コラム

平凡ですが、北海道のデブなマイワシに感激!

一瞬で上物とわかる


連日のように北海道道東からマイワシがやってきている。「もどりいわし」と書いてあったり、いなかったりするが、どれも中身は同じものだ。どの荷(市場流通するときの箱)にも太りすぎのデブイワシが入っていて、触ると硬いなかに脂の存在が感じられる。
魚屋は、「火つけると燃えます」などと言うが、本当に燃えそうな手触りである。
古く、5月くらいから10月がマイワシの脂が乗っている時季とされていたことがある。ただしこれは関東周辺とか太平洋沿岸域でのことで、全国的には当たらない。
日本海側では明らかに数ヶ月遅れるし、最近では温暖化のせいで晩秋から冬にかけて、北海道とか三陸で、いちばん脂をため込んでいる、索餌回遊(エサを食べるために群れて移動する)の時季が遅くなっているようだ。
北海道のマイワシは2021年から今年まで、11月からまとまって来ている。
それにしても今年ほど脂が乗っていたかな? なんて過去の画像を確認して見ると、やはり昨年(2021年)の個体も厚い脂の層に覆われていたことがわかる。

脂の層は2mm近く、つもった雪を思わせる


今回の北海道産は体長20cm ・130前後なので、明らかに太り肉である。
ちなみに脂の強い個体を下ろすとき、氷で手を冷やしてから、が基本であるにも関わらず、うっかり常温で触ったために今回の刺身は見た目がきれいに上がらなかった。
今週もまたマイワシ三昧だと思うけど気をつけなくちゃ、ダメだ。

味見のつもりで食べて、止まらなくなる味


刺身は箸でつまんで見つめる間に表面が潤んでくる。口に入れるとヒョイと溶ける。
溶けながら青魚のうま味を放出するのだから、文字にするのが追いつかないくらいにうまい。

脂ののったマイワシの塩焼きの味は想像を絶する


さて、刺身の味に感激して、買い求めた全部刺身で食べようかと迷ったが、考えた末に数尾、塩焼き用に振り塩をして保存。
まさかのまさか、刺身以上に塩焼きに感激する。
脂が多いので焼き上がりはきれいではないが、松阪牛が裸足で逃げていくといった味だった。
「もどりいわし」はカツオからいただいた感がある。
「北の冬いわし」の方が詩情があると思うけどな。


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