ぼうずコンニャクの食べる魚貝類だけでなく多彩な生物の図鑑です。掲載種は2000種、食用の水産生物の一般的なものは総て網羅。検索法・食べ方を詳しく解説しています。

アイナメ(Green ling)

学名:Hexagrammos otakii Jordan and Starks

アイナメの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
体長45cm前後になる。側線は5本。尾鰭後縁(いちばん後ろの形)はまっすぐ。上が産卵期を迎えた雄で、これを関東では「わたり」と言う。下が雌。12月、函館。

アイナメの形態写真

体長45cm前後になる。側線は5本。尾鰭後縁(いちばん後ろの形)はまっすぐ。

  • 魚貝の物知り度 食べ物としての重要度 味の評価度

    ★★★

    知っていたら通人級

    ★★★

    一般的な水産物(流通量は多くも少なくもない)

    ★★★★

    非常に美味
    分類
    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目カジカ亜目アイナメ科アイナメ属
    外国名
    Green ling
    学名
    Hexagrammos otakii Jordan and Starks
    漢字・由来
    漢字 「鮎並」、「鮎魚女」、「愛魚女」、「相嘗」。
    由来・語源 「東京附近では一般にアイナメ」(田中茂穂)。
    鮎のように縄張りを持つため。「鮎並」が転訛したもの。
    アユに似て滑らかであるから。(大言海)
    形が鮎に似ていることから「鮎魚女」とした。(本朝食鑑)
    「愛な魚」のこと、〈愛〉は「愛でること・賞味すること」、〈な〉は「の」、「め」は魚名語尾で「賞味すべき美味な魚」の意味。
    地方名・市場名
    クジメと混同されていることが多い。
    アブラコ(油子)、アブラッコ/北海道
    アブラメ/青森、大阪、徳島
    オキシンジョウ/富山県氷見市藪田浦漁業協同組合
    シジュウ(四十)/新潟、秋田、京都府
    シジョウ/新潟県上越市、秋田、京都府
    シンジョ/山形県鶴岡市由良漁港
    シンジョウ/富山県氷見市藪田浦漁業協同組合
    ツムギ/徳島県阿南市
    ネウ(根魚)、ネエウオ(根魚)、ネウオ/東北
    ノソ/愛知県佐久島
    モミダネウシナイ(籾種失)/広島県ではうますぎて来年の田植え用の種まで食べてしまうということで。
    【出世魚】
    関東の釣り師の間では30センチ超えをビールビン(ビール瓶)、40センチ以上をイッショウビン(一升瓶)。
    四国関西ではアブラメ。
    兵庫県明石市では出世魚で春先にとれる3〜4センチくらいをアブラジャコ、10センチゼンゴに成長したものをコゼッポ、それ以上30センチ未満をアブラメ、30センチ以上をポンという。
    ■ 他には、アイナ、アブラウオ、エイナ、エエナア、カクゾウ、クジメ、クロアイ、クロテン、コツクリ、イジュウハチメ、シジュウモズ、シンゾウ、ベロ、ホッケ、ホツケンジュウ、、マンサ、メントリ、モアブラメ、モイオ、モウオ、モズ、モチウオ、モヨ、モロコシ、ヤスリ、ワガ。
    生息域
    海水魚。日本各地。朝鮮半島南部、黄海。
    浅い岩礁域に棲息する。
    生態
    産卵期は関東では晩秋から冬。寒い北海道では9月から11月と早い。
    産卵期にはオスが縄張りを持ち、メスに求愛運動をし、岩礁域の窪みなど潮通しのよい場所(縄張り)に産卵させ、産卵後はオスが卵を保護する。この縄張りを持つ産卵期にオスは婚姻色の鮮やかな黄色になる。卵を守る習性があるのに、逆に卵を好んで食べる。
    雑食、夜行性で岩礁域などに縄張りを持っている。
    基本情報
    白身の高級魚のひとつ。
    淡泊な味わいから病人食として、またお食い初めなどにも使われていた。
    岩場などに生息するものは戦後値を上げているが、古くから安定してやや高値となっている。
    本来、一般家庭でも使われるものであったが、近年では料理店で利用されることが多いように思える。
    スーパーなどではあまり見かけない。
    魚屋ではときどき見かけるものだが、近年は刺身が多いように思える。
    水産基本情報
    市場での評価 量的にはあまり多くない。活け、活け締めは高く、野締め(漁のときに死んだもの)は安い。また旬である晩春、夏に高値になるのも特徴的だ。
    漁法 延縄(はえなわ 釣り)、刺し網、カゴ漁(アイナメカゴ)
    産地 関東には北海道常磐(茨城)、東北(福島)などから入荷を見る。
    選び方
    白身魚。皮目に味がある。
    活けは死後硬直まえのまだ柔らかいものがいい。
    また活け締めものも、あれば死後硬直する前の軟らかいものを選ぶ。
    鰓は鮮やかに赤いもの。目の澄んだものがいい。
    味わい
    旬は夏から冬
    鱗は小さく、鱗引きではなく、カナブラシなどの方が取りやすい。
    白身でクセのない上品な味わい。
    小骨がなく、淡泊ななかにも旨みがある。
    皮には旨み、脂が多い。
    栄養
    高タンパク低脂肪で低カロリーです。
    カルシウムと、その吸収を高めるビタミンDが豊富です。骨や歯を丈夫にし、骨粗鬆症を防止してくれます。
    ビタミンB1、ビタミンB2が豊富です。
    ビタミンB1は糖質の消費を活発にして肥満を防止します。ただし熱に弱いので、生(刺身)で食べるか、加熱が短時間の料理法で効率的に摂取できます。
    ビタミンB2は脂肪の消費を活発にし肥満を防止、肌や髪の毛、爪を綺麗にしてくれます。
    またビタミンB1、B2は水に溶けやすいので、加熱する場合は〝煮汁ごと食べる料理法〟にするのがベスト。中でも、お吸い物は、加熱時間が短く、汁も美味しく飲めるのでアイナメにぴったりの料理法と言えます。
    寄生虫
    食べ方・料理法・作り方
    料理法
    汁(椀だね、みそ汁)、刺身(焼霜造り、刺身)、焼く(魚田、つけ焼き、幽庵焼き)、揚げる(天ぷら、エスカベーシュ、南蛮漬け、唐揚げ、フライ)、ソテー(ムニエル)
    揚げる 小振りのものが初夏から夏に大量に揚がる。これは天ぷら、エスカベーシュや唐揚げにして美味。小振りのアイナメは天だねとして優秀である。
    ソテー ムニエル、ごま油でソテーして非常に美味。
    アイナメの吸い物 魚料理というと刺身を筆頭にあげる人が多くなった。これはいかにも残念至極。日本料理の花、主役といってもいいのが汁。魚だけから出る味わい(だし)で作るのが潮汁だとしたら、カツオ節昆布だしに種として魚を加えるのが吸いものだ。料理用語では椀物などともいわれる。この椀物がまさに日本料理の華なのである。  椀物に加える魚貝類を一般に椀種というが、主に白身魚が利用される。できるだけ上品でクセがなく、しかも吸い地(汁)の味わいの中で主張しすぎないもの。意外にこれが少ない。マダイ、アカヤガラ、ハモ、アマダイなどがあって、アイナメもその代表的なものだ。  アイナメは非常に上質な白身で、軽く火を通すと口の中でとろっと溶ける。口中に残るもの、味わいがなく後味が短く切れがいいのも見事なのだ。アイナメを買い求めたら真っ先に作りたい、それが吸いものである。
    材料 アイナメ25センチサイズで1人前に対して三枚に下ろした身半分。カツオ節だし(カツオ節削り節、マコンブ)、酒、塩、三つ葉 作り方 1 吸い地を作る。カツオ節だしに酒、塩で味つけする。ややもの足りぬくらいでいい。三つ葉は塩ゆで、冷水に取り、水分を切っておく。 2 アイナメの三枚に下ろした身は腹骨を取り、身の方から皮に向かって切れ込みを1ミリ幅くらいで入れておく。 3 切れ目に片栗粉をまぶし、お湯に落とし、冷水の取り、水気を切る。 4 吸い地のなかで切り身と三つ葉を温めて、椀などに盛る。料理店などでは吸い地で温めて、三つ葉と身だけを椀に取りだし、新しい吸い地を張る。この方が汁が澄んで美しいが邪道だと思う、
    アイナメの刺身刺身 脂ののった夏のアイナメ。この脂がとても甘い。適度な軟らかさなのもいい。
    アイナメの刺身(焼霜造り)焼霜造り 刺身というと、三枚に下ろし皮を取り去り、食べやすい大きさに切る。これが一般的なもの。ただ白身で上品すぎる魚だと、味わいに欠けるところがある。実は魚の旨みは皮と皮下にある。ここを捨ててしまっては元も子もないのだ。  これを生かす料理法が皮霜造り、焼き霜造りである。皮霜造りは熱湯を皮にかけて、冷水に取り、水分をふきとって刺身状に切る。焼き霜造りは皮を直火で焼き、冷水に取り、水分をとり、刺身状に切る。皮霜造りは比較的皮の柔らかい魚向き、焼き霜造りは比較的皮の硬い魚に向いている。
    材料 アイナメ半身(鱗を取り、腹骨を切り取る)、万能ネギ、 土佐しょうゆしょうゆ500㏄、みりん80㏄、酒80㏄を鍋に入れてじっくり煮立て、カツオ節削り節ひとつかみ約10グラム前後を加えて漉したもの。
    作り方 1 アイナメは血合い骨を抜き、縦に2本切れ目を入れて直火で皮に焼き目をつける。氷水に落として水気をよく拭き取っておく。 2 刺身状に切り、皿に盛り万能ネギをちらす。生じょう油にワサビもしくは土佐じょう油にワサビで食べる。 アイナメの皮は厚く、ここに旨みと脂がある。その硬い皮を焼いて食べやすくする。上品な白身に皮の味わいがプラスされることで絶品となる。
    アイナメの山椒焼き山椒焼き 生山椒をちらし、味醂、しょう油を塗りながら焼いたもの。アイナメは焼き物にするとクセがなく、しかもふんわりと柔らかい中に旨みがある。
    アイナメのつけ焼きつけ焼き たまりしょうゆとみりんを合わせたものを焼き上がりにつけて仕上げたもの。
    アイナメの幽庵焼き(祐庵焼き)幽庵焼き(祐庵焼き) 酒、みりん、しょうゆを同量合わせたものに漬け込み1日置き、じっくりと焼き上げたもの。
    アイナメの天ぷらあぶらじゃこの天ぷら 兵庫県明石市明石浦漁協から春にやってきたアイナメの幼魚「あぶらじゃこ」を天ぷらにしたもの。小骨が軟らかく、揚げるとふっくらとして甘みがある。
    あぶらじゃこのエスカベッシュあぶらじゃこのエスカベーシュ 小麦粉をまぶして骨まで軟らかく揚げた「あぶらじゃこ」を野菜とともにワインビネガー主体の地につけ込んだもの。
    好んで食べる地域・名物料理
    全国的な魚。
    加工品・名産品
    加工品はほとんどない
    釣り情報
    東京湾のブラクリによるアイナメ釣りは最高に面白い。ブラクリという軽い重りに短いヒモ1本に針がついているだけ。餌はアオイソメをつけ、湾内の岩場やテトラまわりの浅い場所を探るように釣る。単純な仕掛けだけに引き味はすばらしく、病み付きになる可能性大。
    歴史・ことわざ・雑学など
    学名の「otakii」 日本に生息する多くの魚を新種記載したスタンフォード大学のデイビッド・スター・ジョルダン博士がアイナメを東京の市場で入手してきた大瀧圭之介氏に献名された。

    煮つけ魚 〈比目魚、鰈、鮎並、鰺、鱈、鯡、鮫、生節等は皆煮つけで、焼くのは蒸し鰈、魴鮄、鰯、飛び魚くらいであたが、煮肴は私は嫌いであった〉『幼少時代』(谷崎潤一郎 岩波文庫 初版は文藝春秋社1957)
    参考文献・協力
    『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版)、『新北のさかなたち』(水島敏博、鳥澤雅他 北海道新聞社)、『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『浜から伝える 魚調理事典』(兵庫県漁業協同組合連合会 山嵜清張)、『あいちの水産物 ハンドブック100』(愛知県農林水産課)
  • 主食材として「アイナメ」を使用したレシピ一覧

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