スーパーでカツオでちしゃなます

スーパーのカツオは優れもの


魚は市場とスーパーと魚屋で買う。すべての業態が水産物を調べる上で重要である。近所に新しいスーパーが出来て、さっそく見つけたのが千葉県産カツオである。刺身用1尾の4分の1で245g、498円はまあまあ高いけど、昨今の高騰からするとがんばっているな、と思わずにはいられない。
元の大きさは1㎏少しだろう。ほぼ同じ物を八王子の市場でも豊洲でも見ている。たぶん江戸時代に目に青葉の晩春、旧暦の4月(太陽暦の5月)に食べていたのも、このサイズだったはず。この千葉県勝浦産のカツオが関東での初カツオに近いものだとしたら、江戸時代よりも1ヶ月以上早い。寒冷な気候であった江戸時代でも、太陽暦の5月下旬のカツオは危険だっただろうなと思うこともある。
これで山口県の郷土料理「ちしゃなます風」を作る。ほんらいは炒ったいりこを酢みそに混ぜ込んでちしゃと混ぜて作る。これをカツオに置きかえる。
ちなみにちしゃはボクが子供の頃には普通の野菜だった。徳島県美馬郡貞光町(現つるぎ町)の家の舎園地(平安時代からある言葉で家の敷地内にあるから舎園、すなわち小さな畑のこと)で作る野菜のひとつだった。
ちしゃ=レタスといってもいいが、茎が伸び、そこから出てくる葉を摘みながら食べる。かきちしゃともいい、韓国などの市場にはサンチュというよりも国内で作られていたような古いちしゃが見られる。
かきちしゃなどあるはずもないので、ここでは仕方がないのでサニーレタスを使う。本来のちしゃはかなり渋苦い。あの懐かしい、子供の頃嫌いだったちしゃをもう一度食べてみたい。
酢みそは山口県の郷土料理の名著、『防長味の春夏秋冬』(貞永美沙子 マツノ書店 1981)に従い、みそ・酢・砂糖を合わせてすり鉢ですったもの。

春らしい味


レタスは洗って水分を切り、ちぎっておく。
カツオは表面を湯引きして氷水に落として適当に切る。
酢みそにカツオを入れて和え、そこにちぎったレタスを加えて和える。和えるとレタスがしんなりしてきて、一体感が生まれる。
カツオとレタス(ちしゃ)の微かな苦みが実に好相性。今回はカツオ4分の1の半分で作ったが、作りすぎても足りなくなりそな、そんな爽やな一品なのである。
いりこ(煮干し)で作ると、おかずにもなりそうだが、カツオだと酒の肴そのもの。
これまた近所のスーパーで買った宮城県大崎市「一ノ蔵特別純米」を冷やし、ド深夜にやる。


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