寿司図鑑365 目次へ!
|
索引へ
|
|
アカメ 2005年4月4日 06
これは市場では見かけないというか、今や幻の魚かも知れない。当然、まず手に入らないだろうと思っていたアカメのことを高知県高知市の漁師で日曜市に店を出している永野廣さんに話すと、「うちの前の浦戸湾でとれとりますよ。こんど送ります」と返事があった。まさかと思っていたらほどなく届いたんですね、2キロほどのものが。「撮影するなら、これぐらいがええでしょ」というこれは浦戸湾でルアーにかかったもの。近年は有名な四万十よりも市内のほうがとれている模様。撮影を終えると押っ取り刀で駆けつけたのが「市場寿司 たか」。出来上がったのがアカメの野武士のような外見とは裏腹な繊細で上品な寿司。たかさん曰く。「(寿司には)味がないとだめ」だという。白身でクセのない味わいがすし飯に負けてしまうのだ。
●市場魚貝類図鑑のアカメのページへ!
●八王子綜合卸売センター、「市場寿司 たか」
|
|
墨いか/コウイカ 旬/冬から春 2005年4月5日 07
市場に来た一般客が発砲の箱を覗いている。これを見て懐かしく思う。確か初めて関東の市場を歩いたのは30年近く前になる。同じように覗いた発砲の中は真っ黒でそこに墨まみれの物体がごろんと入っている。今では店のビニールを手にかぶせてこの冬から春が旬のイカを選ぶ自分がここにいる。墨だらけのコウイカを市場の仲買で洗い、エンペラ、身、げそと手早くさばいて「市場寿司 たか」へ走る。面白いのは千葉など関東から来る荷は墨を洗わず真っ黒け、四国などから来るときれいに洗ってしまっている。ベテランの寿司職人は「これじゃ墨いかじゃない」なんて洗ってしまっている荷を前に腕組みしている。寒い時期のコウイカは、身が厚くて甘く、ねっとりした身の食感とともにすし飯と絶妙に調和して喉を通りすぎる。
●市場魚貝類図鑑のコウイカ(墨いか)のページへ!
●八王子綜合卸売センター、「市場寿司 たか」
|
|
ぼたんえび/クーンシュリンプ 冷凍 2005年4月6日 08
アラスカ沖からサンデェゴ沖までに生息するタラバエビ科のエビである。分類学上は日本海からロシア海域までとれるお馴染みのトヤマエビ(ぼたんえび)と同種となっている。「クーン」とはアライグマのことでクリーンと白の縞模様がラスカルに似ているのだろうか? 冷凍エビといってもあなどるなかれ、トヤマエビに近い、もしくは同種のものは味は抜群によいし、値段もいいのである。我が「市場寿司 たか」は市場のネタを少しずつがもっとうで、国産生もよく使うのだけれど、このクーンシュリンプを握ってその味わいのよさに驚いてしまったようだ。特に甘みが程良く、ぷりっとした食感、そして握りにしたときの美しさに「食べてもいいかしら?」と思わず聞いてしまった。
●市場魚貝類図鑑のクーンシュリンプのページへ!
●大阪大栄太源の宮木屋さんから
●八王子綜合卸売センター、「市場寿司 たか」
|
|
ナミアイトラギス 2005年4月7日 09
これは普通食用としない魚。こんなものも取り合えず食べてみるのが食の冒険家。静岡県沼津市沼津魚市場は駿河湾での底引き網の主要港。200メートル以上の深い海の底から珍魚がぞろぞろ水揚げされてきます。そんななかで黒っぽいキスのような魚で、身もきれいなのがナミアイトラギス。鮮度がいいとねぎなどと合わせると生でも食べられなくはない。それで「市場寿司 たか」に持ち込んでみました。透明な白身に薄いグリーンの斑紋が浮かんでいます。「きれいだね」というたかさんですが、後がいけない。クセのない味だねといったとたんに来るんですねクサミが。これは失敗作でした。
●市場魚貝類図鑑のナミアイトラギスのページへ!
●八王子綜合卸売センター、「市場寿司 たか」
|
|
カンパチ 2005年4月8日 10
市場で見ていて、近年あきらかに定番魚となっているのが養殖のカンパチである。「ときどきカンパチは食べたくなるね」というは、寿司職人のたかさん。確かにブリ(養殖もの)よりも養殖臭が薄く、うまみというか味わいも上品である。「寿司屋やってるとないとは言えない魚」であると言う職人さんも多いということから改めてじっくり味わってみた。やや薄く切ったネタはしこっとした食感であるが、じわりと脂から甘みが浮かんでくる。そして魚らしい味わいも充分に楽しめる。酢飯にも合う。
●市場魚貝類図鑑のカンパチのページへ!
●八王子綜合卸売センター、「市場寿司 たか」
|