第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
二十六巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
毎日、1種類ずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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揚巻/アゲマキ 2005年8月3日 126
 市場ではなぜだか「まてがい」とされる。これはどうも本来のマテガイが輸送に弱くて市場まで来ないためらしい。国内での産地は有明海なのであるが、これは今や幻。ほとんどは中国や韓国から入荷してくる。煮てこんなにうまい貝も少ないだろう、砂出しが出来ていれば焼いてもいい。この貝を握りに仕立てるというのは関東でも、他の地域でも少ないのではないはずだ。まずはネタ作りから。貝殻のまま茹でる。身を取りだして、水の中で砂や泥をよく洗い落とす。これを味醂、酒、醤油でさらりと煮て、貝を取りだし、煮汁を冷まして、また貝を戻し一晩寝かせる。これを握りにして、たかさんが「どうも味がないな」とツメを塗る。確かに貝自体に味がない。これは真水で洗いすぎたためだろうか? それでもう一度、ツメをしっかと塗って食べたらこれはうまい。ひょっとしたらこんなものでいいのかも知れない。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
きつねずし/ホタルジャコ 2005年8月4日 127
 愛媛県西部の宇和島市、八幡浜市で作られているのが「じゃこ天」。原料はホタルジャコという小魚が主となる。この小魚の小骨も大骨も一緒にすり身にしているのでちょっとじゃりっとするのだが、その「うまいーい」こと。すなわち小魚の出汁がでる部分をそのまま味わえて、その感動を言葉では言い表せるものではない。このじゃこ天をもったいないので軽くあぶって食べていたら、ときどき送っていただいている宇和島市の薬師神さん(薬師神かまぼこ)さんから地元では「きつねずし」の具にも入れるという。それでは一度、やってみるべしとて、四国風の「きつねずし(いなりずし)」を作ってみた。じゃこ天、ゴボウにニンジンを甘辛く炊き、その煮汁で合わせ酢とする。これを三角に切り口を明けて炊いた油揚げに詰めた。四国の豆腐は真四角なのでこんな形になるわけだ。野菜と炊いていて驚いたのは、じゃこ天から出汁が出て、それが味わいとなってうまいこと。
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タマメイチ 2005年8月5日 128
 東京の市場には定期的な船便での小笠原からの荷がとどく。そのなかで比較的多いのが本種である。本来は熱帯域の魚であるようでやはり漁場は遠いなと思っていたら近年九州でも大分などから来るようになった。大分県は我が国でももっとも魚の取り扱いが丁寧なところ。しかも今がまさに旬の梅雨明け十日にきたとあっては「さあ、江戸前握りにするしかない」ではないか。「真っ白い身だね。あれ、それでも脂がのってるな」とたかさんがネタの切り付けをしながら味見をする。これがいい味だというので、こちらも刺身で。これがいい味わいである。なにしろ脂がのっていてとろっと甘い。これを握りに仕立てても絶品。「この手の魚は寿司屋にとっても盲点だね」というのが、寿司職人たかさんのお話。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
ツチクジラ 2005年8月6日 129
 今やクジラと言えばミンククジラを差す場合が多い。ほかにニタリクジラ、コビレゴンドウなどもあるが量が少なく、探すのが大変。そしてツチクジラも同様に少なくて主に産地で消費されている。北海道網走、宮城県牡鹿町、そして千葉県和田町が産地だ。食べ方を和田町で聞くと「まずタレ(塩味の干物)、次に焼くかな、煮るのも好き」だというが生で食べるという人は少ない。ただ地元では刺身用と表示された砥石ほどのブロックが売られていて、今回は買って帰ってきた。実を言うと和田周辺の民宿は何度も利用して、間違いなく生の刺身は食べているのだけれど味の記憶がないのだ。単純に冷凍したものをもどしたらドリップがひどくて血液が流れ出してきた。これをペーパータオルでくるんで少し置くと今度は真っ黒に。こんなことはミンククジラではけっしてなかったこと。これを見た、たかさん意外に動じなくて一切れ食べて「味は悪くない。思ったよりも臭くもないし」と言う。ミンクと1かんずつ握ってもらって、味は明らかに負けている。それでも微かな臭いはあるものの旨味というか微かな甘味が感じられる。食感もすし飯に合っている。
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新子/コノシロ 2005年8月7日 130
 八朔の日、何気なく『市場寿司 たか』をのぞくと、それがあった。見るだけは残酷なので、当然できあがったばかりをいただく。これこそ東京に暮らしていてよかったと思う一瞬。江戸前握りの至味ここにありてなもん。この新子、7月の声を聞くとすぐに市場で「今日はいくらだった」なんて話を聞くようになり、その値段が「3万らしいよ(キロあたりではなく1袋)」というのも当たり前。それが2万、1万と下げてきて8月には2千3千と落ち着いてくる。小さいほど高いという不思議な代物なので1匹3グラムほどから5グラムあたりがいい。これを一つずつ開いて造るにはカミソリを使うとも聞くがとにかく大変な手間を要す。それほど柔らかく繊細なのだ。これを軽く塩をして酢で洗う。1匹で1かんは無理なので今回は2枚づけ。これを口に入れると新子の身はトロっと消えてくれて、思った以上に脂というか旨味がある。そこにすし飯がきて、すかっと喉に消えて、「ああ新子恐い」と思うのだ。
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