き 腹身の部分を適宜に開いて、素焼きにし、しょうゆとみりんを合わせたものをつけながら焼き上げる。焼けたしょうゆの香ばしさにカツオのうま味が合わさってとてもおいしい。
    カツオの幽庵焼き幽庵焼き カツオの切り身をみりん、酒、しょうゆ同量を合わせた地に半日以上つけ込む。これをじっくり焦がさないように焼き上げたもの。しょうゆとカツオのうま味が非常に合う。
    カツオの血合い焼き血合い焼き 血合いの部分に塩をまぶして1時間以上置く。水分をよく拭き取り、そのままじっくりと焼き上げてもいいし、干して焼いてもいい。血合いはクセがあるが、いちばんうま味に満ちた部分で、焼くと実に味わい深い。やや塩辛いので酒の肴にするといい。
    カツオの炊き込みご飯炊き込みご飯 カツオの切り身を生じょうゆにつけ込む。これをご飯に炊き込む。水加減したら少量の酒、塩と切り身を入れて炊きあげる。炊きあがりにしょうがのせん切り、みょうがや青じそ、ごま、青ネギなどを加えるといい。
    カツオ茶漬けカツオ茶漬け カツオの刺身をしょうゆ、みりん、しょうがの搾り汁につけ込んでおく。これをご飯に乗せて、お茶(熱湯)を注ぐだけ。ふたをして数分蒸らして食べるとよりうまいだしが出て美味になる。
    好んで食べる地域・名物料理
    カツオの角煮(うま煮) カツオの身をサイコロ状、もしくは適当に切り、甘辛く煮上げたもの。煮る前にしょうゆだれに漬け込む、もしくは湯引きすることもある。
    かちゅー湯
    【飯】
    かつお飯(鰹飯) 静岡県。薄味に煮たカツオを、桜飯に炊きあげたご飯に混ぜ合わせる。
    かつお飯(鰹飯) 静岡県焼津市。甘辛く煮たなまり節を炊きたてのご飯に混ぜる。
    りゅうきゅう すりごま、しょうゆ、みりんなどで作った地に魚の切り身を漬け込んで、ご飯にのせて食べるもの。湯、もしくはお茶をかけてもいい。[大分県全域]
    【茶漬け】
    かつおの茶漬 炊きたての暖かいご飯にカツオのつくり(造り=刺身)をのせ、醤油をかけ、その上から熱いお茶(新茶)をかける。
    茶ずまし 徳島県南部太平洋側。ご飯に醤油漬けにしたカツオの刺身をのせお茶をそそぐもの。
    カツオ茶漬け 厚めに切った刺身を醤油、みりん、卵のたれに漬け込み、熱いご飯にのせ熱い番茶をそそぐ。
    大根の塩辛煮 大根をだし汁で柔らかくなるまでたき。塩辛を加えて煮上げる。
    かつおの塩炊き 三重県。濃いめの塩水で炊く。身は食べ、汁は薄めて飲む。中落ちなどは煮つけにすることが多いが、この塩水で煮るというのもとても魅力的だ。煮汁がおいしいのもいい。『聞書き 三重の食事』(農文協)
    カツオの茶ずまし茶ずまし 徳島県には「茶ずまし」という料理が2通り存在するのかも知れない。これはしょうゆにつけたカツオの刺身をご飯の上にのせて番茶をかけたもの。新鮮なものを使うと生臭くなく、カツオのうま味が茶に溶け込んでとてもうまい。塩気が足りなかったらしょうゆを加える。刺身よりも生臭みがないので子供にも好かれていた料理だとのこと。[徳島県海部郡海陽町宍喰浦]
    カツオの茶ずまし茶ずまし(茶澄まし) 徳島県で作られているもので、カツオの即席すまし汁といったもの。汁椀にカツオの刺身5きれほど入れ、熱い煎茶をそそぎ、醤油で吸い物ほどに味つけする。『阿波ふるさとの味』(鈴木竹子 徳島郷土双書 徳島県教育会)
    がわ(がわ料理) カツオを三枚に下ろして、腹骨、血合いをのぞく。こまかく刻んでおく。青じそ、ねぎ、ミョウガなどを刻んでおく。氷水にみそを溶き、ここにカツオ、香辛野菜を入れて、カランカランと氷の音をさせながら混ぜる。これを汁として、またご飯にかけて食べる。[静岡県御前崎周辺]
    揚げびたし 適宜に切ったカツオの身に片栗粉などをつけて揚げ、しょうゆ、砂糖、酒、みりん、(酢を使うことも)などで作ったタレに浸したもの。タマネギ、ニンジンなどを使う。南蛮漬けのようなもの。[福島県いわき市などで聞き取る]
    かつおのなまりかつおのなまり カツオを下ろして塩ゆでにしたもの。そのままでも、煮ものなどに使ってもいい。静岡県伊東市
    かつお飯簡単版かつお飯 カツオ漁の基地がある焼津ではカツオを様々な料理法で食べている。そのなかに「カツオの炊き込みご飯」や「生のカツオをしょうゆに漬けてご飯に挟んで蒸らした料理」などがあり、どれも鰹飯(かつおめし)という。これを簡便化したもの。
    カツオの切り身をしょうゆ、みりんなどに漬け込み、お茶碗に温かいご飯とともに入れてバターをのせ、電子レンジで加熱するもの。料理時間は漬け込み時間を入れても半時間ほどしかかからない。『秘伝 おふくろの味 静岡県海のさち山のさち』(静岡県生活改良普及員編 静岡新聞社)
    かつおの塩たたきかつおの塩たたき 新鮮なカツオを4割に、皮を引き(初ガツオと腹の部分は皮付きでよい)、強めの塩を振ってあぶるだけ。漁師さんが漁の後に手早く作れる酒の肴といったものだろう。「たたき」というと皮付きのままあぶり、ねぎや大葉などをのせて、酸味のあるたれをかけなじませて食べるのが有名だが、あれは明らかに陸上での料理。漁の後のまだ海の上などで素早く作るのには、「塩たたき」の方が優れてる。加うるに、人肌くらいの生暖かいカツオの味は、冷たい状態のものよりも遙かにうまい。[高知県高知市] 永野昌枝さん・廣さん
    カツオの土佐造りカツオの土佐造り(たたき) 高知県。下ろしたカツオの皮を藁などの炎であぶり、ねぎ、ニンニク、青じそなどをのせて、ポン酢(加減しょうゆ)をかけて手でたたいてなじませる。
    かつお血合いなめろう血合いなめろう 千葉県外房勝浦市の民宿で食べた。血合いの部分を細かく切り、みそ、ねぎ、玉ねぎなどと合わせて切れる包丁でたたいたもの。酸味があってうま味が強くていい酒の肴になる。[千葉県外房]
    加工品・名産品
    乾製品や塩蔵品、総菜、缶詰など加工品は多岐にわたり、多種多様。膨大な種類を要している
    焼きがつお 三枚に下ろしてゆでてなまり節に。これを焼いて風味付けしたもの。土佐の廣丸(高知県高知市横浜)
    ツナ缶(カツオの缶詰) ビンチョウマグロのシーチキンに対して『はごろもフーズ』ではシーチキンマイルドという商品名になっている。
    冷凍カツオ 「とろかつお」など商品名あり。皮付き、皮なしなどあり、ロイン(4分の1)、フィレ(三枚に下ろした身)などいろいろある。
    カツオ節
    伝統食品
    カツオ節 カツオをゆでて(煮熟)して、いぶし(焙乾)、乾燥させたものを「荒節」、これに黴つけをして、乾かしたものを枯れ節、本枯れ節という。だしをとったり、そのまま削って食べる。小さなカツオを2枚に下ろして、作ったものを形から「亀節」、大きなカツオを2枚に下ろし、背と腹に分けたものもあり、背側を「雄節」、腹側を「雌節」という。鹿児島県、静岡県、三重県、高知県、宮崎県、沖縄県などが産地。[写真上は雄節、下は雌節]
    かつおなまり節
    伝統食品
    なまり節 カツオをゆでて、干したもの。水分量が40パーセント前後と多い。この状態のものをみそに漬けたり、味つけしたり、もう一度スモークにかけたり様々な派生食品を産んでいる。基本的にはそのまましょうがしょうゆで食べる。また煮ものなどに使う。鹿児島県、宮崎県、高知県、静岡県、宮城県などで作られている。
    かつおけずり節かつおけずり節 本枯れ節、荒節などを削ったもの。表面の部分の血合いをつけたままのもの、完全に取ったものなどがある。枯れ節で血合いをとったものがいちばん高価で、非常に澄んだ上品なだしがとれる。大阪では主に荒節のけずり節が多く、東京では本枯れ節を見かける機会が多い。だしだけではなく、青森の郷土料理「貝焼き」や豆腐にのせるなど様々な用途がある。
    カツオのせんじ
    伝統食品
    カツオのせんじ、いろり カツオ節を作る過程でゆでた汁を煮詰めた(煎じ)もの。古くは「いろり」、現在でも鹿児島県では作られていて「せんじ」という。だし、調味料として使われる。[国沢百馬商店 鹿児島県指宿市]
    かつおの塩辛
    伝統食品
    かつおの塩辛(酒盗、わたがらす) 春夏の脂の少ないカツオの胆のう、膵臓を除いたワタ(内臓)を塩漬けにしたもの。「酒盗」というのは『和漢三才図絵』(1712年正徳2年)に、「鰹の腸(はらわた)を塩辛にしたものである。阿波でつくられたものが有名である」とある。土佐藩十二代藩主山内豊資が土佐清水で食べて名づけたものとされるのは正しくない。カツオの内臓の塩辛は古くから食べられてきたもので、江戸時代には「たたき」と呼ばれていた例もある。『土佐の廣丸(高知市)』
    塩鰹
    郷土食品
    塩鰹(塩かつお、潮かつお) カツオの内臓を抜き、丸のまま塩漬けし、干したもの。伊豆半島西岸などでは年末年始のお飾り、年取魚とする。少しずつ削って、お吸い物に、またあぶって酒の肴に、ごはんのおかずにする。写真は『魚武水産』 (静岡県賀茂郡安良里)で作られたものだが、閉店。西伊豆町田子では今も健在でおいしい潮鰹を作っている。
    米沢塩がつお
    郷土食品
    塩がつお 山形県米沢盆地には宮城県などから塩をしたカツオが送られて来ていたらしい。その「塩がつお」が宮城県から来なくなったために米沢盆地で作るようになったもの。実に味のいいもので、当地では人気が高い。[かねしめ水産 山形県米沢市中田町]
    カツオの腹も干し
    郷土
    腹皮 「はらがわ」、「はらも」、「はらす」、「はらんぼ」などと読む。カツオ節などを作るときに出来る砂ずり腹の筋肉の薄い部分(歪な菱形)を干したもの。濃厚なうま味がして、酒の肴にもってこい。主にカツオの産地や加工地で作られている。[枕崎市漁業協同組合 鹿児島県枕崎市など]
    ちちこ煮
    郷土食品
    心臓の煮つけ ちちこ煮、うすごろ煮、へそ煮。高知県や鹿児島県などで作られている。カツオの心臓(ちちこ)を甘辛く煮付けたもの。肝臓や砂肝のような血液を感じさせる風味があり、うま味が強い。[吉永鰹節店 高知県土佐市]
    カツオの角煮カツオの角煮 カツオの佃煮。カツオの身を適宜に切り、甘辛く煮たもの。カツオの産地始め日本各地で様々なものが作られている。[村上商店 宮城県気仙沼など]
    かつおの燻製
    かつお燻製 カツオの身にしょうゆ、砂糖、酒、みりん、唐辛子などで味付けして燻蒸して干し上げたもの。味つけがよくほどよい甘さでウイスキーなどによく合う。非常に美味。[大瀬勇商店 三重県尾鷲市]
    郷土食品
    かつおの卵 卵巣の塩蔵品。カツオ節を作る工程で出て来たものをうまく利用したもの。卵巣の持つ風味が生きていて、鱈子とは別種のおいしさが楽しめる。ご飯に合う。[一企海産 鹿児島県枕崎市]
    カツオの楊枝
    郷土
    カツオの楊枝 カツオの尾鰭のつけ根がとがっていて、楊枝に加工しやすい。これをよく洗い、さらして彩色したもの。色合いも美しい名品である。[かんてき 和歌山県田辺市]
    釣り情報
    外房、相模湾などで生き餌釣り、ルアー、かったくり(疑似餌)で狙う。
    歴史・ことわざ・雑学など
    ■ 歳時記、季語では夏。
    ■ 「鰹色利」、「鰹煎汁」:「いろり」。鰹節を煮出した汁。
    ■ 結納の品のひとつ「勝男節(かつおぶし)」。
    ■ すし屋では「足が速い(腐りやすい)」種として嫌う向きがある。
    ■ 有名な俳句に「目に青葉山ほととぎす初かつお」山口素堂(江戸時代前期の俳人)、「鎌倉を生て出けむ初鰹」芭蕉
    ■ 江戸時代、初鰹に熱狂したといわれるが、これは18世紀半ばくらいから。「女房を質に置いても初鰹を食う」のも江戸時代半ば以降のこと。
    ■ カツオの逸話として、江文化9年(1812)旧暦3月25日に、初鰹が総数17本入江戸の町に荷した。そのうち6本は将軍家に、2本は権門へ、1本は有名な料理屋八百善へ行き、人気歌舞伎役者市川歌右衛門が魚屋から1本3両で買って振る舞いをした。
    ■ 芝造り:皮付きの刺身。(『芝居の食卓』(渡辺保 朝日文庫))
    ■ 江戸時代カツオの刺身といったのは、表面をあぶったもの。別名「あぶり」とは現在の「カツオのたたき」のこと。『たべもの東海道』(鈴木晋一 小学館ライブラリー)
    鰹醢(たたき) 〈江戸時代「たたき」と呼ばれていたのは現在のカツオの塩辛のこと。〉『たべもの東海道』(鈴木晋一 小学館ライブラリー)、〈肉の端および小骨をたたき和めて醢(しおから)とする。紀州(熊野)・勢州(桑名)・遠州(荒井)のものを上とする。相州(小田原)のものがこれに次ぐ。奥州(棚倉)のものは色が白くて味は佳い。〉『和漢三才図会』(寺島良安 正徳3年/1713 東洋文庫 平凡社)
    酒盗 〈鰹の腸(わた)を醢にしたものである。阿波で作られるものが有名である。〉『和漢三才図会』(寺島良安 正徳3年/1713 東洋文庫 平凡社)
    ■ 現在のカツオ節は江戸時代延宝2年(1674年)土佐の甚太郎によって始められた。ゆでたものを焙乾するなどの工夫が行われたのだ。
    ■ 古くは「堅魚(かたうお、かたな)」、「堅魚木(かたなぎ)」。これは明らかに生のカツオではなく乾物をさしている。「かつお」という言葉は海から遠い都などで生まれたか?
    ■ カツオノエボシ(鰹の烏帽子)というヒドロ虫類がいる。触手に猛毒を持ち、電気クラゲとも呼ばれる。
    ■ カツオ節の古くからの産地は房州、伊豆、紀州、阿波、土佐、薩摩
    ■ 「鰹木」、「硬魚木」:「かつおぎ」と読む。宮殿、神社などの棟木の上に並べられた装飾用の木のこと。「勝魚木」、「葛緒木」とも。
    ■ 「鰹鳥」:鳥綱ペリカン目カツオドリ科カツオドリ属のカツオドリ。南大西洋、西太平洋に生息する海鳥。
    ■ カツオブシムシ:カツオブシムシ科の甲虫。衣料品や乾物などを食害する。
    湯通し 江戸時代のカツオの食べ方を再現したもの。江戸時代のカツオの食べ方の主流は刺身(表面をあぶったもので現在の「たたき」)と「なます」である。「江戸時代には霜降り(湯引き)して食べていた」。(『たべもの東海道』 鈴木晋一 小学館ライブラリー)、(『浮世絵に見る江戸の食卓』 林綾野 美術出版社)にあったものをそのまま再現してみた。刺身状に切ったものに塩をして寝かせ、熱湯に通す。これを酢で洗う。酢と塩の味でさっぱりしておいしい。
    天ぷら 〈吉兵衛が高級天麩羅を始めたのは文化年間(1804-18)の少し前、とあるから享和年間(1801-1804)頃のことになる……式亭三馬『四十八癖』に「……初鰹の天麩羅を売る店はあすこ一軒だ……」〉『すし 天ぷら 蕎麦 うなぎ 江戸四大名物食の誕生』(飯野亮一 ちくま学芸文庫)
    参考文献・協力
    協力/岩崎薫さん、永野廣さん・昌枝さん(高知市)菊池利雄さん(静岡県沼津市)、岩田昭人さん(三重県尾鷲市)、日高勝巳さん・府美子さん(宮崎県日南市 浜乃茶屋)、長尾桂一郎さん(徳島県海部郡海陽町宍喰浦)
    『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『魚の分類の図鑑』(上野輝彌・坂本一男 東海大学出版局)、『商用魚介名ハンドブック』(日本水産物貿易協会編 成山堂)、『水産加工品総覧』(三輪勝利監修 光琳)、『伝統食品の知恵』(藤井建夫 柴田書店)、『たべもの東海道』(鈴木晋一 小学館ライブラリー)、『たべもの語源辞典』(清水桂一編 東京堂出版)、『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版)、『魚々食紀』(川那部浩哉 平凡社新書)、『秘伝 おふくろの味 静岡県海のさち山のさち』(静岡県生活改良普及員編 静岡新聞社)、『聞書き 三重の食事』(農文協)
  • 主食材として「カツオ」を使用したレシピ一覧

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