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アヤメカサゴ 2005年11月7日 221
市場では「かさご」と言う言葉はフサカサゴ科の多くの魚を差す言葉であり、けっしてカサゴという種のことではない。その多くの「かさご」の中でもっとも美しいのがアヤメカサゴである。ただ鮮度のいいものは市場では少なく、多くが九州などからの旅もの。それで、たまに伊豆半島などからすごいのが来ても値がつかなかったりする。ここがねらい目で、当然、すぐに確保して『市場寿司 たか』に持ち込んだ。その鮮度に感心しながらも、これをどう握るのか考えていたのだろう。「皮目を生かして霜皮造りにするか」といってやってみると、皮が硬くてダメ。それで素直に握ってみたら、これも、たかさんは気にくわないのだ。身がしこっとした心地よい歯触り、噛むと甘みも感じられるし、うまいのだ。ただ、残念なのは酢飯との相性か。ぜんぜん一体化してくれないのだ。次回は軽く湯振り(熱湯の中にほんの数秒くぐらせる)してみるか?
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エゾヒバリガイ 2005年11月8日 222
11月初旬、市場に行くと貝の場所に人が群れている。初めて見る貝で、名前がわからないのだ。呼ばれて見ると、大きなエゾヒバリガイだった。これは酒蒸しや煮つけで食べられる。ムールガイに近い味わいのものだ。これを殻ごと茹でて、身を取りだして醤油、酒、みりんでさらりと煮上げてみた。これがなかなかうまい。そのまま『市場寿司 たか』まで持ち込んで握りに仕立ててもらった。これが寿司ネタとして不合格だという。食べてみて、上に乗っかっているエゾヒバリガイは充分すぎるぐらいにうまい。貝の旨味が濃厚に舌を刺激する。そして苦み。うまいんだけど、すし飯の甘さ、酸味がその苦みに打ち消されてしまうのだ。「よくできた肴だね」というのが、言い得て妙。
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ゴマヒレキントキ 2005年11月9日 223
キントキダイの仲間はいずれも身の色合いといい、味といい最上のものが揃っている。このキントキダイの種類が増えてきているように思えるのだ。関東などでキントキダイ科というと、キントキダイ、チカメキントキ、ホウセキキントキの3種だけであった。それが近年、いろんなキントキダイにお目にかかれるのだ。なかでもゴマヒレキントキが目立つ。赤いキントキダイの中でも、なんだか薄汚れて見えるのか、あまりうまい魚だとは思わないのだろうか、ひっそりと隠れた存在となっている。値段も安いようだ。こんなものがいちばんねらい目なのは言うまでもない。そして握ってもらって、来たのがこの美しい2かん。まことに繊細な白身の味わい。甘み旨味、そして魚が持つ風味ともにたおやか、しかも優美。それなのにすし飯に負けないのはどうしてだろう。この魚、間違いなく知って置いて損はない。
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腹際とろ/ミナミマグロ 2005年11月10日 224
マグロを食べてその味わいを極めるのは懐具合から言って不可能だろう。それでも市場通いをしているといろんなマグロ、そして様々な部分を食べる機会がある。ある日、『市場寿司 たか』で出されたトロからもそんな奥深さを感じさせられた。「インドの腹の際んとこ。ちょっとしかとれないんだけど、うまいと思うよ」と出てきたのが脂で真っ白でペラっとしたやつ。口に入れると甘みがきて、すぐに旨味も浮き上がってきて、あれあれっと思う間に口の中で身が溶けていく、そしてそこにやや鋭角的な酢の香り、そしてそして飯の甘み。「ちょっと脂が強いよね。これじゃマグロのうまさはないだろ」なんて、たかさんはいうのだけれど。こちらはどうもそんなことを聞いている余裕もなく、そのトロトロ感に浸っていたのだ。たかさん、悪しからず。
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ゴンズイ 2005年11月11日 225
秋も終わろうとしているが、時化が続いているのか市場に荷は少なく寂しい限りの状況である。そんなときに見つけたのがゴンズイである。産地は箱にないが千葉県外房か伊豆からのものだと思われる。これが見事なゴンズイである。こんなときに「まさかゴンズイの寿司はないだろうな」と期待しないで三枚におろしてみた。これがきれいな身ではないか。当然、握りに仕立ててもらう。まず生で口に入れた、たかさんが「これうまいよ、いけるんじゃない」といい、すぐに口に放り込んだ。これが表現の難しい味わいである。身の表面が白っぽく濁っているのは脂なのだが、ここに甘みがある。この甘み、それほど強くなく穏やかに甘さ。そして身自体の味わいなのだけれど、あまりコレと言って感じられないのだ。ふんわり、まったり、とらえどころのない味わい。でも、ここにすし飯が来ると、それなりにイケる握りとなってしまうのは握りの持つミラクルな部分。結局、総合的に考えてみると、うまいのだろうな。
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