第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
六十六巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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メナガガザミ 2006年2月20日 326
 それは何年前のことだろう? 高知のカニ漁師、永野廣・昌枝夫婦と初めて話をしたのがメナガガザミのこと。「あのね、今年浦戸湾で甲羅に長い柄がついたメナガガザミちゅう変なカニがいっぱいとれとるんです。いりませんか」と懐かしい高知弁。それで送ってもらって食べたらいい味わいなのだ。それをまた送っていただき、『市場寿司 たか』に持ち込んだ。これを、たかさんに説明するのは難しく、とりあえず身、内子の味をみてもらう。するといきなり、「おれ、このカニ、最近食べた中でいちばん好き」だという。はっきり言ってこれは大げさだと思うが内子と身を合わせて食べると、なんともいい味わいである。でもやはり旨すぎて握りとしてはすし飯が生きてこない。
●市場魚貝類図鑑、メナガガザミのページへ!
●高知市浦戸湾の多種多様な魚貝類は『土佐の廣丸』へ ●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
ふっこ/スズキ 2006年2月21日 327
 スズキの産卵が終わって、大きなサイズのものを見かけなくなったなと思っていたら千葉県内房から、ふっこがやって来た。ふっこはスズキの若魚、40センチ前後のもの。これが大好きだというのが寿司職人の渡辺隆之さん。「ふっこがあると時々買うよ。味がいいよね。ちょっとクセのあるところがいいんだよね。寿司にすると」。あまり、ふっこが好きではないのであるが、ここまで言うのなら試してみることにする。ちょうどふっこが水揚げされたであろう船橋の前、三番瀬の海水から作られた粗塩がある。これは行徳の福田海苔店からいただいたもの。これにスダチを用意。出来上がりを食べて「うまいな、やっぱり、うまい」とたかさん。ふっこの身自体にはクセとともに甘味がある。これは旨味とも言えそうなもの。これに苦汁成分が残った三番瀬の塩とスダチの酸味、香り。繊細な味わい、これは思った以上にイケル。
●市場魚貝類図鑑、スズキのページへ!
●「行徳・三番瀬の江戸前海苔 福田海苔店」へ ●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
白貝/サラガイ 2006年2月22日 328
 持ち込んだ白貝を見て「これは使ったことないけど、生でいけるの」とたかさんが聞く。市場で白貝と呼ばれているのはサラガイ、アラスジサラガイ、ベニザラガイの3種。関東の市場でも珍しいものではない。ただ焼き物や酒蒸しに使われることが多いようだ。ほとんどが北海道産だが、日本海側でもとれて、富山などでは「満珠貝」と呼ばれ寿司屋に入ると普通に出てくる貝なのである。3種のなかでも日本海に多いのがサラガイ。これを剥き、『市場寿司 たか』ならではの塩を使った火通し。それを一口食べて「これはダメだな。青柳(バカガイ)と比べてクセというか風味がない」。バカガイには独特のアミノ酸が作り出す苦み渋みがあり、それが甘味を引き立て、独特の個性となっているのだ。それでも2かん握ってもらったら、残念ながらもの足りない。やはりバカガイと比べてしまう。「これがいいかな」とツメを塗って、こちらの方が間違いなくいい。「バカガイ(独特の風味を持つ)が嫌い、という人もいるから、ネタとしては悪くないかな」。
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タテフエダイ 2006年2月23日 329
 鹿児島の阿久根、串木野、野間岬など東シナ海に弧を描いているが、ここからしばしば南の魚がやってくる。タテフエダイもそのひとつ。姿のきれいな魚で、華やかさはないものの、どこか熱帯の雰囲気がある。この魚、白身として優秀なもので味わいよろし。刺身でもフレンチでもなんで使える。これを握りにするに、あまりにありきたりな旨さで一工夫してみたくなった。それで三枚におろして丸のまま酢締めにする。皮目がきれいなので盛りつけて映える。当然、握りに仕立ててもらって、……意外なことに思ったよりもうまくない。それほど酢をきかせたと思えないのに身のうまさが感じられないのだ。失敗だねと、帰宅して、ふと気がついて刺身で食べてみた。これがどうしたことかとてもうまいのだ。素直に一晩寝かせればよかったんだ、と後悔したのが遅かった。
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オキアマダイ 2006年2月24日 330
 一般に手に入らない魚を取り上げて「どうしてくれるんだ」と言われると困るのだが、それでこそ『市場魚貝類図鑑』だとご了承願いたい。そしてオキアマダイである。「見慣れない魚がありまして」とたった1匹大量の氷とともに沼津の蒼海君から送られてきた。まあ、これくらい珍しいと博物館に行くべきだろうとは思った。間違いなく「引く手あまた」なのについつい手が滑って三枚に卸してしまった。卸してしまったからには、当然、握りにするべきだろう? だいたい次に手にはいるのは何時の日か。身はイトヨリに近く、鮮度抜群なので当然刺身になる。そんな珍しい魚と言っても寿司職人にはまったく関係あるはずもなく、「ちょっと軟らかいな」と出してくれたのがコレ。軟らかいけど甘味がある。そしてすし飯との相性も良く、すんなりと喉の奥に消えていってくれる。「平凡な鰺だな」というたかさん、それは正解です。「塩焼きうまかったんだけどな」。
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