第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
百四巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
ぼうずコンニャクと庶民的寿司屋「市場寿司 たか」が目指すは千かんの寿司。

どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。●魚の生食に関しては寄生虫などの危険をともないます。食べるときには自己責任にて
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アヤトビウオ 2007年7月25日 513
 春夏秋冬、市場を歩いていて、これを見つけたら「季節を痛感する」というものが。真夏を感じさせてくれるのがこのアヤトビウオである。夏になると鹿児島から和歌山へんの太平洋側でまとまってとれる。ずんぐりむっくりして、ハマトビウオなどと比べると馴染みがないので市場価値は低いが味はいい。ということでたっぷり買って『市場寿司 たか』に持ち込んだのである。三枚に卸して、血合い骨を取ろうとして、たかさんが首をふる。「硬くて取れねーよ」、諦めて切り取ってネタとする。だから見た目が悪くなってしまった。でもでもクセもなく、柔らかく、旨味があって、すし飯との相性もいい。「これならネタケースに入れて置いてもいいね」と言うくらいに素直な味わいだ。2,3かんつまんで、ほどほどに満足至極でいると、マダラ模様の羽根を広げて「トビウオで羽根に文様があるヤツがいるんだね」とたかさん感心している。孫もいるというのに、この光景が夏休みの研究テーマを見つけた小学生のように見えるから不思議だな!
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
錦海老/ニシキエビ 2007年7月29日 514
 国内に多いイセエビがやや目立たない地味な色合いなのに対して、本種のなんとも派手な姿よ。とてもうまそうには思えないのだが、輸入に携わるメープルフーズの矢野さんの話では、「うまいエビです。それで最近は日本を通り越して、中国のお金持ちが買っていきます」という状態だという。だから国内ではあまりお目にかかれない。それを冷凍ものとは言え実際に食べられるのはこれも矢野さんのお陰であるの、ここでも御礼を申し上げる。さて冷凍物を解凍して酒蒸しにした。これを最初につまんだのは『市場寿司 たか』のたかさんなのである。そのままむしゃむしゃ止まらない。おおーい、ネタがなくなっちゃうよ! と目の前に二かん。これは素直に「うまい」ぞ。たかさんも酢飯と合わせて、これも納得顔。身に甘味があるのがいい。うまさ小錦級なのである。
ベトナム産、メープルフーズに提供していただきました
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御殿穴子/ゴテンアナゴ 2007年8月2日 515
 穴子として値の張るのはマアナゴのみである。三河地方などで安く「あなご」と呼ばれているのはギンアナゴだし、ましてや日本各地の浅い岩礁地帯にいるゴテンアナゴなんてほとんど商品価値はない。それではうまくないのだろう、と思っていたら、いざ食べてみると味はいいのである。これは「漁獲物としてまとまらない=雑魚」という「捨てられる魚」の一形式なのである。これを入会(いろんな魚が混ざって一箱になった)の中で見つけて、割き、煮穴子にする。これを『市場寿司 たか』に持ち込んで、なにも言わないで握ってもらうと。「ちょっと骨が気になるけど、割き方がへただね。でも上手に煮てあるよ。うまいよ」とほめてくれたのだ。これは真夏のゴテンアナゴがうまいということか? まさに味わいにコクがあり、調味以外に穴子自体から来る甘味もある。やや骨っぽいのだけかな、気になるのは。
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徳島県美馬郡つるぎ町貞光『飯田食堂』のすし 2007年8月12日 別巻
 和歌山県ではラーメンに鯖寿司がつきもの。これは和歌山ラーメンの人気が上昇して、よく知られるところとなった。あまり知られていないのが「徳島うどん」とそれにつきものの「すし」である。これは所謂ばらずしと言われるもので、徳島県人が単に「おすし」というとこれを差す。具はインゲン、絹さや、ゴボウやニンジンなどの野菜、これに必ず大正金時の煮豆が加わる。そこにちっか(竹輪)もしくは板つけ(赤い蒲鉾)と錦糸卵が加わると出来上がりである。はんなりと甘く軽い味わいの酢飯に薄味でこれまたはんなり甘い具がとり合わさって「うまいんでよ」と徳島県人は自慢したい郷土の味である。
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シイラ 2007年8月12日 516
 関東ではあまり人気がないシイラも日本海や四国では「うまい魚」だとして珍重する。実際、関東に入ってきたもので鮮度のいいものを選び刺身にしてもなかなかいけるのだ。今回のものは沼津魚の達人菊地則雄さんから届いた鮮度抜群の1本、その半身を「市場寿司 たか」に持ってきた。「シイラか、昔はカンパチだ、ブリだって誤魔化して、これを握ってたって聞くね。それだけ味がいいってことかな」。大きな魚なので冊取りして3、4かん出てきた。「確かに“いなだ(ブリの幼魚)”なんかに味が似ているよね。むしろこっちの方が上品だね」これはあまり脂っぽい魚を嫌う、たかさんとしてはうまいという結論だ。確かに脂が少なく、旨味がもうひとつだろう。ただしシイラは大きいほどうまいと言われている。今回のものは3キロほどのまだシイラとしては子供、これが10キロ近いものだったら味の評価は違ったものとなるだろう。
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肩星赤目張/カタボシアカメバル 2007年8月13日 517
 ずーっとアコウの子供だと思いこんでいたのが別種であったとは仰天。それがカタボシアカメバルである。まあ平凡な外見の魚であり、そのいたって目を引かないところで分類学の世界でも捨て置かれていたのかも知れない。これを沼津魚市場からいただいてきて早速『市場寿司 たか』に持ち込む。「こりゃーアコウじゃないの」と、たかさんの顔には疑問符が浮かんでいる。「とにかく別種と言うことで」と出来上がった握りを口に放り込む。「ううううー、特徴がない。アコウの子供だと言われればそうだし」とたかさん。ボクにもこれは取り立てて「うまいな」とも思えないし、困った。「味は悪くない。クセもないし、うまいことはうまい。これでアコウの小振りのヤツよりも値が安けりゃいいかもね」という、たかさんの意見に賛成。
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