マイワシで忘れてはならないのが豊漁不漁の周期のことである。2003年〜2004年にマスコミなどでマイワシの不漁が騒がれたが、これはフィッシュミールや飼料用の需要を考えると大問題だが、食用にする限り心配するほどではない。
 日本の漁業が紀伊半島和歌山県から、この魚を漁獲することで進展してきたことは明らか。茹でて油を絞り、干したものが禁近畿地方で木綿の肥料として使われ、木綿の生産料を飛躍的にのばし、庶民でも高性能な衣類が手に入るようになった。養殖魚や畜産の飼料、日常でも丸干し、煮干し(ひらご)などの加工品、鮮魚としても最重要魚であろう。
 また、「しらす」と呼ばれるのはウナギ、ニシン目の魚などの稚魚の総称であるが、食料品としては「しらす干し」「ちりめん」などのイワシ類の稚魚のことをいう。その「しらす」でいちばん多いのがカタクチイワシ、次にマイワシ。ときにウルメイワシの稚魚も使われるが少ない。静岡県などでは生でしょうがじょうゆ、わさびじょうゆで好んで食べる。
◆食べてみる◆
 夏から、晩秋の脂ののった時期の刺身は最高にうまい。
 カルパッチョにもいい。
 また生の身を包丁で味噌と辛香野菜とたたく、「なめろう」は非常に美味。
 後は塩焼き、天ぷら、フライは最近では定番料理になっている。他には珍しいところでは三枚に卸した身をすき焼き仕立てにした「炒り焼き」もうまい。
 加工食品では目差し、丸干しなどの干物、煮干し(平子)などをよく見かける。
(料理に関しては下記)
マイワシの生しらすを軍艦にしました。寿司図鑑でご覧ください
●小イワシを寿司にしました。寿司図鑑をご覧下さい
成魚の寿司に関してはこちらへ!
●参考/『イワシの自然誌』(平本紀久雄 中公新書)、『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版)、『魚と貝の事典』(望月賢二 柏書房)、『魚類学 下』(落合明、田中克 恒星社厚生閣)
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱真鰭区ニシン・鰾下区
ニシン上目ニシン目ニシン科ニシン亜科マイワシ属
マイワシ
Sardinops melanostictus (Temminck and Schlegel)
その他のニシン目の魚へはここから!
魚貝の物知り度/★★★★★ 知らなきゃ恥
食べ方◆刺身(カルパッチョ)/
なめろう(みそたたき)/
塩焼き/フライ/天ぷら/煮物/鍋もの他
◎非常に美味
市場での評価・取り扱われ方◆市場にはほとんど毎日ある。寒い時期から青葉どきまでが不安定で味が落ちる上に、値段が高騰する。
暑くなるにしたがい脂がのりだんぜんうまくなる。これが秋いっぱいまで安定している。入荷の多いのもこの時期。値段は安定している。
生息域◆沖縄を除く日本全国。サハリン東岸のオホーツク海、朝鮮半島東部、中国、台湾。
生態◆
産卵期は冬から晩春(2月から5月)。産卵数は3万から5万粒。産卵期に数回に分けて産み出される。
孵化したばかりの頃は体長(以下略)2ミリほど、半年で6センチ前後になる。1年で8センチから12センチ。2年から3年で20センチ前後に育つ。
沖合、沿岸域を回遊しながら動植物プランクトンを摂取(食べて)いる。
大きさ◆30センチ前後になることも
漁獲方法◆巻き網/定置網
漢字◆「真鰯」。
由来◆「真」はイワシ類(カタクチイワシ、ウルメイワシなど)の代表的なものの意。
「いわし」は「卑しい(いやしい)」の転訛したもの。
「いわし」は「弱し(よわし)」の転訛したもので、水から揚げるとすぐ死ぬ。他の魚に食べられて弱し。
呼び名・方言◆日本海で「平子鰯(ひらごいわし)」。
関東の市場では「七つ星(ななつぼし)」とも言われる。
他には「ひら」、「やし」、「かぶだか」、「きんたろう」、「どこ」。
大きさにともなう呼び名の変化◆
5〜8センチ/「たつくち」
8〜12センチ/「小羽鰯(こばいわし)」
12〜15センチ/「小中羽鰯(こちゅうばいわし)
15〜18センチ/「中羽鰯(ちゅうばいわし)」
18〜20センチ/「にたり鰯(にたりいわし)」
20センチ以上/「大羽鰯(おおばいわし)」
参考/『私はイワシの予報官』平本紀久夫 草思社
釣り◆防波堤からのサビキ釣り。ときに船でのサビキ釣り。
マイワシ料理・加工品
7月、脂べっとりの小羽の刺身。白っぽく見えるのは脂。マイワシの場合は大きいほどうまいという法則は当てはまらない
酢締め。江戸前ずしでも酢締めにして握られる。これもいい味だ
ミョウガ、ネギ、青じそなどの香辛野菜とみそを合わせて細かく叩いたものが「なめろう」。これを青じそ、サルトリイバラの葉などに包んで焼いたのがさんが焼き
天ぷらは意外に絶品。静岡県沼津市ではマイワシの天丼が名物という店もある。またフライもうまい
オリーブオイルで単純にソテー、しょっつるとレモンを上からかけただけ
ショウガ煮、梅干し煮はマイワシを使った定番の惣菜
日本海に多い、平子鰯(マイワシ)の煮干し。カタクチイワシより安く、味もやや劣る。