第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
五十六巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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ウスヘリクダヒゲエビ 2005年1月1日 276
 今や日本は世界中からエビを輸入している。北はアイスランド、南はアルゼンチンまで。またクルマエビ科、タラバエビ科を主なものとして、まったく新たなエビが輸入されることがある。今回のウスヘリクダヒゲエビもそのひとつ。日本にも近縁種がいて鹿児島などで好んで食べられているが、全国的な知名度はない。これは大阪の大栄太源から送られてきたもの。先物食いとでも言えそうでうれしい限り。これを握りににするにまず「生」か「ゆでる」か、考えるよりも、たかさんが両方握ってくれた。生も決して悪くない。たかさんも「なかなかいいじゃない」というが旨味は今ひとつ。それでと食べたゆでエビが抜群にうまいものだったのだ。身はややフワリとして軟らかく、甘味がある。この甘味もフワリとした感じだ。そこに見つけたのがたぶん内子。これにより濃い旨味がある。たかさんは仕入れてみたくなったようだ。「ところでスリナムってエビの名前かな」だって。
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●大阪宮木屋さん『赤えびエイト』
へ 握りは「市場寿司 たか」
キビレキントキ 2005年1月2日 277
 市場で見かけるキントキダイ科の魚というといちばん多いのがチカメキントキ、ホウセキキントキ、キントキダイなどである。それが近年種類が増えてきている。その新顔のひとつがキビレキントキだ。キントキダイの仲間はなにしろ味がいい。白身で血合いが美しく、容姿端麗しかも賢女といった趣がある。その新顔を『市場寿司 たか』に持ち込む。どうも普通のキントキダイであると思っているようで、たかさん「やっぱりキントキはいいね」なんて言っている。普段見かけるホウセキキントキやキントキと味が変わらないということだ。そう言えば近年、身の味わいよりも脂の多さばかりが先行しているように思える。これはまことに残念。ガングロ姉ちゃんにコスプレ、ペディキュア、マニキュア、なんでも派手ならいいだろうという街を行く娘に、ふっと現れた清楚な乙女。そんな感じですなこれは!
●市場魚貝類図鑑 キビレキントキのページへ!
●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
寒いさき/イサキ 2006年1月3日 278
 イサキの旬はと聞かれると「初夏かな」と歯切れが悪い。これは寒のイサキのうまいのを知っているからだ。これは千葉県外房勝浦などから出るイサキ釣りが冬から始まるのであるが、これがとてもうまいのだ。ベテラン釣り師には「暑い時期のイサキ釣りはやらん」なんて極端な達人も見受けられた。暮れも押し詰まって持ち込んだ中イサキを見た、寿司職人の渡辺隆之さんの反応はいたって普通に「旬はまだだろう」と言うもの。これが「この時期もいいな」に変わるのは当然である。皮下の血合いにうっすらと脂肪が見える。これに甘味がある。そして身の旨味はイサキならでは。すぐにイサキを仕入れに行った、たかさん。イサギよし。
●市場魚貝類図鑑 イサキのページへ!
●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
鮒ずし/ゲンゴロウブナ(へらぶな) 2006年1月4日 279
 この図鑑のタイトルに「寿司」を使ったのにはわけがある。それはこれが「すし」を差すときにまったくの当て字であるからだ。「鮨」、「鮓」など奈良時代から「すし」と読ませた文字はあるのだが、これを発酵させない「すし」に使うべきか、また米を使わない「しおから」とはどう区別するかなど考えると難しくなる。それで「寿司」とした。さて鮒ずしは滋賀県の特産であり、本来はニゴロブナを材料とする発酵すし(なれずし)である。その味わいは「酢」であり、「旨味」であるのだけれど、結局その混じり合った香りと味が総てなのだ。そこには甘味も、脂もなく直截的な発酵臭がそれに代わる。今回のものは滋賀県大津市のもの残念ながらニゴロブナは希少、手の届かない高級品となってしまっている。替わって使われているヘラブナ(河内ぶな)も負けずに高級品。まさかこのまま高値が続くのだろうか? ヘラブナはニゴロブナよりも皮が硬く味わいは劣る。それでも、なれずし好きの身にはたまらなくうまい。これに滋賀の濃厚な酒を合わせて、深く酩酊していくのだ。
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●滋賀県産 千葉市のつづきさんにいただく
小柱/バカガイ 2006年1月5日 280
 初荷の日、市場をのぞくとバカガイをむいている。まだ小振りのもので「柱は面倒だから、とらね〜」なんて言う。これが春になり木の芽時くらいには身も柱も太ってくるのだ。昨年の春、小柱の大星を軍艦にしてもらった。貝柱は前後2つあり大きいのを大星、小さいのを小星と呼ぶ。「どうだ見事だろ」と貝屋が言うのに見逃す手はないと『市場寿司 たか』に慌ただしく持ち込んだのだ。バカガイには独特の苦みをともなったクセがあり。これがあるがために寿司ネタとして一級品なのだ。それが小柱にもあり、繊維状に並んだ筋肉が、ほんの少しコリっとした歯触りを生む。軍艦は海苔の風味に負けない個性、旨味を持つネタでなければダメなのだ。それを見事に海苔もすし飯も超えて小柱ががんばって味を出している。「これ店で出すといくらくらいかな?」、たかさんに尋ねるに、「まあ言わぬが花ってやつかな」だって。
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●滋賀県産 千葉市のつづきさんにいただく



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