第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
九十六巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
●魚の生食に関しては寄生虫などの危険をともないます。食べるときには自己責任にて
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鍋こわし/トゲカジカ 2007年2月1日 476
 どさりとトゲカジカをまな板に置いたら、「こりゃ鍋物の方がいいんじゃない」とたかさんが言う。この腹デカの不細工な魚、鍋にして美味なのは世間に知られているが、刺身だってけっして「まずくはない」。「まずくはないんだろ。このまえデカイトゲトゲの魚で偉い目(ヒゲダイ)にあっただろ」。「ヒレで怪我したこと。そんなに痛くないって言ったでしょ。早うおろしなさい。肝やアラは持って帰って鍋にするからよろしく」。その刺身だが、やはりそんなにうまいもんじゃない。「平凡な味だな」と言いながら2かん、3かん。これまたそんなにうまかない握りとなった。「悪くはない。でも味に個性がない。でしょ」。まさにその通り、やや柔らかい身にはほんのり甘味があって脂もあるようである。でもとてもうまいとは言えないかな? 「さて、今夜は鍋にするかな。たかさん、また明日」。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
とんとんずし/ヒメ 2007年2月4日 477
 秋に握りにしてヒメにはこりた。そのヒメが目の前に3匹。沼津の底引き船、太共丸さんに分けてもらったもの。食べないと悪いなと、頭を巡らせて、和歌山市雑賀崎の「とんとんずし」を思い出したのだ。これは「はまかぜ通信」で教わったもの。小魚を食べるという伝統は瀬戸内や大阪、和歌山などで発達している。特に雑賀崎では、こんなものまで、しかも、よくぞここまで美味しく食べられるものだと驚くような郷土料理がみられる。その最たるものが「とんとん」である。小魚のワタをとり、中骨などそのままにまな板で“とんとん”とたたく。このミンチ状のものをしょうゆと砂糖で甘辛く煮あげるのだ。これは、たかさん嫌がるだろうなと持ち込むと、一口食べて「これうまいな」といきなりお褒めにあずかる。そして巻物かなと思っていたら握りとなって出てきたのだ。これ「とんとんずし江戸前風」とでも言えそうである。これがうまい。とてもすし飯と相性がいいし、味わいに小魚ならではのコクがある。たかさんも「これは健康にもいいだろう」と言うが、確かに子供にも食べさせたい握りである。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」 ●「はまかぜ通信」へ
クリイロエゾボラ 2007年2月8日 478
 関東の市場に入荷してくる大型の刺身用つぶでは真つぶ(エゾボラ)についでよく見かけるBつぶの代表的なもの。ときどき貝殻表面が立ち上がって割れ目ができるのでエゾボラと間違ってしまうこともある。値段はやや安めでも味はエゾボラに負けずともおとらずである。それを八王子魚市場で下ごしらえして『市場寿司 たか』へ持ち込む。このつぶを握るのが、たかさん、大の苦手なのだ。握るのが下手というのではなく、巻き貝は握りに向かないという思いがあるようなのだ。出来上がった握りは絶品だった。こりっとしたなかにしっかりとした甘味が感じられるし、貝特有の旨味もある。へぎ切った身に入った包丁目ですし飯との相性もいい。そこにワタのコクがどどどどっとくる。「ワタはさ、余分だな。味が強すぎる。まあ身だけならいいけどな」たかさんはやっぱり乗り気ではない。これも職人気質というものだろうか? ガンコだな。
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なめた/ババガレイ 2007年2月10日 479
 市場を歩いていたら〆の入った見事な「なめた」を見つけた。これは明らかに刺身用。本来ババガレイは煮つけにして天下一品。岩手県などでは大きいのを6000円、10000円とかでドデーンと魚屋に置かれている。「これなにすんだ」というと、煮つけ用なのだ。煮つけにするのに一切れが1000円近い値段で売られている。それがポンポンと売れていくのがなんとも不思議だった。それでは刺身ではまずいんだろうか? というとやっぱりうまいのである。ババガレイの握りは「初めてだな」というたかさんと出来上がった5〜6かん口に入れてそのうまさに二人して「おーーー」と声が出た。「うまいな。特にエンガワが凄い。噛みしめると脂がとろっと出てくる。それがザラリを甘く、こりっと歯触りもいい。たかさん縁側うまいな」。「なに言ってやがる。縁側全部ひとりでくっちまいやがって、このヤロウ!」。
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テンジクタチ 2007年2月12日 480
 最近、輸入だけではなく、国産もの、例えば鹿児島県や宮崎県などからも入荷してくるようになったのがテンジクタチである。見た目はほとんどタチウオと変わらない。区別は背ビレが緑がかっていることで思ったよりも簡単である。これを『市場寿司 たか』に持ち込んでも、たかさん「タチウオだと思ってさばいたよ」というほど。身質も似ているのである。今回のは体長1メートルあまり。大きくて脂がのっている。「これはタチウオと変わらないな。いいタチウオを食べているって感じ。あんまり握りには使わないんだけど同じようにうまいね。なによりもマッタリした脂分がいいね。味にコクがある」。たかさんはタチウオとまったく区別がつかないというのだが、こちらも同様である。握りにして絶品。これもタチウオと同じなのである。
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