第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
六十二巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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サガミアカザエビ 2006年1月31日 306
 駿河湾を臨む沼津魚市場、名物は底引き網であがる多種多様な魚貝類。なかでも目立つ存在なのがアカザエビである。このアカザエビにもう一種似ている別種がある。それがサガミアカザエビである。全般にアカザエビよりも量が少なく、また形が小さい。そのために値段も落ちるようだ。それでもときに大型のものがアカザエビに混ざって置かれている。ちょうど今回のものがそれである。鮮度は抜群によく刺身でもうまそうだが、握りということから茹でてみた。これがうまい。甘味があるのは当然としてもアデノシンが多いのか旨味が濃厚なのだ。握りにしたときの大きさから一尾1かんでは大きく、2かんでは中途半端。「使いにくいな」とはたかさんのプロらしい弁。でもいいよなたまには、これぐらい贅沢な握り。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
アイゴ 2006年2月1日 307
 これほど毀誉褒貶の激しい魚もいないだろう。地域によっては「ばり(おしっこ)」なんて呼ぶところがあり、これは内蔵、身の臭みから来ているのだろう。この臭い魚、アイゴであるが、今のところさほど臭いものに当たっていない。知人の防波堤(波止)釣り歴50年という寿司職人によると「あんな臭い魚、見るだけで虫ずは走る」と言う。季節は秋口だったというのだから気温の高い夏や秋口はだめなんだろうか? さて1月の終わりの厳寒期。和歌山県串本から来たアイゴにはまったく臭みがなかった。なかったどころか刺身にしていい味わいである。卸しながら、たかさん「このヒレのトゲが怖いんだね。痛いんだろうね」と呟き、皮を引いて切れっ端を口に入れて笑っている。「こりゃ、うまいや」。握りも、旨味、そして甘味もほどほどにうまいもんである。「なんだっけ、この魚」、「アイゴだよ」、「愛子ね。可愛い名前だね。愛子ちゃん」。まあ「愛子」でもいいか?
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
浅草海苔/アサクサノリ 2006年2月2日 308
 浅草を散策していますと今でも海苔乾物の店には「東京名物浅草海苔」という文字が掲げています。この場合の「浅草海苔」は生海苔を板海苔に生産した、その嚆矢であるところの浅草。その浅草で生産されていた海苔を名産としたものに由来する言葉です。当然今では浅草には海苔の生産者はありませんから、この言葉自体も形骸化したものでしかない。でもこの大川(隅田川)に面した浅草の地が海苔の産地だった江戸時代。まさに前海でとれた海苔をすぐに板にすき、乾かしていたのでしょう。その海苔が種としてのアサクサノリなのだ。残念ながら江戸時代以来江戸前で獲れていた海苔はすでにほとんど姿を消して、種としての海苔もスサビノリに取って代わられている。それがやっと復活の兆しを見せたのが2004年木更津でのこと。これをわけていただき『市場寿司 たか』のたかさんと我が家で食べてみました。アサクサノリは今、主流となっているスサビノリと比べて色合い、香りはやや劣る。でも味わいは優れている。これが我々の感想です。特にすし飯に合わさってややしっとりしたときの甘さは特筆すべきもの。2006年2月4日にはまたアサクサノリを探すために多摩川河口まで小さな旅をします。また見つかるかな!
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盤洲 里海の会
アラスカメヌケ 2006年2月3日 309
 市場で見かけるのは冷凍か加工品ばかりという魚があるが、アラスカメヌケのそのひとつ。輸入品が多く、「赤魚」と書かれているのはほとんどが本種である。これほど輸入が盛んなのは当然うまいからで、生のものはさぞやうまいだろうな、と思っていた。そんなときに銀座『黒尊』さんから「函館の業者から送らせましたから」と魚が送られてきて、中にあったのが鮮度抜群のアラスカメヌケなのだ。持ち込んだ『市場寿司 たか』で卸す切れっ端を食べてみて思わず声が出た。「これが赤魚の本当の味だね」。たかさんも同意見。握りにしても「これはイケルね。身に甘味がある。すし飯の邪魔をしない柔らかさだし」とたかさん。その甘さというかまったりした味わいが独特なのだ。これを『市場寿司 たか』でお客に出したところ反応もよし。近海の目抜けとしてもっと珍重してもいいのかも?
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銀座『黒尊』へ 握りは八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
白子/マダラ 2006年2月4日 310
 特上のマダラがあるとする。箱にはオスとある。キロあたり2500円とは高すぎるのではないか。4キロ以上の大物であり、1本1万円を超えてしまうのだ。いいなコレ、っと見ていると市場仲卸の兄ちゃんが「安い買いもんだろ、コレ、白子が1キロも出てきてみろ。身の方はほとんど丸儲けだぞ」って言うんである。アラスカやカナダからの白子でキロあたり3000円。国産なら2倍以上するだろう。彼の話もまんざらウソではない。でもとても1万うん千円は出せない。仕方なくアラスカ産白子500グラム、1800円なりを『市場寿司 たか』に持ち込んだ。まず生でポン酢。「うん、なかなかイケルね。これなら軍艦にできる」、たかさんの判断でネギ、小皿にポン酢を用意した。まずポン酢で握りは明らかに酢が勝ちすぎる。スダチをかけて生醤油でパクリというのがいちばんうまかった。とろっとした甘味の強い白子、これがすし飯をくるみ込むような食感で寒の寿司として見事。
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