ぼうずコンニャクの食べる魚貝類だけでなく多彩な生物の図鑑です。掲載種は2000種、食用の水産生物の一般的なものは総て網羅。検索法・食べ方を詳しく解説しています。

ハマグリ(Japanese hard clam, Common orient clam, White clam)

学名:Meretrix lusoria (Roding,1798)

ハマグリの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
殻長8cm前後になる。丸みを帯びた三角形で殻頂付近がいちばん膨らみが強い。後縁は大きくなるに従い直線的になる。帯状の斑文を持つもの、黒一色のものなど色彩は多様。写真は丹後宮津産の大形で後縁が直線的。またこの宮津湾周辺のものは無紋で黄土色をしている。やや小振りのもので後縁は直線的ではない。ハマグリは文様色彩の変化が激しい。

ハマグリの形態写真

殻長8cm前後になる。丸みを帯びた三角形で殻頂付近がいちばん膨らみが強い。後縁は大きくなるに従い直線的になる。帯状の斑文を持つもの、黒一色のものなど色彩は多様。写真は丹後宮津産の大形で後縁が直線的。またこの宮津湾周辺のものは無紋で黄土色をしている。

  • 魚貝の物知り度 食べ物としての重要度 味の評価度

    ★★★★

    知っていたら達人級

    ★★

    地域的な水産物、嗜好品的なもの

    ★★★★

    非常に美味
    分類
    軟体動物門二枚貝綱マルスダレガイ目マルスダレガイ超科マルスダレガイ科ハマグリ亜科ハマグリ属
    外国名
    Japanese hard clam, Common orient clam, White clam
    学名
    Meretrix lusoria (Roding,1798)
    漢字・由来
    漢字 蛤、浜栗。
    「はまぐり」の語源◆
    ■ 浜にあって「栗」に似ているから。「浜栗」。
    ■ 「はま」は「浜」、「ぐり」は「石」の意味。石が地中にあるに似ていることから。
    地方名・市場名
    ■ 市場では「ホンハマ(本はま)」。
    ■ 色や文様によって呼び名が変わる。
    1 貝殻の白いのが「耳白貝(ミミシロガイ)」。
    2 栗色のを「油貝(アブラガイ)」。
    3 いろいろ文様の出るのを「文蛤(アヤハマグリ)」。
    ■ すし屋が一枚づけにする5年ものの大きなハマグリを「テッパツ」。
    ■ 東京の婦人言葉に「オハマ」。
    生息域
    北海道南部から九州。内湾性。淡水の流入するところで干潟から水深12メートル前後まで。
    生態
    産卵期は5月から10月。
    孵化した卵はベリジャー幼生というプランクトン期を経て稚貝になる。
    水管根元分の粘液線から多量の粘液を出し、これが1メートル〜3メートルの紐状になり。
    潮流(潮の流れや、波など)を受けて海底上30センチ〜1.5メートル浮き上がり移動することができる。
    珪藻類、有機物などを漉し取って食べている。
    基本情報
    ハマグリ属について
    浅い砂地などに普通の二枚貝。
    国内にはハマグリ、チョウセンハマグリがあり。
    輸入ものには中国・韓国などからのシナハマグリが、台湾からのタイワンハマグリが、東南アジアからのミスハマグリがある。
    本来内湾性のハマグリが国内でもかなりの量とれていて、食用だけではなく俳句、絵画、伝説などにしばしば登場している。
    これが内湾の開発や汚染で激減。
    国内にはほとんど残っていない。
    またバチといって内湾性ではない外洋生のチョウセンハマグリを、一段落ちるものとして扱っていたが今やこちらも超がつくほどの高級品に。
    それを補っているのがシナハマグリとタイワンハマグリ、ミスハマグリ。
    ひな祭りなど需要の多い時期には国内の市場を輸入物が席巻してしまう。
    本種(ハマグリ)について
    内湾でとれる二枚貝の代表的なもの。
    ひな祭りや婚儀に利用されていた。
    食用だけではなく「貝合」などの玩具に、また「ぐれる」などの語源いなるなど様々な分野に登場している。
    江戸時代江戸の町には深川、上総などから貝売りがやってきていた。
    中でももっとも上等のものがハマグリだった。
    水産基本情報
    市場での評価 熊本、大分などから少ないながら入荷してくる。国産、輸入ものを問わず、ハマグリは大きさによって値段がつく。本種は比較的小振りであるために値段は安すい。
    漁法 じょれん曳
    産地 大分県、熊本県、京都府
    選び方
    原則的に生きているもの。貝殻の表面がぬめぬめ、光沢のあるもの。滑りがなく、さらさらしている、色合いがさめて白っぽいものは古い。
    味わい
    旨みが強く、火を通してもあまり硬くならない。
    栄養
    寄生虫
    食べ方・料理法・作り方
    汁(すまし汁、みそ汁、みそ汁をご飯にかけた『深川飯』、鍋、スープ、ブイヤベース)、蒸す(酒だけで蒸し煮)、焼く、煮る

    ハマグリの鍋 国産ハマグリを昆布だし、酒、塩のなかで温めながら食べる。食べるほどに鍋の汁のうま味が増す。最後に雑炊で締めても、ネギを加えて卵でとじてもいい。
    吸いもの ひな祭り(雛の節句)の膳に「蛤」の吸いものは今でもつきもの。贅沢だが多めのハマグリを水から煮て、だしが出ると椀の数だけ取り出す。後の残りはだしをより濃厚にするために鍋にとどまらせておくとうまい汁になる。最後まで煮たハマグリも決してまずくはないが、まだ硬くならないうちに取り出した、ハマグリを椀に入れて汁を加えて供するとより美味である。
    ハマグリの酒蒸しハマグリの酒蒸し 小振りの熊本県産ハマグリを酒蒸しにしたもの。ハマグリはアサリよりもふっくらと蒸し上がるのがいい。
    焼きハマグリ焼きハマグリ 靱帯を切って炭火で焼き上げる。焼き蛤は貝殻につけた塩が乾いたら出来上がり。
    好んで食べる地域・名物料理
    ■三重県桑名では「焼きはまぐり」が名物。囃子文句に「その手は桑名の焼きはまぐり」。
    加工品・名産品
    ■ 三重県桑名では「時雨煮(しぐれに)」、「時雨蛤(しぐれはまぐり)」が名物。これは伊勢名物の溜まり醤油でハマグリを煮たもの。囃子文句に「桑名の殿さん時雨で茶々漬け」。おむすびにも入れる。
    釣り情報
    歴史・ことわざ・雑学など
    ■ 「雀海に入りて蛤となる」は秋の季語。
    ■ 「すずめ蛤となる」:『夢蛤 電子版』(大阪市自然史博物館)
    ■ 「爵(すずめ)大水に入り蛤となる」と礼記にある。
    ■ 「蛤蜃気楼をはく」。夏に環境が悪くなるとゼラチン状の粘液(ひも)を出し、海流に漂わせて、その浮力で移動する。蜃気楼とはこの粘液のこと。
    ■ 「蛤蜃気虹をはく」とも。
    ■ 殻のかみ合わせは、対になっているもの以外は合わないので夫婦和合の徴(しるし)とされ、結婚の祝い事に使われる。
    ■ 八代将軍徳川吉宗が、結婚の祝い膳にハマグリの吸い物を出すことを発案した。
    ■ ひな祭りには「ハマグリのお吸い物」という。現在でも雛祭の3月3日以前、1週間前後がもっともハマグリ類の出るとき。
    ■ 娘が輿入れするときに貝桶を持たせる。これはハマグリの貝殻360個に源氏物語などの絵をかいたもの。
    ■ 殻のかみ合わせは、対になっているもの以外は合わないので左右の貝を合わせ当てる遊技「貝合(かいあわせ)」、「貝覆(かいおおい)」が生まれた。右貝を「地貝(じかい)」、左貝を「出貝(でがい)」とする。「地貝」を並べ、出貝を一個ずつ出して合うのを当てる。
    ■ 殻合は中世以降になると、便宜のため左右の貝に絵または歌を書いた。
    ■ ハマグリのことを「グレハマ」と呼んだ。ハマグリを逆さまに呼んで「グリハマ」としたものがなまって「グリハマ」になったもの。ここから話が食い違うこと、わけのわからぬ者のことを「グリハマ」とも言う。
    ■ 「ぐれる」とは予想通りにいかないこと、また非行に走ることをいうが。これも「グレハマ」すなわちハマグリの貝殻を逆さまにしても合わないことから来る。
    ■ 魚河岸の符丁に「夏のはまぐり」。意味は「身(見)くさり、貝(買い)くさらずで、ひやかし客のこと。
    ■ 初午にハマグリを食べると鬼気に犯されない。
    ■ 人形の顔などを白く塗る胡粉(ごふん)の材料。
    ■ 「うち蛤のそと蜆ッ貝」、「内の中の蛤貝、外へでると蜆っ貝(しじめっかい)」『明治東京風俗語事典』(正岡容 有光堂 1957)/「うーちのなあかの蛤ッ貝、外へ出ちゃ蜆ッ貝」『幼少時代』(谷崎潤一郎 岩波文庫 初版は文藝春秋社1957)
    外弁慶に同じで内では積極的で外では恐がりで引っ込み思案であること。
    ■ 「(少年の頃)……深川へ行くたのしみは、道の何処にでもある飯屋へ入って、新鮮な蛤を味噌で煮て飯へかけた深川飯を食べられることだった」『江戸切絵図散歩』(池波正太郎 新潮文庫)
    和菓子 打ち菓子、焼き菓子、生菓子など様々な和菓子に「蛤」の造形が使われている。[寿々木 東京都千代田区]
    参考文献・協力
    『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)
  • 主食材として「ハマグリ」を使用したレシピ一覧

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